胆道
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16 巻, 1 号
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  • 二川 俊二
    2002 年 16 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 水崎 馨, 福永 裕充, 浦 希未子
    2002 年 16 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    我々は,1996年9 月より腹腔鏡下手術にOrigin社製laparoliftを用いた腹壁吊り上げ法(以下, 吊り上げ法) を導入し, 基本術式としている. 胆嚢摘出術74例と総胆管結石症手術13例の計87例を経験した.腹筋の弱い症例では,横隔膜を十分挙上できないため,横隔膜下に広い空間がえられなかった.このような症例は胆嚢頸部を垂直に挙上出来ないことが多く, 87例中58例(66.7%) が胆嚢頸部を左右に挙上して, 胆嚢体部から底部の剥離を行った.しかし,胆嚢頸部から総胆管周囲の視野は良好であり,ポートよりガス漏れの心配がないため鉗子の出し入れ, 洗浄吸引が非常に容易で, 胆嚢頸部の剥離, 総胆管切開,砕石,総胆管縫合をスムーズに行えた.87例中81例(93.1%)が吊り上げ法で手術を完遂できたが,6例(6.9%)が気腹および開腹術に移行した.うち2例は,laparoliftによる吊り上げ法では困難と思われた.Laparoliftを用いた吊り上げ法は,操作が簡便で非常に有用であった.
  • 神澤 輝実, 雨宮 こずえ, 屠 聿揚, 江川 直人, 岡本 篤武, 松川 昌勝
    2002 年 16 巻 1 号 p. 26-32
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    自験例を含むcholedochoceleの文献報告167例を検討し,choledochoceleの診断基準(私案)を以下のごとく作製した.
    胆管下部の十二指腸壁内での嚢状の拡張をcholedochoceleと称する.その多くは乳頭部胆管ないし共通管の拡張であるが,発生学的に胆管由来でない例も存在する.十二指腸内腔に滑脱する例も少なくない. 嚢腫最大径が1cm 以上である. 嚢腫内腔粘膜の組織像は問題としない.先天性だけでなく,後天性の要因もあるが,明らかな結石の乳頭部嵌頓や胆道の治療後の変化は除外する.膵・胆管合流異常を合併してもよい.共通管を形成する症例では,膵液と胆汁の相互逆流が起こりうるので,膵・胆管合流異常と同様の注意が必要である.
  • 古川 正人, 佐々木 誠
    2002 年 16 巻 1 号 p. 33-42
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    長崎県における過去20年間の肝内結石症の実態を,長崎肝・胆・膵外科研究会に所属する長崎県内および県外の48施設を対象として,アンケート形式にて調査し,43施設(89.6%)より回答を得た.この間の全胆石症手術症例20,181例で,その内,肝内結石症は673例3.3%であった.都市部の長崎地区は3.1%であったが,離島である五島地区では12.0%と高率であった.その推移は,長崎県全体では20年前の5.4%から1.9%に減少していたが,長崎地区は6.5%から1.5%に減少していたのに比し,五島地区では減少はしているものの,なお,3.4%と高率であった.男女比は1:1.5,平均年齢は男性58.4歳,女性60.0歳で,ともに50~60歳代にピークを認めた.病型では長崎県でも肝内外型が減少し,肝内型が増加していた.居住地区別にみると,人口10万対症例数は長崎地区が31.9に比し,五島地区は175.1と極めて高く,あらためて,長崎県五島地区が肝内結石症多発地区であることが示唆された.
  • 蓮見 桂三, 鈴木 孝良, 齊藤 真, 大谷 泰雄, 峯 徹哉
    2002 年 16 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は71歳,男性.平成13年7月7日,悪心嘔吐にて当院受診.腹部単純X線写真上,右側腹部に2.5cm大の類円形石灰化像とniveau像を認めた.腹部CTで石灰化像は小腸内に位置し, 口側腸管は著明に拡張していた. 胆嚢は萎縮し内部にはpneumobiliaを認め,それは胃前庭部と交通していた.以上より胆嚢胃瘻を形成後発症した胆石イレウスと診断した. イレウスは保存的治療後, 結石が第3 病日に便中に自然排石され解除した.狭心症内服治療中であり,その時点では外科的治療は選択せず自然閉鎖を期待し,中心静脈栄養にて経過観察したが,約1カ月後の内視鏡的逆行性胆管造影で内胆汁瘻は閉鎖していないことが確認され,胆嚢摘出術,瘻孔閉鎖術を施行した.摘出した胆嚢の病理所見上,胆嚢癌の合併を認めた. 内胆汁瘻は逆行性胆管炎, 胆嚢癌合併などの危険もあるため, 自然閉鎖しない時は積極的に根治術を施行することが望ましいと考えられた.
  • 神澤 輝実, 雨宮 こずえ, 屠 聿揚, 江川 直人, 榊 信廣, 岡本 篤武, 松川 昌勝
    2002 年 16 巻 1 号 p. 50-52
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流異常症例において,圧勾配により膵液が胆管内に逆流することは良く知られているが,画像上それを証明することは難しい.膵・胆管合流異常症例において,副乳頭から膵管を造影し,主膵管から胆管への造影剤の逆流を観察したので報告する.主膵管内の造影剤は主乳頭から十二指腸内へ流出しないまま,共通管を介して中部胆管まで逆流を認めた.膵・胆管合流異常における膵液の胆管内逆流は,容易に起こりうることが推察された.
  • 月岡 雄治, 尾山 勝信, 矢ヶ崎 亮, 中野 達夫, 佐久間 寛, 上野 桂一
    2002 年 16 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Duchenne型筋ジストロフィー症に合併した胆嚢, 総胆管結石症に対して, 経皮経肝経胆嚢管ルートより十二指腸乳頭拡張バルーンを用いて,総胆管結石を排石し得た1例を経験した.症例は34歳男性で,平成9年,閉塞性黄疸にて入院となった.心不全のため手術は不能,咽頭の拘縮のため内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術(ENBD)は不能,体幹の変形が強いため経皮経肝胆道ドレナージ術(PTCD)は施行できず,緊急避難的に経皮経肝胆嚢ドレナージ術を施行した.一旦,黄疸は消失したが,その後,肝機能の悪化や膵炎発作を繰り返した.そこで,平成10年9月,経皮経肝経胆嚢管ルートから乳頭拡張術を施行し,総胆管結石を排石し,胆道内視鏡を用いて胆嚢結石を除去した.胆嚢結石は混合石であり,総胆管結石は胆嚢管からの落下結石と考えられた.
    経皮経肝経胆嚢管ルートからの乳頭拡張術は,手術,ENBD,PTCD不能な症例に対して,非常に有効な方法であると考えられた.
  • 八辻 賢, 白鳥 敬子, 久田 生子, 土岐 文武, 林 直諒
    2002 年 16 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は77歳の女性,嘔吐と腹部痂痛を主訴に来院右悸肋部に自発痛,圧痛を認め, 好酸球数の上昇と肝胆道系酵素の上昇を認めた. USで総胆管から胆嚢内にかけて運動性のある索状エコーを認めたことから,寄生虫の胆道内迷入を疑いERCを行った.乳頭に迷入した虫体を内視鏡下にバスケット鉗子で摘出を試みたが, 虫体の活動性が強く摘出は困難で,経鼻胆道ドレナージチューブより駆虫薬であるパモ酸ピランテルを注入した.翌日には虫体は胆嚢内に完全迷入し,死虫となった.MRCPにても胆嚢内に迷入した虫体が索状の透瞭像として描出され,便中に回虫卵を確認した.胆嚢内の死虫が次第に不明瞭化するも,第7病日には胆砂が出現した.そこで利胆薬を長期に投与したところ,胆砂は消失した. 回虫の迷入した胆嚢をUSにて6カ月間観察し, 利胆薬が胆石形成予防に奏効したと考えられ,報告した.
  • 塚本 忠司, 太田 泰淳, 首藤 太一, 久保 正二, 広橋 一裕, 木下 博明
    2002 年 16 巻 1 号 p. 63-67
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は39歳, 女性. 黄疸を主訴に来院. 腹部超音波検査およびC T 検査により,総胆管結石による閉塞性黄疸の診断のもと,経皮経肝胆道ドレナージ術(PTCD)が施行された.胆道造影像上,胆嚢管から総胆管に連続する陰影欠損像と総胆管末端に円形の陰影欠損像が認められた. PTCD チューブからは胆汁とともに白色泥状物質が少量ずつ排泄され, それに伴い胆道造影像上の胆嚢管から総胆管に連続する陰影欠損像は消褪した. この白色泥状物質の成分は炭酸カルシウム100%で,胆嚢管の嵌頓結石とともに総胆管内に流出した石灰乳胆汁と診断された.石灰乳胆汁はPTCDチューブから排出され消失したが,胆嚢内結石および総胆管結石に対し,胆嚢摘出術および総胆管切開截石術が施行された.
  • 武田 和永, 遠藤 格, 簾田 康一郎, 関戸 仁, 渡会 伸治, 嶋田 紘
    2002 年 16 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は70歳,女性.1998年11月,他院にて腹腔鏡下胆嚢摘出術後の胆道損傷に対し,総肝管空腸吻合術が施行された.1999年4月頃より,黄疸を認め,吻合部狭窄の疑いで同年10月13日,当科受診した.腹部CT上,びまん性に肝内胆管の拡張を認めた.胆管造影では,肝門部胆管の高度狭窄を認めた.これに対し,肝門部胆管切除術を施行した.再吻合した肝管は,8ab,8c,5,後枝,左枝の5穴であった.術後経過は良好であり,術後41日で退院した.現在まで,胆管炎,黄疸を認めていない.胆管空腸吻合部狭窄の治療方針を検討するうえで,示唆に富む症例と思われたので報告する.
  • 安部井 誠人, 冨永 達郎, 池田 和穂, 丸山 常彦, 小田 竜也, 轟 健, 正田 純一, 松崎 靖司, 田中 直見
    2002 年 16 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 2002/03/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は85歳, 女性. 発熱と右悸肋部痛のため, 本院に緊急入院となった. 腹部超音波およびCT検査にて,胆嚢は15mmを越える大胆石6個以上の充満と胆嚢管への嵌頓が認められ,急性胆嚢炎と診断された.洞不全症候群,糖尿病,糖尿病性腎症,慢性気管支炎等,複数の重度合併症を持つ高齢者であり,手術には危険が予想されたこと,石灰化のないコレステロール石であること,PTGBDチューブが挿入され胆嚢炎が軽快したこと等の理由より,胆嚢結石の治療としてMTBEによる直接溶解療法を試みた.その結果,計28時間の治療により完全溶解が得られた.MTBE直接溶解療法は,手術リスクの高い急性胆嚢炎合併コレステロール石例に対して,PTGBDによる炎症改善後に考慮すべき治療法と考えられた.
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