Duchenne型筋ジストロフィー症に合併した胆嚢, 総胆管結石症に対して, 経皮経肝経胆嚢管ルートより十二指腸乳頭拡張バルーンを用いて,総胆管結石を排石し得た1例を経験した.症例は34歳男性で,平成9年,閉塞性黄疸にて入院となった.心不全のため手術は不能,咽頭の拘縮のため内視鏡的経鼻胆道ドレナージ術(ENBD)は不能,体幹の変形が強いため経皮経肝胆道ドレナージ術(PTCD)は施行できず,緊急避難的に経皮経肝胆嚢ドレナージ術を施行した.一旦,黄疸は消失したが,その後,肝機能の悪化や膵炎発作を繰り返した.そこで,平成10年9月,経皮経肝経胆嚢管ルートから乳頭拡張術を施行し,総胆管結石を排石し,胆道内視鏡を用いて胆嚢結石を除去した.胆嚢結石は混合石であり,総胆管結石は胆嚢管からの落下結石と考えられた.
経皮経肝経胆嚢管ルートからの乳頭拡張術は,手術,ENBD,PTCD不能な症例に対して,非常に有効な方法であると考えられた.
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