胆道
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16 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 渡邊 五朗, 船曵 孝彦
    2002 年 16 巻 4 号 p. 305-311
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    2001年第37回胆道学会総会にて,ワークショップ「鏡視下胆道手術の合併症,その対策と現況」が行われた.当日は演者に各合併症の具体的な数字を示してもらい,それをもとに討論を行った.参加12施設の腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)全症例数は12,199例で,同期間のLCの全胆摘例における施行率は72~98%であった.各合併症については胆道損傷0.66%,腸管損傷O.09%,出血0.39%,開腹移行2.5%,胆汁瘻O.32%,肺梗塞O.04%,散石膿瘍9例,癌ポート再発5例,瘢痕ヘルニア0.16%であった.主に胆道損傷に対する再建法として,乳頭機能温存と長期成績からの観点からの討論と晩期合併症についての討論が行われた.
  • 中川 浩, 高野 健市, 宮田 章弘, 平井 孝典, 中村 正直, 岩田 浩史, 大島 英子, 大野 栄三郎
    2002 年 16 巻 4 号 p. 312-316
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆石性膵炎を合併した総胆管結石12例(膵炎群)と胆石性膵炎非合併の総胆管結石99例(非膵炎群)に対し,硝酸イソソルビド(ISDN)併用下低圧加圧の内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)にて治療を行い,成績を比較検討した.治療成績は,採石率,合併症,治療時間,術後血清アミラーゼ値において両群間に有意差を認めなかった.EPBDによる術後急性膵炎は,両群で1例も認めなかった.色素散布法による副乳頭機能を評価したところ,膵炎群は非膵炎群に比べて有意に副乳頭機能が悪かった.副乳頭機能に関わらず,ISDN併用下で十二指腸乳頭を緩徐に加圧する低圧加圧法によるEPBDは,胆石性膵炎で発症した総胆管結石に対する治療となりうる.
  • 三浦 靖彦, 遠藤 格, 熊本 宜文, 松尾 憲一, 田中 邦哉, 関戸 仁, 渡会 伸治, 嶋田 紘
    2002 年 16 巻 4 号 p. 317-324
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例1は65歳,男性.肝機能障害の精査で行われた内視鏡的逆行性胆道造影(ERC)で,肝門部胆管狭窄を指摘された.肝門部胆管癌の診断で肝右葉尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した. 病理組織は原発性硬化性胆管炎であった. 症例2 は7 1 歳, 男性発熱と黄疸のために行われた経皮経肝胆道ドレナージ施行時の胆管造影で,肝門部胆管狭窄が認められた、胆嚢癌の胆管側浸潤と診断し,肝右葉尾状葉切除,肝外胆管切除,十二指腸および横行結腸部分切除を施行した.病理組織は慢性胆嚢炎であり,穿孔して排出された結石による炎症が,胆管にまで波及したものであった.症例3は71歳,男性.褐色尿の精査で行われたERCで,総肝管狭窄を指摘された.超音波内視鏡検査では胆嚢頸部に結石を認め,Mirizzi症候群が疑われたが,悪性疾患を完全に否定できず,門脈右枝塞栓術後,開腹胆摘術を行った.最終診断は慢性胆嚢炎であった,悪性胆道疾患は予後不良であるので,良悪性の判別が困難な胆管狭窄症例に対しては,悪性疾患として治療をすすめることも必要であると考えられた.
  • 村上 友則, 佐々木 誠, 古川 正人, 酒井 敦, 宮下 光世, 辻 博治, 徳永 祐二, 伊東 正博, 林 秀行
    2002 年 16 巻 4 号 p. 325-330
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    66歳女性の胆嚢結石症例で,経時的に脂嚢の壁肥厚を観察し,胆嚢癌との鑑別が可能であった黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)の1例を経験した.このことにより,本疾患は比較的短期間に肉芽腫が形成される可能性が示唆された.また,USなどの経時的な画像がある場合は,再検討することによって本疾患と他の胆嚢腫瘤性病変との鑑別を容易にする可能性が示唆された.
  • 浦上 淳, 池田 正治, 岡 保夫, 山村 真弘, 久保添 忠彦, 山下 和城, 角田 司
    2002 年 16 巻 4 号 p. 331-336
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    経皮経肝的胆道ドレナージ(PTBD)の合併症として,胆道出血がみられることがある.胆管の洗浄や太径のカテーテルによる圧迫止血で止血できる場合が多いが,仮性動脈瘤やA-Pfistulaの形成により,大量出血をきたす場合も報告されている.今回我々は,PTBD後に形成された仮性肝動脈瘤が胆道へ穿破し,肝動脈塞栓療法(TAE)により止血できた症例を経験したので報告する.症例は64歳の男性で,肝内胆管癌の治療目的で入院した.超音波ガイド下にPTBDを行ったが,約1カ月後より血性排液やタール便が出現し,さらにカテーテル挿入部から出血が見られるようになった.CTでカテーテルに沿って3cm大の仮性動脈瘤を認めたため,ゼラチンスポンジとmicrocoilを用いてTAEを行い止血した.PTBDに伴う胆道出血は0.5~6.8%と報告されているが,なかでも仮性肝動脈瘤の報告は少ない.TAEは,仮性肝動脈瘤の有効な治療法と考えられた.
  • 鈴木 修司, 鈴木 衛, 羽生 富士夫
    2002 年 16 巻 4 号 p. 337-341
    発行日: 2002/10/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    特異な画像所見を呈し,術前診断に苦慮した乳頭浸潤型担嚢癌の1例を経験したので,報告する.症例は85歳,女性.右悸肋部痛を主訴に近医受診.胆嚢の腫大,疹痛の増強を認め,当院紹介入院となった.超音波検査では胆嚢腫大,内部に胆泥様の陰影を認め,ドップラーエコー上,血流シグナルを認めなかった.CT検査では,胆嚢腫大,壁肥厚を認めたが,造影効果を認めなかった.胆嚢腫大の軽快がないため,経皮経肝的胆嚢穿刺ドンナージ施行したが,細胞診はclass2で胆管像も異常を認めず,膵・胆管合流異常は認めなかった.腫瘍マーカーが高値であり,上記所見より胆嚢癌も疑ったが,高齢,合併症の問題より,胆嚢全層切除,R1郭清を施行した.摘出標本では,盟嚢内腔を充満する白色の乳頭状腫瘤が充満していたが,胆嚢結石は認めなかった.病理組織検査では乳頭浸潤癌で,一部漿膜下層へ浸潤を認めた.術後1年9カ月,肝転移にて死亡した.
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