特異な画像所見を呈し,術前診断に苦慮した乳頭浸潤型担嚢癌の1例を経験したので,報告する.症例は85歳,女性.右悸肋部痛を主訴に近医受診.胆嚢の腫大,疹痛の増強を認め,当院紹介入院となった.超音波検査では胆嚢腫大,内部に胆泥様の陰影を認め,ドップラーエコー上,血流シグナルを認めなかった.CT検査では,胆嚢腫大,壁肥厚を認めたが,造影効果を認めなかった.胆嚢腫大の軽快がないため,経皮経肝的胆嚢穿刺ドンナージ施行したが,細胞診はclass2で胆管像も異常を認めず,膵・胆管合流異常は認めなかった.腫瘍マーカーが高値であり,上記所見より胆嚢癌も疑ったが,高齢,合併症の問題より,胆嚢全層切除,R
1郭清を施行した.摘出標本では,盟嚢内腔を充満する白色の乳頭状腫瘤が充満していたが,胆嚢結石は認めなかった.病理組織検査では乳頭浸潤癌で,一部漿膜下層へ浸潤を認めた.術後1年9カ月,肝転移にて死亡した.
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