胆嚢結石頸部嵌頓症例を検討し, 本症例における腹腔鏡手術の進め方を検討した.1996年1月から2001年12月まで当科で経験した腹腔鏡下胆嚢摘出術167例を対象とした. 嵌頓症例は20例(12.0%), 非嵌頓症例は147例(88%)で, これらについて手術時間, 出血量, 結石の種類, 手術状況について比較した. 平均手術時間は非嵌頓症例で96.5±36.5分,嵌頓症例で148.8±49.8分で,有意に嵌頓症例が長かった. 平均出血量は,非嵌頓症例で31.5±120.6g,嵌頓症例で144.5±151.4gで有意に嵌頓症例が多かった. 結石の種類は両群ともに混合石が半数を占め,大きさに有意差を認めなかった. 開腹移行率は,嵌頓症例で5例(25%), 非嵌頓症例で1例(0.7%)であった. 嵌頓症例における開腹移行までの平均時問は59±47.4分, 開腹に至った理由は,3管合流部の炎症によって切石不能(4例), 止血目的(1例)であった. 合併症として, 嵌頓症例の2例に結石の遺残を認めた. 非嵌頓症例では認めなかった. 胆嚢結石頸部嵌頓症例においては,術前に嵌頓結石の位置と個数を確認しておくことが重要であり,3管合流部に炎症がおよび切石不能な場合には,速やかに開腹に移行すべきであると考えた.
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