胆道
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17 巻, 2 号
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  • 安井 應紀, 安藤 秀明, 黒川 敏昭, 伊勢 憲人
    2003 年 17 巻 2 号 p. 73-76
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢結石頸部嵌頓症例を検討し, 本症例における腹腔鏡手術の進め方を検討した.1996年1月から2001年12月まで当科で経験した腹腔鏡下胆嚢摘出術167例を対象とした. 嵌頓症例は20例(12.0%), 非嵌頓症例は147例(88%)で, これらについて手術時間, 出血量, 結石の種類, 手術状況について比較した. 平均手術時間は非嵌頓症例で96.5±36.5分,嵌頓症例で148.8±49.8分で,有意に嵌頓症例が長かった. 平均出血量は,非嵌頓症例で31.5±120.6g,嵌頓症例で144.5±151.4gで有意に嵌頓症例が多かった. 結石の種類は両群ともに混合石が半数を占め,大きさに有意差を認めなかった. 開腹移行率は,嵌頓症例で5例(25%), 非嵌頓症例で1例(0.7%)であった. 嵌頓症例における開腹移行までの平均時問は59±47.4分, 開腹に至った理由は,3管合流部の炎症によって切石不能(4例), 止血目的(1例)であった. 合併症として, 嵌頓症例の2例に結石の遺残を認めた. 非嵌頓症例では認めなかった. 胆嚢結石頸部嵌頓症例においては,術前に嵌頓結石の位置と個数を確認しておくことが重要であり,3管合流部に炎症がおよび切石不能な場合には,速やかに開腹に移行すべきであると考えた.
  • 西村 一宣
    2003 年 17 巻 2 号 p. 77-85
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆管合流形態を詳細に把握することは,合理的かつ根治的な肝切除術を目指すために重要である.Three-dimensional rotational digital subtraction cholangiography(3D-RDSC)を用いて右肝内胆管合流形態を分析し,その有用性を検討する.対象は3D-RDSCを施行した49症例中,良好な三次元画像を得られた45例とした.描出成功率は91.8%だった.前区域枝本幹形成例は66.7%だった.B8本幹とB5本幹の合流が26.7%,B5分枝の中枢側合流が33.3%,B5分枝がB8細亜区域枝に合流するものが40.0%だった.前区域枝本幹無形成例を15例33.3%に認めた.前上亜区域内側枝の合流形態の検討を行った.後区域枝本幹形成例は91.1%だった.B7とB6の合流B6分枝の中枢側合流,B6分枝がB7細亜区域枝に合流するものがそれぞれ31.7%,56.1%,12.2%だった.3D-RDSCは肝門部胆管から細亜区域枝にかけて,形態の詳細な把握が可能で,胆管の所属区域や合流順序の分析に有用だった.
  • 江川 直人, 神澤 輝実, 鶴田 耕二, 岡本 篤武
    2003 年 17 巻 2 号 p. 86-91
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    手術または剖検で確認された胆嚢癌197例のうち, 膵・胆管合流異常例を除く183例と, 胆石症で手術を受け癌のないことが明らかな2,330例(男性893例, 女性1,437例)を対象にして, 胆嚢胆石症と胆嚢癌との関係についての男女差を検討した. 有石胆嚢癌は117例(男性29例, 女性88例), 無石胆嚢癌は66例(男性33例, 女性33例)であり, 前者は女性に有意に多かった. 有石胆嚢癌の平均年齢は胆石症の平均年齢と比べ,男性では16歳, 女性では12歳ほど高かった. また, 男性では有石胆嚢癌の頻度は年代を経るごとに高くなり, 80歳代で80%であるのに対して, 女性では一定の傾向がみられず, ほぼ一様に高かった. 一方, 胆石症に占める胆嚢癌の頻度は, 各年代を通して女性に多かった. 以上から, 胆嚢癌の発癌における胆石の関与の程度には性差があり, 女性については胆石の発癌に対する影響がより強い可能性が示唆された.
  • 上遠野 由紀, 早川 直和, 山本 英夫, 北川 雄一, 笹屋 高大, 梛野 正人, 二村 雄次
    2003 年 17 巻 2 号 p. 92-96
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は43歳,男性,健康診断で胆石を指摘され,手術目的で当科入院となった.US,CTで胆嚢内腔を2つ認め,一方の内腔に胆石を認めた.点滴静注胆道造影(DIC)では2つの胆嚢と,それぞれ独立した胆嚢管が別々に総胆管に開口している所見が得られ,重複胆嚢と診断し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術中胆道造影では,2本の胆嚢管は術前のDIC通り,別々に総胆管に合流することが確認された.病理組織学検査では2つの胆嚢は固有筋層までは独立していたが,漿膜から漿膜下層は連続していた.胆管損傷防止のために,術前,術中の胆嚢管の走向評価が大切である.
  • 関田 孝晴, 佐々木 誠, 古川 正人, 徳永 祐二, 伊東 正博
    2003 年 17 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    我々は磁器様胆嚢の1症例を経験したので,若干の文献的考察を加え報告した.症例は67歳女性で,主訴は特になく2年前の入院時検査で偶然見つかった.胆嚢癌合併の可能性も考え胆嚢摘出術を施行したが,癌合併はなかった.
    磁器様胆嚢は胆嚢癌の合併率が高いとされ,診断がつけば手術適応とされてきたが,最近の米国での大規模な2つの調査では,合併率は0%,5%と報告されている.また磁器様胆嚢の胆嚢石灰化には2通りのパターン,すなわち selective mucosal calcification と diffuse intramural calcification があり,前者は癌を合併しやすいが後者は合併が見られないと報告されている.自験例も後者のパターンで,確かに癌合併は見られなかった.今後後者のタイプの磁器様胆嚢と診断した場合,その手術適応について再検討が必要と思われる.
  • 森 隆, 松田 忠和, 高倉 範尚
    2003 年 17 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,男性.閉塞性黄疸と大量腹水貯留にて当院へ入院となった.腹部CT検査で肝門部の低吸収域と肝内胆管拡張を認め,肝右葉に著明な萎縮を認めた.内視鏡的逆行性胆管造影では,肝門部に結石陰影を認め,総肝管にその圧迫によると思われるスムースな狭窄を認めた.これらの画像検査からから胆嚢肝管瘻を伴うMirizzi症候群と診断したが,術中病理迅速診断の結果が判明するまで胆道癌の合併を否定し得なかった.術中,胆嚢と右肝管の間の瘻孔が明かとなり,周辺組織の病理迅速診断では悪性所見無しとの結果を得たが,肝右葉の萎縮が高度であったため,肝右葉切除・T字管を用いた肝門部肝管形成術を選択した.胆嚢肝管瘻症例に対する肝切除術の報告は検索し得た範囲では見られないが,症例によっては肝管空腸吻合による胆道再建術よりも優れた術式になる場合もあると考えられた.
  • 村瀬 勝俊, 角 泰廣, 島本 強, 近藤 哲矢, 尾関 豊, 大西 佳文
    2003 年 17 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流異常を合併し, 胆嚢癌と鑑別が困難であった胆嚢adenomyomatosisの1例を経験したので報告する.症傍は60歳女性,1998年検診の腹部超音波で胆嚢ポリープを指摘され, 2001年12月にポリープが増大したため当科を受診した. 腹部超音波では胆嚢底部に12mm大の広基性の隆起性病変を認め,CTで同部に多血性の壁肥厚を認めた.ERCPで同部に辺縁が不整な約20mm大の陰影欠損を認め,また膵・胆管合流異常が疑われた.胆嚢癌の診断で手術を施行した.胆嚢底部に約2cm大の柔らかい腫瘤を触知し,胆汁中アミラーゼは280,700IU/lと高値で合流異常を合併した胆嚢癌と考えた.肝S4a,S5切除術を施行した.病理組織学的診断では,粘膜の過形成を伴った胆嚢adenomyomatosisであった.
  • 矢澤 直樹, 飛田 浩輔, 大谷 泰雄, 堂脇 昌一, 杉尾 芳紀, 石過 孝文, 田島 知郎, 幕内 博康
    2003 年 17 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    巨大傍乳頭憩室を合併した超高齢者総胆管結石症に対して,経皮経肝経胆嚢管的乳頭バルーン拡張術を施行し,総胆管結石を排石し得た症例を経験した.症例は96歳男性.平成13年6月,総胆管結石による閉塞性胆管炎で近医に入院.禁食のまま保存的治療を受けていた.10月,加療目的に当院紹介入院となった.巨大傍乳頭憩室のために経乳頭的アプーローチによる採石が困難であった.胆道減圧目的に経皮経肝胆嚢ドレナージ(PTGBD)を施行し,経口摂取を始め,さらに経胆嚢管的アプローチで乳頭バルーン拡張術を施行した.
    経皮経肝経胆嚢管的乳頭バルーン拡張術は低侵襲で手技的にも容易であり,1)経乳頭的アプローチおよび従来の経皮経肝的アプローチが困難な症例,2)胆道減圧目的にすでにPTGBDが施行されている症例,3)高齢者や併存疾患を有する症例に対して有用であると考えられた.
  • 木暮 道夫, 今泉 俊秀, 増田 浩, 松山 秀樹
    2003 年 17 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    60歳男性.以前より,胆嚢にびまん性のコンステローシスを指摘されていた.右上腹部の腫脹・疼痛を主訴に,当院を受診した.腹部エコーにて胆嚢の腫大,壁肥厚に加え,全域にわたる最大径2mm程度の hyperechoic な小隆起性病変を多数認め,胆嚢炎,コレステローシスと診断した.結石やポリープは指摘できなかった.切除標本で胆嚢全域にコレステローシスが見られ,胆嚢は腫大し,壁はやや肥厚していた.胆嚢頸部から胆嚢管にかけての内腔に, 折れ重なるように黄白色のコレステローシスが群生していた. 胆嚢管壁も一部肥厚が見られた.これらのことから,胆嚢管から胆嚢頸部にかけてのコレステローシスにより,胆嚢内の胆汁の流出が妨げられ,胆嚢炎を生じたものと考えられた.胆嚢管,胆嚢頸部のコレステローシスの存在は,コレステロールポリープの脱落・嵌頓例と共に, 胆嚢炎の原因となりうると考えられた.
  • 長 剛正, 柳澤 暁, 遠山 洋一, 中里 雄一, 山崎 哲資, 柏木 秀幸
    2003 年 17 巻 2 号 p. 125-129
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆管断端神経腫は,胆滴術後の胆嚢管断端に発生する稀な疾患である.今回我々は,腹腔鏡下胆摘術の際に胆管損傷をきたし胆管端々吻合再建術を施行したが,術後2年3カ月で,吻合部胆管に断端神経腫を発生した1例を経験したので報告する.症例は51歳の女性で,主訴は黄疸.精査の結果,上部胆管に全周性の狭窄を認めた.画像診断および胆管損傷の既往があることから,胆管端々吻合部の良性胆管狭窄の術前診断で,狭窄部胆管切除術および胆管空腸吻合術を施行した.術後の病理組織学的検査で,狭窄部胆管の断端神経腫と診断された.胆管狭窄を認める胆管断端神経腫の治療は,胆管癌を完全に鑑別することが困難であるため,胆管狭窄部の局所切除が適切とされている.特に自験例のごとく,胆管損傷の既往のある術後胆管狭窄では,常に本症を念頭におき加療する必要がある.
  • 太田 徹哉, 藤山 敏行, 戸田 大作, 渡辺 啓太郎, 佃 和憲, 村上 正和, 内藤 稔, 清水 信義
    2003 年 17 巻 2 号 p. 130-134
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    良性乳頭部狭窄に対して外科的に乳頭形成術を行い,術後7年経過して乳頭部癌を生じた,稀な1例を経験したので報告する.
    症例は70歳の女性で,平成6年8月に他院で腹腔鏡下胆嚢摘出徳を受けた.平成7年5月より反復する上腹部痛あり,良性乳頭部狭窄と診断された.平成7年9月22日に経十二指腸的乳頭形成術を施行し,術中の乳頭部生検では炎症を伴うfibrosisとの病理診断を得た.術後経過は良好であったが,7年後の平成14年5月頃より白色便排出に気づいた.内視鏡検査にて,乳頭部にやや扁平な隆起を伴う潰瘍性病変を認め,乳頭部癌と診断された.平成14年9月2日に膵頭十二指腸切除術,D2リンパ節廓清術を行った.術後の総合的進行度としては,t2,n1,H0,P0,M(-)のstage IIであった,良性と診断された乳頭部狭窄症であっても,乳頭形成術後に乳頭および胆管内に新たな悪性病変が発生してくる可能性を念頭に置いて経過観察をする必要があると思われた.
  • 糸川 文英, 糸井 隆夫, 中村 和人, 祖父尼 淳, 森安 史典, 河合 隆, 小澤 隆, 三室 晶弘, 青木 達哉, 土田 明彦, 芹澤 ...
    2003 年 17 巻 2 号 p. 135-142
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    今回我々は,急性膵炎を契機に発見された胆嚢癌を経験した.外科切除時の胆嚢胆汁中に多数の小腫瘍片を認め,術前のERCPにても下部胆管に小透亮像が散見されたことより,この小腫瘍片が急性膵炎の原因と推測された.これまでに胆嚢癌に合併した急性膵炎の報告例は,自験例以外はすべて膵・胆管合流異常を合併している.本症例は合流異常を伴わないものの, 病理組織学的には合流異常に伴う胆嚢病変にしばしばみられるような,高い増殖能を有する広範囲の粘膜病変とK-rasコドン12の変異を有しており,合流異常に類似した病態の存在が示唆された.また頸部側には,周囲に反応性変化を伴わない脈管侵襲による低異型度の癌腺管が固有筋層から漿膜下層を中心として広範囲に広がっており,術前の画像診断での深達度診断は困難であった.
  • 木村 泰三, 鈴木 憲次
    2003 年 17 巻 2 号 p. 143-144
    発行日: 2003/07/30
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
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