胆道
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17 巻, 4-5 号
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  • 永川 宅和
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 379-384
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 齊藤 直人, 篠塚 望, 宮澤 光男, 上笹 直, 俵 英之, 小澤 修太郎, 小川 展二, 松本 隆, 小山 勇
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 385-390
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Vascular Closure Staple(VCS)を用いた総胆管直接閉鎖術の長期的な有用性を実験的に検討するため,ウサギ6例に対しVCSクリップを用いた総胆管の直接閉鎖術を施行し,3カ月(2例),8カ月(2例),15カ月(2例)経過後のモデルの腹腔内の状態閉鎖部の組織学的検討,胆道造影,採血検査にて比較検討した.15カ月経過後のモデルにおいて,腹腔内へのクリップの脱落が認められた.閉鎖部の組織学的検討,胆道造影,採血検査においては全例に良好な結果が得られ,各モデルに有意な差はなかった.VCSクリップを用いた総胆管直接閉鎖術は,腹腔内へ落下したクリップに関し今後の検討課題が残ったが,長期生存例においても有用性が示された.今後,臨床例,特に腹腔鏡下手術においての応用を再検討する必要があると考えられる.
  • 安藤 秀明, 安井 應紀, 黒川 敏昭, 阿部 福光, 山本 雄造
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 391-395
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸に対するPTBDは広く安全に行なわれるようになったが,依然,留置後のチューブ逸脱は重大な問題である.以前,当科で1985年から1992年に施行したPTBD97件を解析し,右側胸部穿刺と胆道内ドレナージチューブ留置距離が短いことが逸脱の要因であることを報告した.これにもとづき,1997年から前腹壁から可能な限り末梢胆管穿刺によるPTBDを施行し,1997年から2002年まで施行したPTBD221例を検討した結果,以前18.2%あったチューブ逸脱が1.4%と改善した.また,PTBD後1週間以内の胆道造影でチューブ位置の調整が必要であったものが5.9%あり,チューブ管理上重要と考えた.最近では,肝内胆管閉塞症例に対して,多孔式バルーン付胆道ドレナージチューブを試作し,内瘻化後チューブを留置してからはチューブ逸脱を経験していない.
  • 嘉川 潤一, 松元 淳
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 396-401
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆道疾患63例,健常群12例に対し,内視鏡的乳頭括約筋内圧測定(sphincter ofOddi manometry)を行ない,その有用性を検討した.Oddi括約筋の胆管側,膵管側いずれかで基礎圧が40mmHg以上,かつ1分以上持続する場合を内圧異常高値と定義すると,その出現率は胆嚢結石で62%,胆嚢総胆管結石で60%であり,胆道結石の存在に乳頭部狭窄が関与している可能性が考えられた.乳頭括約筋機能障害(sphincter of Oddi dysfunction)の異常高値出現率は50%であり,原因不明の腹痛を訴える患者の中には乳頭部狭窄が原因であるものが含まれている可能性も示唆され,内圧測定は乳頭括約筋機能障害の診断に有用な検査法であると思われた.
  • 坂本 英至, 長谷川 洋, 小木曽 清二, 伊神 剛, 森 俊治, 田畑 智丈, 河合 清貴, 杉本 昌之, 深見 保之
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 402-406
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は69歳,男性.10年前総胆管結石にて経皮経肝胆道鏡下截石の既往がある.無症状であったが,CT,MRCPで右後区域胆管,総胆管に結石を疑い精査した.MRCPでは右後区域胆管枝が胆嚢管と共通管を形成し,肝門より低位に合流する久次I型の胆管走向異常を認めた.胆嚢管合流部より肝側の右後区域胆管内に1個,総胆管内に2個の結石を認めた.経乳頭的截石が不成功に終わったため,腹腔鏡下に手術を施行した.胆嚢を摘出し,経胆嚢管的に胆道鏡を挿入,総胆管結石および右後区域胆管内の結石を截石しえた.術後経過は順調で,第7病日退院した.異所性肝管内の結石の報告は少なく,腹腔鏡下截石の報告はない. 本症例は異所性肝管が胆嚢管と合流していたため, 経胆嚢管的に截石しえた.
  • 森 隆, 松田 忠和
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 407-412
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    題嚢胆管瘻は,胆石症における稀な合併症である.その外科的治療はT字管などのステントチューブを挿入して,胆嚢壁で胆管欠損部を閉鎖する方法が第一選択とされ,何らかの事情でこの方法が不可能な場合には,胆管腸管吻合術による胆道再建術が第二の選択肢とされてきた.今回我々は,胆管欠損部を胆嚢壁で閉鎖しきれなかった胆嚢胆管瘻合併Mirizzi症候群症例に対して,ステントチューブ挿入の上で肝円索と大網を用いて胆管欠損部を被覆し,良好な結果を得た症例を経験したので報告する.この術式は胆管腸管吻合術よりも容易で手術侵襲も軽く,胆嚢胆管瘻合併Mirizzi症候群の手術において,胆嚢壁を用いた胆管欠損部閉鎖術と胆管腸管吻合による胆道再建術の中間に位置する,有用な方法と考えられるので報告する。
  • 内田 尚仁, 小原 英幹, 福間 博基, 江崎 徹, 筒井 邦彦, 鎌田 英紀, 中津 敏明, 栗山 茂樹
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 413-417
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    欧米においては,PSCの約80%に炎症性腸疾患が合併すると報告されているが,本邦における合併率は低いとされていた.しかし,PSCの病態に対する理解の深まりとともに,本邦における腸管病変の合併率も増加しつつある.さらに,本邦における合併腸疾患には,欧米のものと比べていくつかの相違点があることも報告されている.今回我々は,PSCに合併した右側結腸優位の分類不能型腸炎が,生体部分肝移植後に消失した症例を経験したので報告する.症例は21歳時(平成3年)にPSCと診断され,大腸内視鏡検査にて回腸末端のびらん,上行結腸のびらんおよびハウストラの不明瞭化を認めた.10年の経過観察の間に,3回の大腸内視鏡検査を行なったが,腸管病変に変化はみられなかった,また,経過中に腸炎症状を訴えることもなかった.その後,平成13年に肝不全のために生体部分肝移植を施行した.移植後の経過は順調であり,肝機能も正常化した.さらに,移植後14カ月目に大腸内視鏡検査を施行したところ,腸管病変は完全に消失していた.生体部分肝移植後の合併腸疾患の経過に関する報告は少なく,貴重な症例と考え報告する.
  • 谷崎 裕志, 河野 至明, 古瀬 純司, 小林 昭彦
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 418-423
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下胆嚢摘出術後に判明した肝後区域胆管枝完全閉塞に対し, 経皮経肝胆道ドレナージ術(PTCD)下に胆管内に無水エタノールを注入することにより治療しえた症例を経験したので報告する.症例は41歳,女性.胆石・胆嚢炎に対し,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.術後1年6カ月目に背部痛,肝機能障害を指摘され,精査のため当院受診した.精査にて肝後区域胆管枝のみの拡張を認め,腹腔鏡下手術時の肝後区域胆管枝の損傷による胆管閉塞と診断した.6カ月間経過をみたが症状の改善認めず,治療目的で入院となった.入院後,肝後区域胆管枝にPTCD tubeを挿入し,内瘻化を試みたが不成功で,PTCD tubeより無水エタノールを注入することとした.連日で約5~8mlの無水エタノールをPTCD tubeより注入し,計19日間施行した後,胆汁産生のないことを確認し,PTCD tubeを抜去した,抜去後,2日目に退院した.その後,経過は良好であり治療後1年10カ月経った現在,症状も消失し,画像的にも肝後区域胆管枝の拡張を認めていない.
  • 上條 謙, 星川 嘉一, 黒木 一典, 小林 憲, 中島 康雄, 朝倉 武士
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 424-428
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆道悪性狭窄に対するExpandable metallic stent(以下EMS)の有用性は認められており,その合併症に対しても種々の報告がある.しかし,EMSそのものが破損した報告は少なく,稀な合併症である.今回我々は,下部胆管に留置したEMSが破損した膵頭部癌の1例を経験したので報告する.症例は76歳女性.平成13年1月膵頭部癌による下部胆管閉塞のため,SMART stentを2本(10mm径×6cm長,10mm径×4cm長)留置し経過は順調であった.Stent留置5カ月後に腫瘍による十二指腸狭窄を来たし,胃空腸吻合術を施行した.Stent留置7カ月後に発熱,黄疸が出現し,再度PTCDが施行された.Stent破損による再閉塞を認め,tube stentによるstent in stentを行なうも改善されず,胆管空腸吻合術が施行された.腫瘍のingrowthによる破損および耐久性の不足が破損の原因と考えられた.
  • 篠原 剛, 安藤 久實
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 429-433
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は14歳の女性.右季肋部痛を主訴に近医を受診したところ,腹部腫瘤が認められ当科に転院となった.US,CT,MRI検査より肝十二指腸間膜周囲の後腹膜を原発とする腫瘍を疑い手術を行なった.切除標本では腫瘤は厚い線維性の被膜を有し,赤血球を多量に含んでいたが,上皮成分はなく腫瘍性変化も認められず,chronic expandinghematomaと診断された.
    Chronic expanding hematomaは,1980年にReidらが長期間かけ徐々に増大した血腫に対し提唱した臨床的概念である.本邦報告例の中には,自験例のように腹腔内に生じた例はない.治療法としては完全に切除することが望ましいが,長期間に亘り炎症と腫瘤の増大を繰り返しているため,周囲との癒着が高度な例も多く,本症例のように隣接臓器の合併切除を必要とする例が少なくない.
  • 前田 敦行, 江畑 智希, 金本 秀行, 古川 敬芳, 上坂 克彦
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 434-440
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 男性. 主訴は肝腫瘍の指摘. 術前の画像診断で最大径12cmの八頭状の腫瘤を肝右前区域に認め,右後区域と左内側区域の一部に進展していた.肝内胆管癌と術前診断し, 拡大肝右葉切除術を施行した. 切除標本上, 腫瘍は深い癌臍を持ち割面は白色調であった.肉眼的に線維増生の著明な部分,腫瘍が充実性に増生する部分,海綿状の部分の3つから構成され,組織学的にはそれぞれ著しい線維増生を伴い,腺管が散在する部分,肝細胞癌に類似し索状構造の部分,拡張した腺管が密に増生し蜂巣状の部分に相当した.肝細胞類似の部分を含むため,混合型肝癌との鑑別に難渋したが,すべての部分においてサイトケラチン7,19が陽性であり,hepatocyte paraffin antigen(Hep Par1)陰性であることから肝内胆管癌と最終診断した.本症例では組織学的な多彩牲を術前画像診断と対比でき,また診断に免疫組織学的手法が有用であった.
  • 坂東 正, 長田 拓哉, 野澤 聡志, 阿部 秀樹, 塚田 一博, 霜田 光義
    2003 年 17 巻 4-5 号 p. 441-446
    発行日: 2003/12/27
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    今回我々は,胆嚢穿孔をきたした稀なcholedochoceleの1例を経験したので報告する. 症例は76歳, 男性. 既往歴に糖尿病と脳出血があった. 右季肋部痛にて入院となった. 精査にて, 膵管胆管合流異常を伴わず, 総胆管結石を有し, 胆嚢穿孔をきたしたcholedochoceleと診断し,手術を施行した.術中胆道鏡では,choledochocele内の粘膜に悪性所見はなかった. 胆嚢摘除, 胆管部分切除, 総肝管十二指腸吻合術を施行した. 結石は最大径3mmのビリルビンカルシウム石が,約50個認められた.切除胆嚢の病理組織所見は,慢性胆嚢炎の所見であった.胆嚢穿孔の成因として,1)choledochoceleそのものによる胆道内圧異常, 2)胆石による胆嚢炎の重症化, 3) 糖尿病や血管病変などの全身的な基礎疾患による胆嚢壁の変化,の単独あるいは複数の関与が推察され,興味深い症例と考え報告した.
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