胆道
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18 巻, 2 号
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  • 唐澤 英偉, 小林 展章
    2004 年 18 巻 2 号 p. 107
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • E S W L 治療後の再発と胆摘術後症状の検討から
    山口 厚, 田妻 進, 西岡 智司, 兵庫 秀幸, 菅野 啓司, 沼田 義弘, 小武家 俊哉, 小道 大輔, 野中 裕広, 井上 基樹, 岩 ...
    2004 年 18 巻 2 号 p. 108-113
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    [目的] 胆石治療法の効率的な選択を目的として検討を行った.[方法] (1)当科にてESWLを施行した298例を対象とし,結石消失後の再発因子を検討した.再発群においては,高齢群(65歳以上)と若年群に分けて検討した.(2)手術時に採取した59例の胆汁を用いてコレステロール結晶析出時間(NT)測定と胆汁脂質分析を行い,胆石催石性との関連を検討した.(3)当科および関連施設にて胆石治療を行った673例でのアンケート調査をもとに,術後に出現した症状について検討した.[結果] 結石再発因子として術前胆嚢収縮能の低下が関連していた(胆嚢収縮能低下者の割合;再発群52.3%vs非再発群23.5%).高齢者では胆嚢収縮能低下にもかかわらず,再発率は増加していなかった.手術材料での胆汁分析では,高齢者胆汁にて胆汁総脂質濃度が低下しNTは延長した.胆嚢摘出後には,術後に新たな腹部症状の出現する頻度が高かった(ESWL6.4%vs胆嚢摘出術28.3%). [結語]胆石治療においては術前の結石の性状や胆嚢機能,年齢などを考慮してESWLも念頭において治療法を選択する必要がある.
  • 杉浦 信之, 阿部 朝美, 税所 宏光
    2004 年 18 巻 2 号 p. 114-118
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢温存療法(経過観察,経口胆汁酸溶解療法,ESWL)について症状の発現の有無や治療効果を検討し,胆嚢温存療法の意義を明らかにした. ESWLでは,その適応を80%以上の消失率とすると,超音波分類のI型単数個あるいはIa型がこの条件をみたした.累積再発率は13年で44%にみられ,ESWLの選択にあたっては消失率に再発を加味した検討が必要であると考えられた.胆汁酸溶解療法は,CT石灰化陽性石は完全消失が得られる確率はほとんどなかった.CT石灰化陰性石では30%以上の完全溶解率が得られ,溶解療法の適応であると考えられた.胆嚢結石の自然経過観察では,有症状群に比し有意に無症状群で有症状化率が低かった.胆嚢結石症は無症状で経過することが多く,治療選択にあたっては,どの治療においても慎重な対応が必要である.
  • 胆嚢癌併存の検討と合わせて
    糸井 隆夫, 中村 和人, 祖父尼 淳, 糸川 文英, 森安 史典, 井上 敬一郎, 斎藤 準, 小沢 隆, 土田 明彦, 青木 達哉
    2004 年 18 巻 2 号 p. 119-124
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢結石症に対する腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)前の総胆管結石の診断および治療を, 胆嚢癌合併の観点からも検討した. LC施行予定の胆嚢結石例の15%に総胆管結石合併を認め, 全例内視鏡的乳頭切開術(EST)により採石可能であった.US,CTの総胆管結石検出感度は90%, 正診率は82%であった. US,CTで結石なしとした2%に,DIC/MRCPで結石を認めた.LC前にERCP/EST施行した群の平均入院期間は20日と, 未施行群の11日よりも有意に延長していた.これまでに当院で経験した胆嚢癌107例中胆嚢結石合併は42例(39%)に認め,結石症例は無石例に比べて術前診断が困難であった.術前癌診断が困難で, LCが施行された症例を4例に認めた. LC前に総胆管結石と胆嚢癌の検索は必須であり, これらの検索に対する標準的な検査法の確立が望まれる.
  • その効率性,経済性と予後
    明石 隆吉, 清住 雄昭, 相良 勝郎
    2004 年 18 巻 2 号 p. 125-131
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    当院では胆嚢・胆管結石合併例に対して,endoscopic sphincterotomy(EST)をファーストチョイスとした治療を施行する.治療標準化の指標として当院での各治療法の成績を比較検討し,その効率性,経済性,長期予後を考察した.胆嚢・胆管結石合併例の82%は内視鏡的結石除去に成功し,82%は2回以内で結石除去し得た.胆嚢摘出術施行113例で,内視鏡的結石除去+腹腔鏡下胆嚢摘出術施行群は,他の治療法に比べて平均在院日数は18.3日と有意に短く,平均診療報酬は5,163,4点と有意に高く,入院費用総額の平均は89,917.9点と有意に安価であった.胆管結石の再発は,胆管結石除去後胆嚢摘出術施行群で有意に低率であった.胆道系悪性腫瘍の発生は,EST施行良性疾患で0.39%と,ほかの治療法と比べても高くはなかった.
    胆嚢・胆管結石合併例治療のストラテジーとして,ESTによる内視鏡的胆管結石除去後,腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行することが推奨される.
  • 久津見 弘, 信谷 健太郎, 池澤 聡, 西田 憲生, 塩見 英之, 葺屋 悦子, 鈴木 隆裕, 船津 英司, 増田 清士, 畑 和憲, 中 ...
    2004 年 18 巻 2 号 p. 132-137
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢結石による急性胆嚢炎に対しPTGBDが行われることが多いが,患者ADLの制限を伴い,チューブ留置に伴うトラブルの危険や,高齢者での痴呆誘発など問題も多い.一方,経皮経肝的胆嚢穿刺吸引術(PTGBA)はそのような危険性はないが,有効性についてはいまだ周知されていない.今回PTGBAを施行した94例の治療成績を検討した.その結果, PTGBA 1回のみで軽快したのが78例(82. 3%)であった. 残りの16例のうち,再度PTGBAを要したのは8例で,そのうち1例は3回目のPTGBAを要した.残る8例はPTGBDを施行した.最終的に待機的胆嚢摘出術が行われたのが59例で,緊急手術を必要とした症例はなかった.残る35例は併存疾患のため経過観察となった.これらのうち,追跡可能であった18例の内2例が他病死,1例が1,815日後に再発した.それ以外は再発なく経過している.PTGBAは急性胆嚢炎に対し,第一選択になると考えられた.
  • 蒲池 浩文, 倉内 宣明, 藤堂 省
    2004 年 18 巻 2 号 p. 138-144
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢結石症は, アルゴリズム・クリニカルパスの導入に適した疾患と考えられる. 現在我々は, 1)術前検査の簡素化, 2)腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を第一術式とし, 術前日入院,術後3日以内退院を目指している. 1)に関してはUSとMRCPで手術適応の決定を行うことにしているが,適合する症例は限定され,悪性疾患の除外に慎重な評価が要求される. 2)胆嚢結石症に対するLC完遂率は89.8%であり, 第一選択の術式といえるが,困難症例には小開腹併用手術も選択している. 術前日入院は, パス導入当初の1999年では21%だが,2002年には67%に,術後3日以内退院は16%から50%程度に増加しており, 併存合併症の外来検査の奨励, 急性胆嚢炎に対する早期手術の啓蒙(発症3日以内は緊急手術), 術後合併症の回避等でパス達成率の上昇を認める. いずれにせよ, 症例毎の評価と選別を慎重に行うことが重要である.
  • 多賀谷 信美, 窪田 敬一
    2004 年 18 巻 2 号 p. 145-152
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢結石症に対する手術適応基準は, 疼痛等の有症状例は絶対的手術適応で, 急性胆嚢炎の発症後3日以内は緊急手術, 4日以上経過例は待機手術とした.無症状例では小結石多数例, 壁肥厚例, 造影で胆嚢陰性例を手術適応とした.この基準にはずれる症例は, 経過観察した.腹部US, CTに加え, 壁肥厚例ではEUSを, 胆嚢陰性例ではERCを施行した.癌の疑いがない場合, 急性胆嚢炎も無症状例も全例腹腔鏡下手術の適応とし, 困難な場合, 開腹術に移行した.しかし, 癌の疑いがあれば開腹術を選択した.上記の適応にのっとった胆嚢摘出術にクリニカルパスを導入することで, 入院期間の短縮, 保険請求点数の低下, 入院費用の軽減が認められ, 1日換算での保険請求点数および入院費用は増加した.クリニカルパスを導入し, 有症状例に加え無症状例にも厳格な適応のもと腹腔鏡下手術を適応することで, 経済効果が期待できる.
  • 胆石症の臨床病期分類と治療適応,経口胆汁酸療法の意義
    安部井 誠人, 田中 直見
    2004 年 18 巻 2 号 p. 153-158
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    腹嚢結石症の症状,自然経過と生命予後,臨床分類,治療目的,腹腔鏡下胆摘術と内科治療の意義,ガイドライン作成上の留意点など,ガイドラインの作成に向け考慮すべき諸問題について考察した.特に,胆嚢結石症では腹部症状がQOL,合併症が生命予後に障害を与えることから,QOL,生命予後の観点から以下の5群に臨床分類して治療適応を決定すべきである.すなわち,1)無症状胆石(QOL・生命予後の障害なし),2)有症状胆石(胆道痛発作によるQOL障害あり),3)無症状胆石を有する有症状例(胆石に起因しないQOL障害あり),4)有合併症胆石(急性胆嚢炎,総胆管結石,急性膵炎,胆道癌等の合併による生命予後障害あり),5)胆嚢癌高危険群(膵管胆管合流異常,陶器様胆嚢,大胆石,10mm以上ポリープ等;生命予後障害あり)である.有症状胆石の治療は,腹腔鏡下胆摘術が標準治療であるが,手術の高危険群や手術を希望しない例に対しては経口胆汁酸(UDCA)による対症療法も選択肢となる.
  • 急性膵炎診療ガイドライン作成経験より
    吉田 雅博, 高田 忠敬, 安田 秀喜, 長島 郁雄, 天野 穂高, 三浦 文彦, 井坂 太洋, 豊田 真之, 杉本 真樹, 高木 健司, ...
    2004 年 18 巻 2 号 p. 159-164
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢結石は対象症例が極めて多く, MECP, CT, 内視鏡治療に代表される最新診療が広く用いられつつあるが, 客観的評価や診療の標準化はなく, 施設により診療内容が大きく異なっている.我々は「急性膵炎診療ガイドライン」作成に携わった経験より, 胆嚢結石症診療ガイドライン作成方法を提案する.方法:(1)エビデンスに基づいたガイドラインを作成するためMEDLINEや医学中央雑誌を用い文献をシステマチックに検索する.2003年12月現在, 胆石症論文約3万件(英22,000,和8,000) (2) ワーキンググループを組織し, 文献評価と質の高いエビデンス抽出を行う. (3) 日本国内の医療現状と合わせ, 実践的な治療法の推奨を行い, コンセンサス会議, 外部評価委員, 実地医家より客観的評価を受けた上で出版し, 定期的に改訂する. 効果:標準的診療方針の提示により, 医療の標準化, 効率化, 患者の予後改善, 医療費削減が期待できる.
  • 田中 直見
    2004 年 18 巻 2 号 p. 165
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 総胆管結石のhigh risk群の可能性について
    窪田 賢輔, 齋藤 秀一, 和泉 紀彦, 近藤 福雄, 角田 幸雄
    2004 年 18 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵胆管分離開口( 重複乳頭) 症例は極めて稀で, その臨床的意義は明らかでない. 自験, 膵胆管分離開口3例を検討した. 全例に傍乳頭憩室を認め,2例は総胆管結石による閉塞性胆管炎を呈した. いずれも十二指腸乳頭開口部は, 憩室と近接していた. ESTは小切開を行ない,EMLで砕石した. 十二指腸乳頭部生検を行なった膵胆管分離開口非合併の胆石9例と, 臨床病理学的に比較した. 膵胆管分離開口症例は, 生検で全例に形質細胞主体の慢性炎症, 過形成を認めた. 病理組織化学的に, この過形成病変に腫瘍的性格は認められなかった. 本例の背景に膵・胆管分離により胆汁流出障害を来し, 慢性炎症の潜在が示唆された. 膵胆管分離開口は, 総胆管結石のhigh risk群として認識すべき疾患群と考えた. また, 膵胆管分離開口に総胆管結石を伴う場合,ESTは傍乳頭憩室の存在に注意し, 慎重に行なうべきである.
  • 児島 洋, 本田 和男, 横山 和尚, 串畑 史樹, 小林 展章
    2004 年 18 巻 2 号 p. 174-181
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝内結石症の治療抵抗因子の一つである胆管狭窄に対して, アデノウイルスベクターを用いた遺伝子導入療法の可能性を検討した.
    ラット胆管炎モデルを作成し, ヒトp 53遺伝子を過剰発現させ, 胆管の増殖性変化を比較検討した. ラット胆管炎モデル作成時に, 経乳頭的に胆管にアデノウイルスベクター(AxCAh p 53,AxCALacZ)を3×108P. F. U. 投与した. 投与後3, 7日目にラットを犠牲死させ, 胆管組織を採取した. 抗ヒトp 53抗体を用いて免疫染色を行うと, AxCAh p 53投与群では胆管上皮にヒトp 53蛋白の発現が認められた.
    術後7日目の胆管壁を測定すると, AxCAhp 53投与群は, AxCALacZ投与群, 生理食塩水投与群と比較して, 有意に胆管壁の増殖抑制効果が認められた.Ki-67 Labeling Indexは, それぞれ20.7%,34.3%,37.4%とAxCAhp 53投与群が有意に低値であった.
    アデノウイルスベクターにより導入されたp53遺伝子は,ラット胆管炎モデルにおいて胆管の増殖性変化を有意に抑制した.
  • 清水 康仁, 大塚 将之, 伊藤 博, 木村 文夫, 清水 宏明, 安蒜 聡, 外川 明, 吉留 博之, 加藤 厚, 宮崎 勝
    2004 年 18 巻 2 号 p. 182-188
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝門部胆管癌の外科治療において,胆管切除断端の癌遺残は重要な予後規定因子であり,十二指腸側断端は肝側断端の評価と同様に,その手術の根治性に影響を与える.術中迅速病理診断(以下,術中迅速診)による断端評価は,癌遺残を避けるために重要である.今回,十二指腸側断端の術中迅速診の有用性とその意義について検討した.十二指腸側断端の術中迅速診は152例中140例に施行され,初回時と追加切除時も含め計146回行われた.その結果,正診率は99%,敏感度は85%,特異度は100%,偽陰性は2例であった.初回時の術中迅速診で十二指腸側断端癌陽性と診断された症例は8例(5.7%)認められ,うち4例は肝側断端の確保が可能であったため,4例中3例には追加胆管切除を,1例においては膵頭十二指腸切除を追加し,胆管側断端癌陰性をなし得た.胆管十二指腸側断端の術中迅速診は信頼性も高く,断端陽性例に対しては膵内へ追求し胆管を追加切除することによって,膵頭十二指腸切除を併施することなく治癒切除が得られる症例もあり,その有用性はきわめて高いと考えられた.
  • 花田 敬士, 日野 文明, 梶山 梧朗
    2004 年 18 巻 2 号 p. 189-192
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    比較的小型で少数の総胆管結石に対する, 内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)の長期成績を検討した. 過去7年間に施行した143例のうち, 完全排石後2年以上の経過観察が可能であった91例を対象とした. 観察期間は2年~6.8年, 平均は3.9年であった. 胆石の再発は9例(9.9%)に認められ, 再発までの平均期間は3.6年であった. 再発結石の平均径は7.9mm, 平均個数は1.7個であり, いずれも一期的に排石可能であった.一方, 4年経過した1例に胆嚢癌の発生を認めた.また, 胆嚢発癌の1例および結石再発9例中4例は, 胆道内胆汁のアミラーゼが3.000IU/l以上と高値であった. このことから, EPBD施行後の長期観察例に膵液が胆道胆汁に逆流する症例が存在し, 膵・胆管合流異常と同様の病態を惹起している可能性があり, 今後さらなる多数例での検討が必要であると考えられる.
  • Transforming Growth Factor-β1による胆管上皮細胞増殖抑制
    横室 茂樹, 有馬 保生, 水口 義昭, 清水 哲也, 川東 豊, 田尻 孝
    2004 年 18 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    純粋マウス正常肝内胆管上皮細胞の培養は, 困難な分離培養の一つとされているが,胆管癌や肝移植拒絶反応の研究には欠かせない技術である.
    胆嚢上皮細胞やラット胆管上皮細胞の培養に用いられる培養法を改良し, 純度の高いマウス正常肝内胆管上皮細胞を得ることに成功したので報告する. 肝灌流にて得られたbileduct treeを細断し,type I collagen gelに埋め込み数日間培養することで, 胆管上皮細胞が増殖し, bile duct treeは風船状に拡張する. このbile duct tree内の胆管上皮細胞を取り出すことにより, ほぼ100%の純度の胆管上皮細胞が得られた. この胆管上皮細胞はサイトカインTransforming Growth Factor-β1(TGFβ1)にて, 増殖抑制がみられた.
  • 三上 佳子, 浦上 淳, 久保添 忠彦, 伊木 勝道, 山下 和城, 角田 司
    2004 年 18 巻 2 号 p. 198-203
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例1は75歳男性, 平成7年5月, 総胆管結石, 胆管炎にて入院しPTCDを施行した. 胆汁細胞診でclass Vを認めたが, 画像上明らかな腫瘤像を認めず経過観察となった. 平成9年9月, 胆汁細胞診でclass Iであったが, ERCPにて総胆管内に腫瘤陰影を認めた.症例2は71歳男性, 平成11年1月, 総胆管結石と閉塞性黄疸の診断で入院し, PTCDを施行した.画像上胆管内に結石と思われる欠損像があり, 胆汁細胞診でclass Vを認めた.症例3は69歳男性, 平成14年5月, 胃癌の手術目的で入院した. 各種検査で下部胆管の途絶を認めた.3 例とも胆道の切除と再建術を行ったが, 術後の病理検査では, いずれも悪性所見は認められなかった. 3例とも術前に確定診断することは困難であったが, このような確定診断のつかない症例に対しては, 予後不良な悪性疾患を念頭において, 手術を施行することも必要であると考えられた.
  • 平嶋 勇希, 安田 是和, 千葉 英男, 永井 秀雄, 玉田 喜一, 川井 俊郎
    2004 年 18 巻 2 号 p. 204-210
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝内結石症に肝内胆管癌がしばしば合併することは以前より知られており, 本邦においても数多くの報告例がある.しかしながら肝内結石無症状例に遭遇した際,治療法の選択には苦慮することが多い.今回我々は,無症状肝内結石を8年間経過観察した後に手術を施行したところ,切除検体の病理組織学的検索で早期肝内胆管癌併発を認めた症例を経験した.本例は治癒切除と思われたが,術後2年で多発性肝腫瘍と腹膜播種により死亡した. 本例の問題点と文献的考察を加え報告する.
  • 為佐 卓夫, 竹本 紀一, 坂本 和彦, 岡 正朗
    2004 年 18 巻 2 号 p. 211-216
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    50歳, 女性. 上腹部不快感を主訴に肝門部胆管癌を診断された. 右肝動脈および左門脈に浸潤を認め, 肝予備能の点から手術不能と考え, 胆管ステント・リザーバー留置を施行した. 肝動注化学療法はCisplatin(以下CDDP)10mg/day,5-Fluorouracil(以下5-FU)250 mg/day,5 days/week,4 weeksを施行した. 肝動注後, 右肝動脈の浸潤と前後区域胆管の浸潤は軽減され, 肝予備能は改善していたため, 尾状葉合併拡大肝左葉切除・右肝動脈・門脈再建を施行した. 組織学的には胆管周囲結合織にわずかな癌細胞の遺残を認めるのみであった. 術後3 年9 カ月現在外来通院中である.
  • 金本 秀行, 江畑 智希, 上坂 克彦, 前田 敦行, 松永 和哉, 伊在井 淳子, 古川 敬芳, 伊藤 以知郎
    2004 年 18 巻 2 号 p. 217-223
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は70歳の男性. 2002年6月, 他院でS状結腸癌に対しS状結腸切除術が施行された. 経過観察目的で当院を初診した際に, 腹部USで肝S5,6に3.5cm大の円形の腫瘤を認めた. CTでは,腫瘤は辺縁不整で,中心部を除いて強い造影効果を認めた. こうした画像所見と,患者がC型肝炎ウイルス抗体陽性で, かつ進行大腸癌術後であったことから, 肝細胞癌・転移性肝癌・胆管細胞癌との鑑別が問題となった. 2003年2月6日, 肝右葉切除術を施行した.病理組織学的には, HE染色では立方型の腫瘍細胞からなる高分化管状腺癌の組織像であり, 転移性肝癌よりも胆管細胞癌を疑う所見であった. Cytokeratin(CK) 7,CK 19,CK 20による免疫組織学的検索を施行した結果, 腫瘍細胞はCK 7,CK 19に陽性,CK 20に陰性であり, 胆管細胞癌と確定診断した. 本症例は,進行大腸癌術後のC型肝炎患者に発生した肝腫瘍で, 術前画像診断に苦慮した. CK profile が, 胆管細胞癌と転移性肝癌との鑑別に有用であった.
  • 伊賀 陽子, 新戸 禎哲, 原田 容治, 大森 順子, 糸井 隆夫
    2004 年 18 巻 2 号 p. 224-228
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は69歳女性. 25年前に胆嚢摘出術+総胆管空腸吻合術+乳頭形成術の既往あり. 2003年5月,右季肋部痛,発熱を主訴に来院. 総ビリルビン2.9mg/dl,CRP 31.2mg/dl,白血球10,100/μlと上昇を認め,精査加療目的にて入院となった. 体温38℃, 右季肋部に圧痛を認めた.腹部USでは肝S5を中心に径83mm大のhyperechoic lesionを認め, 腹部CTでは肝門部にlow density areaと肝内胆管拡張を認めた. PTCでは中部胆管と空腸の吻合,左肝内胆管の中断, 左肝内胆管分岐部付近の不整圧排像を認めた. 胆道鏡では左肝管に顆粒状の隆起性病変を認め, 同部の生検および胆汁細胞診にてadenocarcinomaが検出され胆管癌と診断した. 吻合部からの逆行性感染による胆管炎と考え,総胆管にcovered metallic stentを留置し, 一方,癌による閉塞予防のため,右肝管にnon-covered metallic stentを留置した. その後, 胆管炎の再発はみられていない. 今回我々は,総胆管空腸吻合術の吻合部よりの逆行性感染が考えられる胆管炎に対して,covered metallic stentが有効であった症例を経験したので報告する.
  • 小井戸 一光, 木村 康利, 向谷 充宏, 平田 公一
    2004 年 18 巻 2 号 p. 229-233
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Multi slice row-detector CT (以下MDCT)による再構成3次元multiplanarreformation(以下MPR)像が, 進展度診断に有用であった中下部胆管癌の1例を報告した. 症例は48歳, 女性. 中下部胆管癌疑いで精査のため当科に入院となった. 入院後に, 胆管癌としての進展度診断をMDCTにて作成した, 冠状断MPR画像で行った.MDCTによる進展度診断は, 以下のとおりであった. 膵臓,十二指腸浸潤:Panc2,Du2,動脈浸潤,リンパ節転移:Ach0,N2,門脈系浸潤:PV0, 肉眼的胆嚢浸潤:Ginf0,肉眼的腹膜播種性転移:P0.これらの画像進展度に基づき, 当院第1外科にて膵頭十二指腸切除が施行された. MDCTによる進展度診断は, これらの病理学的進展度を比較的良好に反映しており, 今後MDCTによるMPR画像は, 胆管癌の進展度診断に有用な検査法となることが示唆された.
  • 山元 俊行, 堀口 明彦, 花井 恒一, 水野 謙司, 石原 慎, 伊東 昌広, 岩瀬 祐司, 佐藤 禎, 永田 英生, 清水 朋宏, 古澤 ...
    2004 年 18 巻 2 号 p. 234-239
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は75歳男性. 既往歴として昭和44年, 十二指腸潰瘍穿孔にて2/3胃切除術施行. 現病歴は平成14年7月頃より全身の掻痒感出現し,近医受診.黄疸を認め, 当院紹介入院となった. 腹部US,CTにて中部胆管の狭窄を認め,その後の精査にて中部胆管癌と診断された. また血管造影で,腹腔動脈起始部の閉塞, 総肝動脈と脾動脈は膵頭動脈アーケードを通じ逆行性に造影され, 正中弓状靱帯による腹腔動脈起始部圧迫症候群の合併と診断された. 術中に正中弓状靱帯を切離し, 腹腔動脈起始部の圧迫を解除したところ, 腹腔動脈の拍動は良好となり肝静脈酸素飽和度(ShvO2)の低下も認めず, 膵頭十二指腸切除術を施行しえた. 本症例は, いままでの術式の安全性をShvO2の面からも証明できた.
  • 越川 均, 須山 正文, 崔 仁煥, 窪川 良廣, 田所 洋行, 神谷 尚則, 大久保 裕直, 加藤 圭, 松村 祐志, 稲見 晃一, 川崎 ...
    2004 年 18 巻 2 号 p. 240-245
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌肉腫の4切除例を経験した. 術前診断では,3 例はいずれも腹部US,EUS,で塊状の腫瘤であり, ERCでは類円形の透亮像として描出され, 結節浸潤型胆嚢癌と診断した. 腹部CT,腹部血管造影では, 通常胆嚢癌と同様に血流が豊富で濃染像がみられた. 他の1例は塊状型胆嚢癌の所見であった. 病理組織所見は2例が深達度ssであり, 他の2例は深達度se,1例は肝転移を伴っていた. 免疫組織学的検査も含め, 全例「いわゆる癌肉腫」であった. 深達度ssの2例は5年以上経過観察可能であった.
  • 藤田 直哉, 猪狩 功遺, 亀井 明, 高野 浩一, 浅原 新吾, 清水 深雪, 藤田 力也, 山本 順司
    2004 年 18 巻 2 号 p. 246-252
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    術前診断が困難であった胆嚢炎症性ポリープの1例を経験したので, 報告する. 症例は64歳の男性. 平成14年6月の健康診断の腹部US検査で, 胆嚢腫瘍と胆石を指摘され,当院入院. 腹部USでは胆嚢体部に16mm大の亜有茎性腫瘤を認め, EUSでは腫瘤内部に低エコー領域が存在した.胆嚢壁の層構造は保たれていた. Drip Infusion Cholangio-CT(以下DIC-CT)では, 腫瘤の辺縁は不整な結節状に描出された. 各種画像所見より, 胆嚢腫瘍は腺腫以上で粘膜内の病変と診断し, 腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した. 病理組織学的診断は,リンパ球を中心とした炎症性細胞の浸潤を認め, 胆嚢炎症性ポリープであった.
  • 鈴木 修司, 原田 信比古, 鈴木 衛, 羽生 富士夫
    2004 年 18 巻 2 号 p. 253-257
    発行日: 2004/05/31
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は46歳, 男性. 全結腸型潰瘍性大腸炎, 胆石症にて経過観察されていた, 肝障害のため, 入院精査を施行し,総胆管全体に及ぶ数珠状変化,肝内胆管の枯れ枝状変化と胆嚢・胆管結石を認めた. 肝障害の改善のため, 胆嚢摘出術,総胆管切開切石, 逆行性経肝的胆管ドレナージを施行した. 胆管結石は認めていたが, 潰瘍性大腸炎の合併, 胆管像の典型的所見から, 原発性硬化性胆管炎と診断した. 外来経過観察していたが, 2年2カ月後,ALP上昇を認めたため精査入院となった.ERCP検査にて膵内胆管に内腔狭窄を認め, 口径不整像を呈し, 腹部CT検査で全周性壁肥厚を認めた. 細胞診はclass IIIであったが, 胆管癌の合併を疑い, 全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除を施行した. 切除胆管の組織像は,硬化性胆管炎に一致していた. 術後2年, 異常は認めていない. PSC経過観察中に下部胆管の限局性狭窄を呈した症例を経験したため, 文献的考察を含め報告した.
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