胆道
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19 巻, 2 号
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  • 内藤 格, 岡山 安孝, 山下 宏章, 上野 浩一郎, 宮部 勝之, 平井 正明, 坂 哲臣, 秋田 真志, 後藤 和夫, 喜多島 康弘, ...
    2005 年 19 巻 2 号 p. 133-138
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    1cm以下の小結石の切石術におけるFlowerBasketの有用性を明らかにする目的で, 臨床的検討を行った.対象は105例の総胆管結石患者で, 1cm以上の結石は機械式砕石バスケットを用い, 1cm以下まで破砕した.検討方法はEST後, FlowerBasket(27例)でX線・内視鏡的に残存結石がなくなるまで切石を行い, その後バルーンカテーテルなどで追加切石を行った. 同様に, 従来の4線バスケット(61例)でも検討を行い, 成績を比較した.また, 他の17例では4線バスケット使用後にFlowerBasketで切石を行い, 追加切石の可否を検討した, 完全切石率はFlowerBasketで63%, 4線バスケツトで36%であり, FlowerBasketが有意に良好な結果であった. 4線バスケット, FlowerBasketの順に切石を行った場合, 71%で残存結石の摘出が可能であった. 1cm以下の総胆管結石を内視鏡で確実, 迅速に摘出するため, FlowerBasketは極めて有用な処置具であった.
  • 角田 和彦, 白井 良夫, 若井 俊文, 横山 直行, 畠山 勝義
    2005 年 19 巻 2 号 p. 139-142
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝硬変では, 胆嚢結石の発生が高率である. 本研究では, 肝硬変の前段階である慢性肝炎が, すでに胆嚢結石のハイリスク状態であるか否かを検討した. 当科で施行された肝切除244症例のうち, 胆摘術の既往がない222例を対象とした. 切除肝の組織像により, 対象例を肝硬変群(N=64), 慢性肝炎群(N=70), 非慢性肝疾患群(N=88)の3群に分類した.胆嚢結石を肝硬変群15例, 慢性肝炎群13例, 非慢性肝疾患群7例に認めた. 肝硬変群, 慢性肝炎群の胆石有病率は, 非漫性肝疾患群に比し有意に高率であった(それぞれp=0.008, p=O.042)が, 前2群間には有意差がなかった(p=0.489). 単変量解析では, 切除肝の組織像(p=0.026), 血小板数(p=0.011)が胆石有病率と有意に関連した.多変量解析では, 切除肝の組織像(Odds比=3.056, p=O.013)だけが麗嚢結石の独立危険因子であった. 以上の成績から, 慢性肝疾患(肝硬変, 慢性肝炎)は胆嚢結石のハイリスク状態と考えられる.
  • 吉田 徹, 菅井 有, 幅野 渉, 中村 眞一, 佐々木 亮孝, 舩渡 治, 菅野 千治, 斎藤 和好
    2005 年 19 巻 2 号 p. 143-148
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆嚢癌のcarcinogenesisと膵・胆管合流異常(以下, 合流異常)との関連を, Kras癌遺伝子とp53癌抑制遺伝子変異の関点から検討した. 対象は合流異常症例33例(服嚢過形成18例, 胆嚢腺腫1例, 胆嚢癌14例)および合流異常を併存しない胆嚢癌36例とした. 正常胆嚢ではK-ras, P53遺伝子の異常は認めず, 合流異常の過形成病変ではKras, p53遺伝子の変異は, それぞれ27.8%, 33%, 腺腫では100%, 100%, 癌では28.6%, 33%であった.合流異常を伴わない胆嚢癌では8.3%, 36%であった.20歳以下の若年者にはK-rasの変異は43%に認めたが, P53の変異を認めた症例はなかった.K-ras, P53遺伝子の変異の頻度は, 過形成病変と癌との間に有意な差は認めなかった. K-ras遺伝子は過形成上皮形成への関与は示唆されたが, 胆嚢癌の発生・進展への関わりは少ないと思われた.
  • 小山内 学, 真口 宏介, 糸川 文英, 石渡 裕俊, 松永 隆裕, 潟沼 朗生, 高橋 邦幸
    2005 年 19 巻 2 号 p. 149-153
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆管結石初回治療例における, 内視鏡的乳頭括約筋切開衛(EST)と内視鏡的乳頭バルーン拡張術(EPBD)の治療成績と結石再発について検討した. 対象の449例を一定の選択基準のもとにESTとEPBDを行った結果, EST群241例(53.7%), EPBD群208例(46.3%)であった. 結石の完全截石率は, EST群で98.3%(237/241)に対しEPBD群では95.2%(198/208)であり, 9例(4.3%)はESTへ移行した.偶発症は, EST群6.9%(17/246), EPBD群5.1%(10/198)であり, EST群では出血, 穿孔がEPBD群に比べ頻度が高く, 膵炎はEPBD群でやや頻度が高かった. 結石再発率は, EST群で10.4%(23/222), EPBD群2.1%(4/187)でありEST群で高かった. 胆管結石初回治療例に対するESTとEPBDは, 治療成績偶発症に差はないものの, 結石再発率はEST群で高く, EST後の消化管内溶液の逆流などが結石再発に関与している可能性が示唆された. これらの解明にはEST, EPBD後の長期予後の検討がさらに必要である.
  • 橋本 真治, 中郡 聡夫, 小西 大, 高橋 進一郎, 後藤田 直人, 木下 平
    2005 年 19 巻 2 号 p. 154-159
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は29歳女性. 既往歴, 家族歴は特記事項なし. 初回出産後9日目から繰り返す上腹部痛と嘔吐が出現し, 近医で急性膵炎と診断された. 前医での原因検索の結果, 膵・胆管含流異常を疑い, 当院へ紹介入院.精査の結果, 十二指腸第2部に嚢胞性腫瘍が存在したが, 前医CTと当院CTでは病変の位置が大動脈の左側, 右側と大きく異なっていた 内視鏡検査, MRCPを含めた画像診断からcholedochoceleと診断し, 切除の方針とした.開腹所見では, 十二指腸が後腹膜に固定されていないため, 病変が可動性であった. 胆嚢摘出術および嚢胞全摘術を施行した.術中胆道造影では, 膵・胆管合流異常は認めず, 共通管が嚢状に拡張していた. 胆汁中のアミラーゼ値は22, 500IU/lと高値を示した. 組織学的に病変内腔は固有筋層を伴う十二指腸粘膜であった. 術後, 経過は順調で, 第7病日に退院した. 術後6カ月現在, 無症状で外来通院中である.
  • 田畑 智丈, 長谷川 洋, 坂本 英至, 小松 俊一郎, 広松 孝, 板津 慶太, 河合 清貴, 深見 保之, 青葉 太郎
    2005 年 19 巻 2 号 p. 160-165
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Churg-Strauss syndrome(以下CSS)にてステロイド療法中の患者に認められ, 短期問に大きく形態が変化した胆嚢偽腫瘍を経験したので報告する.
    症例は60歳女性.3年前よりCSSの治療のため, ステロイドの内腺治療を受けていた.右季肋部痛にて発症. 来院時採血検査にて炎症所見を認め, 腹部エコーにて胆嚢内に複数の小結石を認めたため, 胆嚢炎の診断で入院となった.
    入院後の精査にて, 胆嚢内に経時的に形態が変化する隆起性病変を認めた. 胆嚢癌を否定できないため開腹胆嚢摘出術を施行したところ, 胆嚢体部腹腔側に虚血壊死組織を主体とし, 黒色に変性した4cm×3cmの有茎性の隆起性病変を認めた. 病変のほぼ全体が, 壊死組織で構成されていた, 一部残存した組織には, 異型性を認めなかった. 胆嚢壁の血管周闘に好酸球を混じた高度の炎症を認め, リンパ節には類上皮肉芽腫の形成を認めた.
    以上より, 本症例における腫瘍性病変は, 胆嚢壁の血管炎が起因となり生じた胆嚢壁の虚血性変化と診断した. また, 本症例における腫瘍性病変の形成過程を, 画像所見と標本所見からレトロスペクティブに考察した.
  • 麻田 貴志, 千々岩 一男, 甲斐 真弘, 内山 周一郎, 大内田 次郎, 近藤 千博
    2005 年 19 巻 2 号 p. 166-170
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆管嚢胞腺癌の1切除例を経験したので報告する. 症例は68歳, 男性, 右季肋部痛を主訴に近医を受診腹部超音波およびCTで肝外側区域に嚢胞性病変を指摘され, 精査目的で当科に入院となった. 肝外側区域の嚢胞性腫瘍は7cm大で, 造影CTで増強効果のある充実性結節を伴っており, 血管造影で腫瘍辺縁の濃染像を認めたため, 胆管嚢胞腺癌と術前診断した. 肝S5にも2cm大の病変を認め, 肝内転移を否定できなかった 肝外側区域の病巣からの術中針生検で腺癌の診断のもと, 肝左三区域切除, 尾状葉切除, 肝外胆管切除, リンパ節郭清を行った. 肝外側区域の主病巣は高分化型乳頭状腺癌で, 被膜および間質への浸潤と, 粘液の貯留を認め, 最終病理診断は胆管嚢胞腺癌であった.S5の病変は病理組織学的には硝子様変性の像で, 悪性所見を認めなかった.リンパ節転移は認めなかった. 術後合併症は認めず, 術後1年3カ月の現在, 再発なく健在である.
  • 清家 正弘, 池田 真幸, 多田 知子, 志村 純一, 浮田 雄生, 井上 博和, 前谷 容, 酒井 義浩
    2005 年 19 巻 2 号 p. 171-177
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は85歳女性. 上腹部痛, 嘔吐を主訴に受診し, 血液検査で貧血があり上部消化管出血の疑診で入院した. 上部消化管内視鏡で十二指腸球部前壁に潰瘍性病変があり, その肛門測は結石で閉塞していた. 腹部超音波, CT, 十二指腸造影で十二指腸内の結石像と共に十二指腸と胆嚢の交通がみられ, 胆石イレウス, 胆嚢十二指腸瘻と診断した. 本例はBouveret症候群といわれ, 多くは外科的治療が行われる.本例は上部消化管内視鏡下に電気水圧衝撃波結石破砕を行い, 結石を全て破砕し治療に成功した. 本法が行える条件は, 内視鏡で結石を視認できる症例と限定されるものの, 低侵襲かつ有用な方法であると思われる.
  • 浦上 淳, 三上 佳子, 松本 英男, 山下 和城, 平井 敏弘, 角田 司
    2005 年 19 巻 2 号 p. 178-183
    発行日: 2005/06/20
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)を施行した胆嚢捻転症を3例経験した. 症例1は96歳, 女性で主訴は腹痛. 症例2は85歳女性で主訴は右季肋部痛. 症例3は81歳, 女性で主訴は上腹部腹痛と嘔吐であった. 3例とも腹部USで, 術前に胆嚢捻転症と診断しLCを行った.そのうち2例には造影US検査を行い, 胆嚢壁の血流の乏しいことが確認され, 診断に有用であった. LCは通常の4または3ポートで施行した. 症例1は時計方向に約270度, 症例2と3は時計方向に約180度捻転していた. 本症では肝床部に胆嚢が付着していないか, または付着していてもわずかであるため, 捻転を解除してしまえば, 肝床部の剥離をしなくてよいので, LCは容易であった. 本症が疑われたら, LCを第一選択の治療とすべきと考えられた.
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