近年, 総胆管結石症の治療は, 多くの場合, 内視鏡的なアプローチによって結石除去が行われている. 結石除去の効率, 早期合併症の頻度の観点から, EST (endoscopic sphincterotomy) あるいはEPBD (endoscopic papillary balloon dilatation) について, 両者の優位性が論議され, また, 長期合併症である結石再発の面からも議論されている. 今回, 両手技およびESWL (extracorporeal shock wave lithotripsy) を用いて結石除去が可能であった302例を対象とし, 結石再発と手技および胆嚢の有無の関係, また, 結石有無と胆管径, 胆管内の感染の有無についての検討を行った. 全症例の結石再発は, 302例中28例 (9.3%) であったが, 胆嚢結石有りの群では, 8.7%, 胆嚢結石無しの群で7.1%, 胆摘後の群で15.2%の再発率であった. また, 胆汁中細菌培養検査を施行し得た44例について, 細菌感染の有無を検討すると, 結石を有する症例では, 90.9%で感染を認めたが, 結石を有さない症例では, 9.1%の感染率であった. また, それぞれの胆管径は, 平均14.8mm, 8.9mmと有意に総胆管結石群で拡張を認めた. 結石再発の観点から, 総胆管結石の除去において, 胆管内への逆行性感染を阻止することが重要であり, 胆嚢機能の温存と, 十二指腸乳頭機能の温存を考慮した結石除去が望ましいと考えられた.
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