要旨:【目的】教室における中·下部胆管癌切除症例の予後因子として,「胆管断端癌陽性」の意義と,その取り扱いに関して検討した.
【対象と方法】2007年7月までに教室で経験した中·下部胆管癌切除57例.男性42例,女性15例,平均年齢66±10.2歳.
【結果】全例の5年生存率は33.3%で,根治度別の生存率は,f Cur A·B(36例/44.5%),C(21例/0%)と,f Cur C症例において有意に予後不良であった.多変量解析では,胆管断端癌陽性が独立した予後因子であった(H.R. 3.27,95% C.I. 1.003-10.663,p=0.0495).しかし,胆管断端が上皮内癌の症例は,浸潤癌の症例に比べて長期生存者が存在した.
【結論】中·下部胆管癌の根治切除にあたってはf Cur A·Bが重要で,とくに胆管断端癌陽性を回避すべく術式を立案することが肝要である.また,予後不良因子陽性の症例に対しては,補助療法を考慮すべきと思われた.
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