要旨:目的:胆道癌に対して施行した膵頭十二指腸切除術を膵癌症例と比較し,ドレーン抜去可能な時期について検討した.
方法:膵頭十二指腸切除術を施行した31例を対象とし,胆道癌13例と通常型膵癌18例に分類し臨床的諸因子を比較検討した.また胆道癌症例を対象とし,膵液瘻の有無別に,ドレーン排液中アミラーゼ値(術後1,4,7日目)を比較した.膵液瘻の診断は,臨床症状,検査所見で総合的に判断した.
結果:胆道癌では有意に正常膵が多かったが,膵液瘻の合併率には有意差を認めなかった.胆道癌症例で膵液瘻の有無別の比較では,術後7日目ドレーン排液中アミラーゼ高値(13616/52IU/L,
p =0.015)のみが有意差のある因子で,1,4日目は有意差を認めなかった.
結論:術後7日目のドレーン排液中アミラーゼ値が4日目より低下する場合,膵液瘻の危険は少なく7日目に安全にドレーンを抜去できると考えられた.
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