要旨:症例は50歳代後半,男性.既往に膀胱癌があり,再発なく通院中であった.経過観察目的に施行された腹部CTで胆嚢に異常を指摘され入院.発熱と,著明な炎症反応が認められた.MDCTでは胆嚢体底部から肝に連続して径80 mm大の腫瘤が認められた.FDG-PETでは腫瘤に著明な集積と,脊椎にびまん性に集積が認められた.ERCP下に施行した胆汁細胞診で扁平上皮癌が検出された.血清G-CSF値は119 pg/m
l と高値で,G-CSF産生胆嚢癌を疑った.脊椎へのFDG-PETの集積はG-CSF産生による影響と判断した.全身化学療法を行ったが6カ月間の経過で永眠された.剖検では,胆嚢,肝臓を中心に,扁平上皮癌と腺癌の混在が認められ,腫瘍細胞はG-CSFが陽性であった.脊椎に腫瘍浸潤はなく,過形成性変化のみであった.以上,特徴的なFDG-PET所見を呈したG-CSF産生胆嚢癌の一剖検例を経験したので報告する.
抄録全体を表示