胆道
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26 巻, 1 号
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第47回日本胆道学会学術集会記録
会長講演
  • 千々岩 一男
    2012 年 26 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:近年,胆道疾患に対する診断と治療法は著しい発展をとげてきた.胆石症や急性胆嚢炎・胆管炎などに対しては,それぞれ腹腔鏡下手術や緊急胆道減圧ドレナージが広く定着し,その治療成績は向上した.しかし,我が国における癌の種類別死亡数が6番目に多い胆道癌に対する予後は,診断,周術期管理,外科手術法が発達したにもかかわらず進行期で発見されることが多いため,未だ不良である.今回の会長講演では,胆道癌の診断と治療の現状と問題点を講演した.胆道癌で多く出現する閉塞性黄疸下肝切除後の肝再生不良の機序を分子生物学的に検証し,術前胆汁内瘻の有用性,胆道ドレナージの時期としては進展度診断を終えてから行うことの重要性を述べた.また,肝門部胆管癌,中下部胆管癌,胆嚢癌の外科治療と幽門輪温存膵頭十二指腸切除後胃内容停滞の再建経路による比較を,我々の教室の成績を基に概説した.
特別講演
  • 丸橋 繁, 永野 浩昭, 石井 秀始, 小林 省吾, 土岐 祐一郎, 森 正樹
    2012 年 26 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:本稿では癌幹細胞の基本的特徴を紹介し,我々がこれまでに行ってきた研究内容を併せて解説する.
    癌幹細胞とは,自己複製能と多分化能を有する癌の源となる細胞である.また,ニッチ(niche)と呼ばれる周囲環境は癌幹細胞の中心的な働きを担っている.
    我々は,肝細胞癌幹細胞の表面マーカーとしてCD13を同定し,CD13陽性細胞の局在と低酸素マーカーの発現局在の一致が認められ,肝癌の再発にCD13陽性細胞が重要な役割を果たしていることを報告した.
    一方,癌細胞へiPS因子を遺伝子導入することで癌細胞のリプログラム化に成功し,iPC細胞と名付けた.このiPC細胞は,抗癌剤への感受性が高められ,造腫瘍性を抑制させることが示された.さらに,iPS因子の導入によらず,3種類(mir-200c,mir-302s,mir-369s)のマイクロRNAを癌細胞へ導入することで,リプログラム化する手法を開発した.
    今後,癌幹細胞研究をさらに推進し,癌の早期発見・予防,癌幹細胞の確実な制御法の開発,抗癌治療効果向上を目指すことが必要である.
日本胆道学会認定指導医養成講座
  • 徳村 弘実, 松村 直樹, 野村 良平
    2012 年 26 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:総胆管結石症に対する腹腔鏡下手術について,内視鏡治療との比較をしながらメリットと現状を述べ,手技と成績を報告する.専門的施設から良好な成績が多数報告され,複数の比較試験でも内視鏡治療プラス腹腔鏡下胆嚢摘出術の2期的併用治療より優れていることが報告されている.また,十二指腸乳頭機能が温存されることから結石再発が少ないなど長期成績も良好と考えられる.しかし,総胆管治療の環境や手術難度から一般には定着しておらず,今後さらなる普及が期待される.筆者は,経胆嚢管法が205例,胆管切開法が300例(Cチューブ177例,Tチューブ75例,一期的縫合31例,ENBDまたはPTBD 16例,胆管十二指腸吻合1例)を行った.開腹移行は1.9%で合併症,遺残結石や再発結石は少なく良好な成績を得た.修練として腹腔鏡下胆嚢摘出術50例経験,術中胆道造影と縫合結紮の習得によって約30例で手技が安定すると考えられる.
報告
  • 岡崎 和一, 川 茂幸, 乾 和郎, 神澤 輝実, 田妻 進, 内田 一茂, 平野 賢二, 吉田 仁, 西野 隆義, 洪 繁, 水野 伸匡, ...
    2012 年 26 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    IgG4関連硬化性胆管炎は,血中IgG4値の上昇,病変局所の線維化とIgG4陽性形質細胞の著しい浸潤などを特徴とする原因不明の硬化性胆管炎である.その多くは自己免疫性膵炎を合併し,ステロイド治療が奏功する比較的予後良好な疾患とされているが,胆管像からは,原発性硬化性胆管炎および胆管癌,膵癌などの腫瘍性病変との鑑別は容易ではない.特に,IgG4関連硬化性胆管炎単独で発症する症例ではその診断に難渋することが多い.
    そこで厚生労働省IgG4関連全身硬化性疾患の診断法の確立と治療方法の開発に関する研究班,厚生労働省難治性の肝胆道疾患に関する調査研究班および日本胆道学会は,本症例を数多く経験している専門医からなる診断基準案作成のワーキンググループを組織した.そして,IgG4関連硬化性胆管炎の病態や臨床像を明らかにするとともに,原発性硬化性胆管炎や膵癌,胆管癌などの腫瘍性病変との鑑別を念頭に置いた本症の診断基準の策定を行った.
    平成22年10月15日,平成23年2月1日および平成23年8月2日の3回の委員会と電子メールによる意見交換を重ね,本症の臨床診断基準試案をまとめた.この試案に対して平成23年9月17日宮崎で開催された第47回日本胆道学会学術集会において公聴会が開催された.この公聴会での論議を経て修正された臨床診断基準案が日本胆道学会ホームページに公開され,平成23年11月4日まで日本胆道学会の一般会員から広く意見をつのり,最終的に「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012」(表1)として報告するに至った.
    「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012」では,まず疾患概念を明確にし,次に診断項目として1)胆管の特徴的な画像所見,2)高IgG4血症,3)胆管外のIgG4関連合併症の存在,4)胆管壁の病理組織学的所見の4つの項目を掲げ,基本的にはこれらの組み合わせにより診断することが示されている.さらに本症では確定診断に必要な量の胆管組織を非観血的に得ることが容易ではないため,診断率の向上のためにステロイドによる治療効果がオプションの項目として採用された.また,代表的な胆管像を具体的にシェーマで示し,各タイプの胆管像を示す症例において,鑑別すべき疾患と追加すべき検査を明記して,実際の臨床現場で有用な診断基準になるよう配慮されている.
    今回の「IgG4関連硬化性胆管炎臨床診断基準2012」は,現在までに数多くのIgG4関連硬化性胆管炎症例を経験してきた専門医により作成された実用的な診断基準であると考えられるが,今後の症例の蓄積,診断技術の発展および基礎的研究により本症の病態解明がさらに進展していくことが期待される.
原著
  • 谷澤 武久, 新井田 達雄, 太田 岳洋, 山本 雅一
    2012 年 26 巻 1 号 p. 64-69
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:目的:体外式超音波検査(US)によるパルスドプラ法を用いて,胆道癌の肝動脈浸潤の診断能について検討した.対象と方法:胆管癌及び胆嚢癌に対してパルスドプラ法を用いたUSを施行し,そのうち切除標本が得られ,組織学的診断が可能であった27例を対象とした.腫瘍前後の動脈波形を経時的且つ連続的に観察し,波形変化を認めたものを動脈浸潤陽性と仮定,組織学的動脈浸潤(pA)と比較し,感度,特異度,正診率,陽性反応的中率(PPV),陰性反応的中率(NPV)を算出した.結果,パルスドプラ法による動脈浸潤の診断能は感度,特異度,正診率,PPV,NPVが各々60.0%,63.6%,63.0%,27.3%,87.5%であった.結語:パルスドプラ法を用いたUSは,低侵襲かつ簡便で,NPVに関しては比較的優れており,胆道癌動脈非浸潤の判定に有用である可能性が示唆された.
  • 伊藤 康博
    2012 年 26 巻 1 号 p. 70-77
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:急性胆管炎は重症化する場合もあり緊急態勢の十分整った施設での迅速な治療が必要である.2007年4月から2010年9月までの間に経験した急性胆管炎138例を対象としretrospectiveに検討した.平均年齢71歳,男性86人,女性52人,総胆管結石104例,悪性胆道狭窄19例,ステント閉塞7例,胆石性膵炎5例,その他3例であった.初期処置はドレナージのみ90例,一期的除石44例,ステント交換4例が行われた.中等症項目の2項目以上,検査項目で血小板低下,GPTの低値,低Alb血症,CRPの上昇,腎機能障害は重症例で有意に多く認めた.ドレナージ目的としたEndoscopic nasobiliary drainage(ENBD)留置は性状確認,起因菌同定,造影による原因確認をすることも可能であった.重症例では適切なENBD留置されても死亡されている例があり,死亡率は重症度を反映していた.
  • 高屋敷 吏, 大塚 将之, 清水 宏明, 吉留 博之, 加藤 厚, 吉富 秀幸, 古川 勝規, 竹内 男, 久保木 知, 鈴木 大亮, 木村 ...
    2012 年 26 巻 1 号 p. 78-84
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:胆道癌合併症例における胆管拡張形式の比較検討から,膵・胆管合流異常に対する適切な予防的手術術式,特に非拡張型合流異常における予防的肝外胆管切除の適応を考察した.胆道癌合併17症例を胆管拡張の有無で比較検討するとその臨床病理学的因子に有意差を認めなかった.また,胆道癌発生部位別に拡張形式を非拡張型に加えて嚢腫型と紡錘型に亜分類して検討すると胆管癌は嚢腫型のみならず非拡張型あるいは紡錘型といった胆管拡張の軽度な症例も半数以上に認めた.本検討からは胆道癌合併膵・胆管合流異常において胆管拡張形式からみた臨床病理学的特徴,特に胆管癌発症に差が認められず,胆管拡張の有無により予防的外科切除術式に差をつける根拠を見いだすことはできなかった.したがって胆道癌予防の観点からは拡張型と同様に非拡張型に対しても胆嚢摘出術のみならず肝外胆管切除が必要と考える.
総説
  • 伊藤 啓, 洞口 淳, 藤田 直孝
    2012 年 26 巻 1 号 p. 85-93
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:悪性胆道閉塞の中には,ERCPにおける胆管挿管困難例や,腫瘍による十二指腸または乳頭部浸潤などで経乳頭的ドレナージが困難な症例が存在する.これらに対し,近年EUSを用いた胆道ドレナージ術(ESBD)の有用性に関する報告が増加している.
    ESBDには,経消化管(腹部食道,胃,十二指腸,空腸)的にアプローチし,作成した瘻孔にstentを留置する方法,ガイドワイヤーを乳頭に誘導し経乳頭的に処置を行なうランデブー法,内瘻化するためのルートとして一期的に,もしくは一時的に瘻孔を作成した後に,狭窄部にstentを留置する方法がある.本手技は,ERCPが不成功となった非切除悪性胆道狭窄例が主な適応として報告されている.現時点では,ESBDに特化したデバイスが十分でなく,適応や手技に関するコンセンサスの形成も不十分である.これらの問題点の解決とともに,ERCPやPTBDなどとの比較試験による有用性の評価が必要である.
  • 石沢 武彰, 河口 義邦, 國土 典宏
    2012 年 26 巻 1 号 p. 94-100
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:Indocyanine green(ICG)を胆管内あるいは静脈内に注入し,胆汁中に含まれるICGが発する蛍光を赤外観察カメラで画像化することにより,手術中に胆管の解剖を描出することができる.このICG蛍光胆道造影法は本邦で開発されてからまだ数年しか経過していないが,高感度かつ非常に簡便であるため,手術中の胆管ナビゲーション技術としてすでに臨床応用が進められている.具体的には,手術中に肝門部から下流の胆管の走行を確認したり,肝離断面からの胆汁漏を同定したりするために有効である.特に静注法による蛍光胆道造影法は,腹腔鏡下胆嚢摘出術の安全性を向上させる技術として期待されており,鏡視下手術用の赤外観察システムが市販されることが待たれる.一方で,より深部の胆管を描出するための新規蛍光物質や,カラー像と複数の蛍光像とを同時に画面表示するための撮影システムの開発も積極的に進められている.
症例報告
  • 石川 卓哉, 廣岡 芳樹, 伊藤 彰浩, 川嶋 啓揮, 大野 栄三郎, 春日井 俊史, 松原 浩, 平松 武, 後藤 秀実
    2012 年 26 巻 1 号 p. 101-107
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は70歳代女性.4年前に,右前腕の悪性黒色腫手術既往あり.経過観察のCTにて胆嚢腫瘍の疑いあり,精査目的に当科入院となった.腹部超音波検査(US)では胆嚢体部に30 mm大の亜有茎性腫瘤を認めた.カラードプラ断層法画像では基部から線状の血流シグナルを認めた.ソナゾイド®を用いた造影USでは腫瘤中心部に造影効果を認めたが,辺縁部では造影効果に乏しかった.単純CTでは,胆嚢体部腹腔側に30 mm大の腫瘤性病変を認め,造影CTでは早期より腫瘤中心部が造影された.超音波内視鏡検査(EUS)では腫瘤最外層に高エコー帯が存在し,表面は平滑であった.造影EUSではUS同様,腫瘤中心部にのみ造影効果を認めた.以上の検査結果より,転移性胆嚢腫瘍を第一に疑い,開腹胆嚢摘出術を行った.最終病理診断は,悪性黒色腫胆嚢転移であった.
  • 濱田 剛臣, 千々岩 一男, 永野 元章, 今村 直哉, 旭吉 雅秀, 大内田 次郎, 甲斐 真弘, 牧野 剛緒, 頼田 顕辞, 片岡 寛章
    2012 年 26 巻 1 号 p. 108-113
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:経時的画像変化を検討することで,胆嚢癌との鑑別が可能であった黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)の1例を経験したので報告する.81歳の男性,胆石膵炎を疑われた2009年1月のCTでは胆嚢壁の軽度肥厚を認めるのみであり,ERCでは胆管に異常なく胆嚢は造影されなかった.5月のUSと腹部CTで胆嚢結石と胆嚢壁肥厚,胆嚢周囲の低吸収域を認め,ERCで総肝管の狭窄を認めたため,肝浸潤を伴う胆嚢癌が疑われ当科に紹介入院となった.入院後のUSで胆嚢壁の不整肥厚と,内腔に多数の結石を認めた.ERCとDIC-CTで胆嚢は造影されず,総肝管から左右肝管にかけ強い狭窄を認めた.胆管狭窄部からの生検で悪性所見は認めなかった.CTでは肝浸潤を疑った胆嚢周囲の低吸収域は改善傾向を示した.黄疸を認めず,胆嚢周囲低吸収域の改善を認めたことから術前XGCと診断し,胆嚢亜全摘術を施行,病理組織学的診断はXGCであった.
  • 園山 隆之, 河本 博文, 加藤 博也, 野間 康宏, 堤 康一郎, 藤井 雅邦
    2012 年 26 巻 1 号 p. 114-121
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:今回我々は超音波内視鏡下胆嚢ドレナージ(endoscopic ultrasonography-guided gallbladder drainage:EUS-GBD)を施行した2例を経験したので報告する.症例1は60歳,男性.胆嚢管癌で胆管マルティステンティング施行後に化学療法中,過去に3度の急性胆嚢炎を発症していた.再発性胆嚢炎に対してEUS-GBDを施行した.症例2は63歳,女性.肝門部胆管癌で胆管マルティステンティング施行し,化学療法継続3年後に急性胆嚢炎を発症した.癌の進行による肝右葉の萎縮および左葉腫大の為,胆嚢は背側に偏位して経皮経肝胆嚢ドレナージは困難と判断,EUS-GBDを施行した.両症例とも治療奏功し,胆嚢炎の再発も認めなかった.EUS-GBDは胆管メタリックステント挿入後などの,従来のアプローチでは治療困難な胆嚢炎に対する選択肢になり得るが,適応・方法については議論の余地があり,標準的治療として確立される為には,今後多施設での検討や専用処置具の開発が望まれる.
  • 水口 義昭, 有馬 保生, 真々田 裕宏, 相本 隆幸, 中村 慶春, 峯田 章, 横室 茂樹, 清水 哲也, 神田 知洋, 内田 英二
    2012 年 26 巻 1 号 p. 122-127
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:症例は59歳,男性.右季肋部痛を主訴に他院受診し,胆嚢結石症,急性胆嚢炎の診断にて当科紹介となった初診時血液生化学検査にて白血球10,800 /μl ,CRP 8.49 mg/dl と炎症反応の上昇を認めたが肝胆道系酵素の上昇は認めなかった.しかし腫瘍マーカーではCA19-9が8528 IU/ml と高値を認めた.FDG-PET所見では後期相で取り込みが上昇する悪性パターンを示したため胆嚢癌を完全には否定できず術中迅速病理診断を予定した.しかしCA19-9が術前には正常値へ低下したことを考慮し,慢性胆嚢炎の可能性が高いと判断し腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.切除標本の肉眼所見では胆嚢壁の肥厚を認めるものの粘膜面に悪性を疑う所見はなく,術後病理組織診断にても胆嚢腺筋腫症,慢性胆嚢炎の診断であった.
胆道専門医講座⑥鑑別診断が困難な症例の取り扱い
第1回 肝門部胆管
  • 真口 宏介, 小山内 学, 潟沼 朗生, 高橋 邦幸
    2012 年 26 巻 1 号 p. 128-135
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/07/20
    ジャーナル フリー
    要旨:肝門部胆管狭窄を呈する病態としては,悪性疾患が多いが,良性疾患もある.良性肝門部胆管狭窄では,IgG4関連硬化性胆管炎が多いと推定されるが,原因が明らかではない炎症性狭窄例も存在する.鑑別診断には,血液生化学的検査,胆管像の評価に加え,病理組織診断を積極的に行っていく必要がある.但し,細胞診では炎症性異型と癌との鑑別は難しく,生検が望ましい.さらに,胆道鏡による精査も診断の一助となる.しかしながら,精査を行っても鑑別診断が困難な例は存在し,その場合には慎重な対処が必要であり,胆管狭窄に対しては抜去可能なステントを用いることが肝要である.
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