胆道
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28 巻 , 5 号
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原著
  • 笹沼 英紀, 佐田 尚宏, 遠藤 和洋, 小泉 大, 安田 是和
    2014 年 28 巻 5 号 p. 741-746
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    厚生労働省難治性疾患克服研究事業難治性肝・胆道疾患調査研究班参加施設を対象に,1990-2009年の肝内結石症合併肝内胆管癌のProfile調査を行った.調査期間の肝内結石症症例は696例,肝内胆管癌合併症例は37例(5.3%)であった.癌合併症例の肝内結石症罹患期間は,従来から特徴的とされる肝内結石症罹患歴10年以上の症例が37%と最多であったが,肝内結石とほぼ同時に癌が発見された肝内結石症罹患歴0-6カ月の症例が36%とほぼ同数認められ,その頻度は2000年以降増加していた.肝内結石症に合併する肝内胆管癌の65%が腫瘤指摘により診断され,その治療成績は極めて不良であった.肝内胆管癌の診断は従来の直接造影法もしくは胆管内内視鏡による細胞診・生検が主で,2000年以降臨床使用されているMRI-DWI, FDG-PETなどの新たな診断Modalityの実施頻度は低く,その評価は困難であった.今後さらに症例を集積し肝内胆管癌早期発見のための診断方法についての検討が必要である.
  • 内藤 嘉紀, 秋山 哲司, 西田 直代, 檜垣 浩一
    2014 年 28 巻 5 号 p. 747-755
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    ポリープ型乳頭部癌に対して低侵襲治療を行う為には,腫瘍局在の把握が必要であるが画像診断には限界がある.本検討は,ポリープ型乳頭部癌4例を用いて,術前に腫瘍局在,組織亜型,腫瘍悪性度を病理学的に言及出来るか否かを検討した.全例が早期癌であり,Case 1, 2, 4は十二指腸から共通管に腫瘍がみられ,Case 3のみ十二指腸から大十二指腸乳頭に限局して存在していた.Case 1, 2, 4の切除組織はCK7, CK20, CD10染色の発現がみられ,Case 4の生検組織のみCK7染色の切除組織の結果と乖離があった.Case 3はCK20, CD10染色のみ発現していた.MUC1, MUC2染色の結果を加えると,全例で予後良好であるintestinal typeと判別出来た.術前生検組織にCK7, CK20, CD10, MUC1, MUC2染色を行う事でポリープ型乳頭部癌に対する低侵襲治療法の適応を検討する事が可能となる.
総説
  • 吉住 朋晴, 調 憲, 前原 喜彦
    2014 年 28 巻 5 号 p. 756-762
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    胆道癌に対する肝移植の良好な成績が欧米を中心に報告されつつある.歴史的に胆道癌に対する肝移植は,移植後早期に再発し予後不良で,胆道癌は肝移植の相対的禁忌とされてきた.しかし,最近の報告では症例の厳密な選択は必要であるが,術前補助化学放射線療法と肝移植により,移植後5年生存率は70%前後と他疾患のものと遜色ない.我が国では慢性的な脳死ドナー不足から,肝癌ではミラノ基準内のみが脳死肝移植の適応とされており,胆管癌に対して肝移植を施行する場合,生体肝移植が必要である.原発性硬化性胆管炎に胆管癌を合併する事が多いが,生体肝移植後は脳死肝移植に比べ原発性硬化性胆管炎の再発が多く,胆管癌に対して生体肝移植を積極的に行うべきか,今後議論を重ねる必要がある.本稿では,胆道癌に対する肝移植に関する最近の欧米からの報告のレビューと自験例の検討から,胆道癌の治療としての肝移植の位置づけについて概説する.
  • 久保 正二, 竹村 茂一, 坂田 親治, 田中 肖吾, 中沼 安二, 圓藤 吟史
    2014 年 28 巻 5 号 p. 763-771
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    有機溶剤の高濃度暴露を受けた印刷労働者に,胆管癌が高率に発症した.胆管癌診断のきっかけの多くはγ-GTP高値の肝機能異常,CA19-9などの腫瘍マーカー上昇や超音波検査での異常所見であった.画像診断上,腫瘤像,胆管狭窄像,主腫瘍による末梢側胆管拡張像に加えて,主腫瘍と関係のない限局性の肝内胆管拡張像がみられた.主腫瘍は,腫瘤形成型あるいは胆管内発育型肝内胆管癌や乳頭型肝外胆管癌で,その多くは総肝管から肝内胆管第3次分枝の比較的大型胆管に存在した.広範囲の胆管に慢性胆管傷害像およびbiliary intraepithelial neoplasia(BilIN)やintraductal papillary neoplasm of the bile duct(IPNB)などの前癌病変がみられ,多段階発癌機序が推測された.ジクロロメタンや1,2-ジクロロプロパンにさらされる業務による胆管癌が,業務上疾病に分類され,新たな職業癌として認識されるようになった.
症例報告
  • 竹山 友章, 松原 浩, 浦野 文博, 藤田 基和, 内藤 岳人, 田中 浩敬, 夏目 誠治, 青葉 太郎
    2014 年 28 巻 5 号 p. 772-777
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は49歳男性.右季肋部痛,発熱を繰り返し,精査加療目的で当科紹介となった.腹部超音波検査(US),造影CT検査(CE-CT),MRIでは胆嚢壁が著明に肥厚しており,胆嚢壁内には嚢胞様構造が多発していた.検査所見から黄色肉芽腫性胆嚢炎(XGC)と考えられたが,胆嚢壁と肝との境界が不明瞭であり,鑑別診断として肝浸潤を伴う胆嚢癌が挙げられた.造影超音波検査(CE-US)を施行したところ,造影早期相で胆嚢壁内のUS, CE-CT, MRIで認めた嚢胞様構造は非染影領域として明瞭化し,胆嚢壁実質は均一に造影された.また,異常血管は認めずXGCを強く疑った.さらに,造影後期相において胆嚢壁と肝との境界は明瞭となった.胆嚢癌の肝浸潤は否定的と考え,開腹胆嚢摘出術を施行した.術後病理所見は,泡沫細胞を主体とする黄色肉芽腫性の炎症細胞浸潤を認め,XGCと診断した.
  • 大目 祐介, 橋田 和樹
    2014 年 28 巻 5 号 p. 778-784
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は77歳,女性.9 cm大の肝細胞癌に対して門脈右枝塞栓術後に腹腔鏡下肝右葉切除術を施行した.術後再発なく経過していたが,1年3カ月後閉塞性黄疸を発症した.術後遅発性の良性胆道狭窄と診断し,ENBD(Endoscopic nasobiliary drainage)で減黄後に手術が必要と判断した.肝S4a部分切除により肝管を露出し,左肝管空腸吻合術を施行した.術後経過は良好で,現在無再発生存中である.腹腔鏡下肝切除術手技に関わる重大な合併症を経験したので,その原因や予防策,治療法について考察を加え報告する.
  • 長谷部 修, 越知 泰英, 伊藤 哲也, 成本 壮一, 保坂 典子
    2014 年 28 巻 5 号 p. 785-793
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,男性.15年前より自己免疫性膵炎,糖尿病にて経過観察中であったが,定期検査で肝機能障害,肝門部腫瘤を指摘され入院となった.US, CT, MRIでは肝S4に40 mmの低濃度腫瘤,肝内胆管拡張,総肝管壁肥厚を認めた.ERCPでは膵内胆管狭小化と肝門部胆管狭窄を認め,IDUSでは肝S4腫瘤から連続する肝門部胆管壁肥厚を認めた.肝門部胆管からの生検で低分化型腺癌を認め,左肝内胆管癌・肝門部胆管浸潤と診断した.外科手術を予定したが,高度せん妄と本人の手術拒否により断念した.後日PTBDルートより金属ステントを留置し,抗腫瘍療法は施行せず経過観察したが,9カ月後に永眠された.自己免疫性膵炎では肝内胆管癌に類似した肝炎症性偽腫瘍や肝門部胆管癌に類似した肝門部胆管狭窄,胆管壁肥厚を認めることがあるが,胆道癌の合併も念頭に生検・細胞診を施行することが重要と考えられた.
  • 萱原 正都, 大西 一朗, 中川原 寿俊, 北川 裕久, 太田 哲生
    2014 年 28 巻 5 号 p. 794-799
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    膵管内乳頭粘液腫瘍(以下IPMN)は稀に胆管に穿破することがある.手術手技の工夫により5年間良好なQOLを維持できた症例を経験したので報告する.症例は76歳,男性.48歳時に胃切除と62歳時に急性膵炎の既往がある.平成10年に主膵管型IPMNの診断がなされ,平成20年10月に閉塞性黄疸と敗血症性ショックで入院となる.内視鏡的胆道ドレナージは大量の粘液のため功を奏せず,緊急PTBDを施行した.頻回のチューブ洗浄が必要となったため,肝門側と十二指腸側の両側の胆管を空腸と吻合するRoux-Y再建double-bypassとBraun吻合を加えた.膵消化酵素薬投与継続により,術後5年のAlb値は4.0 g/dlと良好な数値を維持できている.本症例のような再建術式の報告はなく,5年経過した現在でも良好なQOLが得られており,切除術のリスクが高いあるいは切除の承諾が得られないようなIPMN胆管穿破例に対して有用な術式と考え報告した.
  • 川口 真矢, 山本 玲, 山村 光弘, 大山田 純, 矢花 正
    2014 年 28 巻 5 号 p. 800-807
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は70歳代女性.心窩部痛を主訴に来院,黄疸を伴う肝胆道系酵素の上昇,炎症反応を認めた.腹部CT上,膵はびまん性に腫大,胆管・胆嚢壁は肥厚し,腹腔動脈から上腸間膜動脈周囲に炎症の波及を認めた.ERCP上,膵管は全体に狭細像を呈し,膵内胆管は狭窄し,管腔内超音波検査(IDUS)にて上部胆管まで全周性の壁肥厚を認めた.膵液・胆汁細胞診はともに陰性.膵に対する超音波内視鏡下穿刺吸引生検(EUS-FNA)ではリンパ球浸潤と炎症細胞浸潤を認めた.IgG4,抗核抗体は陰性のため自己免疫性膵炎(AIP)の診断基準は満たさないが,画像上硬化性胆管炎を合併したAIPと診断しステロイド治療を開始した.2カ月後の腹部CTおよびERCPでは画像上の改善を認めたが,初診から半年後に再増悪を認めた.初診時のEUS-FNA検体の免疫組織染色にてCD34, CD79a陽性,骨髄中のリンパ芽球浸潤が63%でBリンパ芽球性白血病と診断し化学療法を施行,2年経過した現在,完全寛解が得られている.
  • 松清 大, 渡邉 学, 浅井 浩司, 齋藤 智明, 児玉 肇, 長尾 二郎, 斉田 芳久, 中村 陽一, 榎本 俊行, 草地 信也, 大牟田 ...
    2014 年 28 巻 5 号 p. 808-814
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    症例は68歳,女性.主訴は腹痛.脳梗塞で入院し血栓溶解療法を施行した.引き続きの抗凝固療法にて全身状態は改善していたが,経口摂取開始後に突然の腹痛が出現した.炎症所見と急激な肝胆道系酵素の上昇を認め,急性出血性胆嚢炎に伴うhemobiliaと診断した.抗凝固療法中でもあり,凝血塊による胆管閉塞とそれに伴う肝機能障害を考慮したため,まずは内視鏡的治療の選択となった.しかし,内視鏡治療に難渋し,胆管あるいは十二指腸穿孔が疑われ緊急手術施行となった.術前疑われた穿孔部分は術中所見で明らかではなかったため,開腹胆嚢摘出術および胆管T-tubeドレナージ術を施行した.術後経過は良好であった.出血性胆嚢炎の重症例では胆嚢破裂や穿孔を起こすこともあるため,早期診断とそれに引き続く治療が重要であると考えられた.
  • 花木 武彦, 坂本 照尚, 渡邉 淨司, 徳安 成郎, 奈賀 卓司, 池口 正英
    2014 年 28 巻 5 号 p. 815-820
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    60歳女性.健診のUSで胆嚢腫瘍を指摘され当科紹介となった.紹介当日に突然の腹痛,意識消失と血圧低下,貧血の進行を認めた.緊急造影CTで腫瘍破裂による腹腔内出血と診断し,経皮的動脈塞栓術にて止血した.その後のCTで腫瘍の急速な増大傾向があり,切迫破裂と考えたため切除に踏み切った.切除術後3週目に遷延する発熱精査のため,CTを施行したところ,残肝をほぼ占拠する肝内再発を認めた.腫瘍出血に伴う播種性血管内凝固もあり,脳出血のため永眠した.切除検体の病理組織学的所見で,胆嚢内病変は腺癌主体の組織像を示していたが,肝浸潤部では絨毛癌の形態を呈しており,腺癌より絨毛癌へと分化した進行胆嚢癌と最終診断した.胆嚢癌に絨毛癌成分が発生することは非常に稀であり,その予後も極めて悪い.胆嚢絨毛癌の報告は過去に5例しかなく,診断・治療方針についても確立されていないことから,ここに若干の文献的考察を加え報告する.
  • 清水 崇行, 加藤 正人, 寺崎 梓, 小菅 崇之, 下田 貢, 窪田 敬一
    2014 年 28 巻 5 号 p. 821-826
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    胆石イレウスは胆石症の約1%と頻度が少ない.その中で結腸に嵌頓する胆石イレウスは,胆石イレウスの約3%と非常に頻度が少ない.症例は81歳の女性で,前医では胆石症で通院していた.主訴は腹痛と嘔吐で,CTで胆嚢から下行結腸へ胆石の移動を認めた.自然排泄を期待したが排泄されず,S状結腸に嵌頓し,イレウスとなり,手術目的で当科紹介となった.手術所見は胆嚢横行結腸瘻を認め,S状結腸に胆石を認めた.内胆汁瘻閉鎖と胆嚢摘出術を施行した.S状結腸を部分切除し,嵌頓結石を摘出した.S状結腸には憩室が多発しており,吻合困難と判断し,人工肛門造設術とした.胆嚢結腸瘻による胆石イレウスは本邦では頻度が少なく,文献的考察を加えて報告する.
  • 山田 勇, 小野山 裕彦, 井上 稔也, 山口 哲哉, 味木 徹夫
    2014 年 28 巻 5 号 p. 827-832
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    78歳男性.発熱と腹痛を主訴に受診し,急性胆嚢炎と診断された.保存的治療にて軽快しないためPTGBDを施行したところ速やかに軽快した.結石がはっきりせず胆嚢管の閉塞機転は不明であったこともあり,手術を勧めたが本人が拒否したため外来にて注意深く経過をみた.発症6カ月後の腹部エコー・CTにて胆囊壁肥厚が持続し一部に隆起性病変が明瞭となった.腫瘍マーカーであるCA19-9が持続的に上昇していることから胆嚢癌と考え強く手術を勧めたが手術拒否が続いていた.急性胆嚢炎発症1年後にようやく手術に同意したので胆嚢癌根治術として肝床切除術・リンパ節郭清術を施行した.肉眼所見は結節浸潤型であり,病理組織学的にはtub1,pHinf2,pN1 stage IVaと診断された.術後ゲムシタビンによる化学療法を行ったが術後3カ月で肝転移,リンパ節転移が出現し術後10カ月で原病死した.急性胆嚢炎の非手術的治療後の経過観察で胆嚢癌と診断された興味ある症例と思われたので報告する.
胆道専門医講座⑧胆道癌の外科治療―最新の治療成績―
第4回 十二指腸乳頭部癌
  • 松村 祥幸, 平野 聡
    2014 年 28 巻 5 号 p. 833-839
    発行日: 2014/12/31
    公開日: 2015/01/28
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部癌は根治切除率が高く,比較的予後が良好な疾患である.その標準治療は外科切除が原則であり,系統的リンパ節郭清を伴う膵頭十二指腸切除(PD)が施行されている.PDは高度侵襲手術に分類され,高い術後合併症を認めるだけでなく周術期死亡例もあるため,決して安全に施行し得るとは言い難い.そのため腺腫内癌やリンパ節転移のない早期癌に対し経十二指腸的乳頭切除術などの縮小手術が考慮されるが,適応患者の選択は難しく,術前に乳頭部腫瘍の良悪の判定や,進展度,リンパ節転移の有無の診断は限界がある.将来的には術前正診率の向上により個々の患者や病変に応じた,より適切な治療が選択可能になると思われるが,現時点では縮小手術が施行される機会は極めて限られている.
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