胆道
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29 巻 , 5 号
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報告
  • 濵田 吉則, 安藤 久實, 神澤 輝実, 糸井 隆夫, 漆原 直人, 越永 従道, 齋藤 武, 藤井 秀樹, 諸冨 嘉樹
    2015 年 29 巻 5 号 p. 870-873
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    Congenital biliary dilatation (CBD) is a congenital malformation involving both extrahepatic bile duct dilatation and pancreaticobiliary maljunction (PBM). Although pathogenesis of bile duct dilatation is unknown, PBM causes reciprocal reflux between the pancreatic juice and bile and results in various biliary and pancreatic pathologies. For a diagnosis of CBD, both abnormal dilatation of the bile duct and PBM must be evident. Bile duct dilatation should be diagnosed based on age-related limits on the maximum diameter of the common bile duct using diagnostic imaging (e.g., ultrasonography, magnetic resonance cholangiopancreatography, and multiplanar reconstruction imaging by multidetector row computed tomography). Endoscopic retrograde cholangiopancreatography, percutaneous transhepatic cholangiopancreatography, and operative cholangiography would be avoided as bile duct measurement tools. Typical concomitant anatomical characteristics of extra- and intra-hepatic bile ducts should be also considered when diagnosing CBD. Diagnosis of PBM, an abnormally long common channel, and/or an abnormal union between the pancreatic and bile ducts must be established by various radiological imaging.
原著
  • 板倉 淳, 細村 直弘, 川井田 博充, 岡本 廣拳, 浅川 真巳, 鈴木 哲也, 鈴木 孝太, 山縣 然太朗
    2015 年 29 巻 5 号 p. 874-880
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    目的:胆道癌術後補助化学療法における忍容性を考慮したgemcitabine(Gem)の投与法について検討した.対象・方法:stage II以上胆道癌切除例を無作為に標準群:Gem 3週連続投与1週休薬/4週と隔週群:Gem隔週投与/4週に割り付けし,主要評価項目:6コース完遂率,副次評価項目:3年全生存率,無病生存期間,有害事象について検討した.結果:Dose intensity(DI)は,標準群が有意に高く有害事象の発現も標準群で高い傾向を示したが,完遂率は標準群81.3%と隔週群71.4%,平均生存期間は標準群880±85日と隔週群906±42日,平均無病生存期間は標準群496±34日と隔週群447±37日で有意な差を認めなかった.考察:胆道癌に対するgemcitabine隔週投与法は術後補助療法の治療選択肢として考慮できる可能性が示唆された.
  • 山本 龍一, 西川 稿, 石田 周幸, 高橋 正朋, 長船 靖代, 加藤 真吾, 名越 澄子, 屋嘉比 康治
    2015 年 29 巻 5 号 p. 881-888
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    75歳以上の総胆管結石症に対する内視鏡治療の臨床的有効性につき検討した.対象は総胆管結石症に対しERCP施行した340例.74歳以下;A群,75歳以上;B群とし2群間で比較検討した.検討項目は①患者背景,②治療内容,③予後,④偶発症.①A群225例,B群115例.脳・心臓疾患合併率,抗血栓薬内服率,傍乳頭憩室合併率,総胆管結石最大径値はB群で有意に高かった.②胆管Plastic stent留置率はB群で有意に高く,ERCP後有石胆嚢摘出率はA群で有意に高かった.③総胆管結石再発率は両群に差はなかったが,有石胆嚢摘出例に限るとB群で有意に高かった.胆嚢炎を加えた胆道イベント累積発症率は,A群で有石胆嚢温存例が摘出例より有意に高かったが,B群では差はなかった.④偶発症は両群に差はなかった.高齢者の総胆管結石症に対する内視鏡治療は安全で有用だが,有石胆嚢の摘出が予後の改善に繋がらない可能性がある.
総説
  • 清水 宏明, 大塚 将之, 加藤 厚, 吉富 秀幸, 古川 勝規, 宮崎 勝
    2015 年 29 巻 5 号 p. 889-898
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    肝門部領域胆管癌(PHC)に対する術式は,右側優位型に対する右側肝切除(右肝切除,右三区域切除),左側優位型に対する左側肝切除(左肝切除,左三区域切除)に大別され,原則として尾状葉切除が併施される.右三区域切除は,右側優位のBismuth 4型の腫瘍で左側胆管浸潤が左門脈臍部右縁に及ぶ場合に考慮される.PHCに対する右三区域切除の根治性は高いが,肝切除率が最も高く(肝切離面積は最小),術後肝不全のリスクは高い.一方,左三区域切除は,右肝切除とほぼ同等の肝切除率であるが,右肝の脈管,胆管には解剖学的破格が多く,手術手技の難度も高く,術後合併症発生率が高い.左三区域切除は左肝切除と比較し,右後区域胆管のsurgical marginが得られやすく,左側優位のBismuth 4型の腫瘍で肝予備能が良好である症例に適応となる.術前の肝門部領域の3D解剖の十分な把握と肝予備能評価が重要なポイントとなる.
  • 永川 裕一, 細川 勇一, 佐原 八束, 瀧下 智恵, 粕谷 和彦, 土田 明彦
    2015 年 29 巻 5 号 p. 899-904
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    近年,様々な消化器疾患で腹腔鏡下手術が施行されているが,胆道疾患では腹腔鏡下胆嚢摘出術や腹腔鏡下胆管切石術が保険収載されているものの,その他の疾患では高度な技術を必要とすることもあり,普及するには至っていない.一方,一部の施設からは先天性胆道拡張症における肝外胆管切除や胆道癌における腹腔鏡下手術の有用性が報告されるようになった.しかし腹腔鏡下手術の安全性が求められる中,様々な胆道疾患に適応拡大していくには,各疾患における腹腔鏡下手術の利点と欠点を十分に検討し,いかに安全に施行し追求していくかが重要と思われる.また胆道疾患では,胆道炎症にて手術が高難度となる例も少なくなく,このような症例に腹腔鏡下手術を安全に遂行するには,更なる改善策が必要と思われる.本稿では,胆道疾患における腹腔鏡下手術の報告を整理し,安全に普及する観点から今後の展望について言及する.
症例報告
  • 上田 順彦, 大西 敏雄, 甲斐田 大資, 藤田 秀人, 木南 伸一, 小坂 健夫, 木下 英理子, 黒瀬 望
    2015 年 29 巻 5 号 p. 905-912
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    極めて稀な肝原発腺扁平上皮癌の1例を報告した.症例は79歳,男性.腹部CT検査では肝内側区域から前区域腹側に6.5cm大で境界は比較的明瞭な腫瘍を認めた.造影では腫瘍の辺縁は強く濃染され,腫瘍内部も不均一に淡く造影された.腹部MRI検査では腫瘍内部は一部壊死し液状変性が疑われた.肝内胆管癌の診断で門脈合併切除を伴う拡大肝左葉切除術を施行した.腫瘍と周囲との境界は比較的明瞭であった.腫瘍内部は灰白色充実性であるが,もろく一部は脱落していた.病理学的には腺扁平上皮癌と診断された.術後3年3カ月で他病死した.本腫瘍は急速に増大し,中心壊死をおこすため,画像的に腫瘍辺縁部の濃染所見と内部の変性壊死は本腫瘍を示唆する重要な所見と考えられた.
  • 北川 翔, 岡村 圭也, 宮川 宏之
    2015 年 29 巻 5 号 p. 913-917
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    74歳女性,夕食後の右上腹部痛を主訴に受診.血清膵酵素の上昇を認め,急性膵炎の疑いで入院.造影CTでは膵炎および胆嚢・胆管内の結石を示唆する所見なく,モリソン窩に液体貯留を認めた.腹腔穿刺では胆汁性腹水を認めなかったが,胆汁性腹膜炎を否定できずendoscopic nasobiliary drainage(ENBD)を施行.ENBD後に著明な全身状態の改善を認めたため,胆嚢穿孔の有無を含めた原因精査目的にendoscopic nasogallbladder drainage(ENGBD)を施行し,胆嚢穿孔を確認することが可能であった.特発性胆嚢穿孔の術前診断で開腹下胆嚢摘出術が施行され,病理組織学的検索では穿孔部に軽度の炎症所見を認めるのみで虚血性変化を疑わせるような所見を認めなかった.ENGBDにて穿孔を確認し得た特発性胆嚢穿孔例は,本邦初であり貴重な症例と思われ報告する.
  • 山本 和貴, 小野山 裕彦
    2015 年 29 巻 5 号 p. 918-922
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は72歳男性.急性胆嚢炎にて入院し,保存的治療を開始された.しかし,第4病日に貧血の進行およびモリソン窩のfluid collectionを認めたため,緊急手術を行った.開腹所見は,胆嚢の肝付着部の壁からのoozingによる腹腔内出血を認めた.病理組織学的に胆嚢に穿孔部位は見られず,漿膜面にも出血部位は見られなかった.急性胆嚢炎の炎症が胆嚢壁内の静脈壁に波及し,出血性胆嚢炎を生じ,炎症や壊死で脆弱となった胆嚢壁から腹腔内にoozingで出血したと考えられた.胆嚢出血もしくは出血性胆嚢炎は,稀な疾患であるが,ショックなど重篤な病態を示すため,常に考慮しておくべき疾患である.今回,出血性胆嚢炎に胆嚢穿孔を伴わない腹腔内出血を合併した稀な症例を経験したので,文献検索結果を含め報告した.
  • 青山 春奈, 上田 樹, 菊山 正隆, 榎田 浩平, 白根 尚文
    2015 年 29 巻 5 号 p. 923-928
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は慢性腎不全にて透析中の49歳,男性.腹痛と嘔吐を主訴に入院.腹部造影CTにて肝門部から膵頭部にかけて液体貯留,総胆管結石,高度の動脈硬化,胆嚢結石,多発腎嚢胞を認めた.肝障害は軽度であったが第2病日にERCPを実施し胆管ステントを留置した.第3病日に腹水が出現し腹腔穿刺によりビリルビン高値の腹水を吸引した.ERCPの見直しにより,3管合流部直下より造影剤の漏出を認めた.保存的治療により胆汁瘻の治癒がなく,第10病日に外科治療を行い,3管合流部直下に穿孔を確認した.胆嚢摘出術を実施し,胆嚢管断端から胆道鏡にて小さな胆管結石を摘出した.穿孔部よりT-tubeを留置し手術を終了した.第35病日にT-tubeを抜去し,第36病日に退院した.
  • 松林 宏行, 佐々木 恵子, 上坂 克彦, 杉浦 禎一, 岡村 行泰, 伊藤 貴明, 山本 有祐, 松井 徹, 杉本 真也, 岸田 圭弘, ...
    2015 年 29 巻 5 号 p. 929-938
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は66歳,女性.検診腹部USが契機となり胆嚢内胆泥と胆嚢壁肥厚を指摘され,精査目的で当院へ紹介となった.EUSでは下部胆管に膵管型の膵胆管合流異常を,ERCPでは下部胆管の軽度壁不整を認めた.不整胆管壁に対して経乳頭生検を行い,胆嚢病変に対して内視鏡的経鼻胆嚢ドレナージ(ENGBD)を留置して複数回の胆汁細胞診を行った.胆管生検で腺癌を,胆汁細胞診で腺癌を疑う細胞を認め,胆管非拡張型膵胆管合流異常に合併した胆嚢・胆管重複癌と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本では胆嚢体部から底部に上皮内進展する高分化腺癌がみられ,一部に漿膜下層浸潤を認めた.中下部総胆管にも35mmの粘膜内癌を認めたが,脈管浸潤やリンパ節転移は陰性であった.術後5年経過し,再発所見はみられない.膵胆管合流異常では胆道癌が潜在・多発する可能性を念頭に入れ,組織細胞診を含めた術前精査を行うことが肝要である.
  • 大和 弘明, 工藤 和洋
    2015 年 29 巻 5 号 p. 939-947
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は76歳の女性.発熱・黄疸を主訴に初診し,CT検査で下部胆管腫瘍による閉塞性黄疸を認め入院した.ERCPで下部胆管の狭窄像を示し,胆管生検で腺癌とともに,辺縁がMUC1免疫染色陽性で周囲に空隙を伴う小型腫瘍胞巣を多数認め,浸潤性微小乳頭癌(invasive micropapillary carcinoma:IMPC)の成分を有する下部胆管癌と診断した.右乳癌(充実腺管癌),認知症のため経過観察となったが,初診より16カ月後,胆管癌の十二指腸浸潤に伴う仮性動脈瘤の出血で再入院した.仮性動脈瘤の内視鏡的止血と,十二指腸ステント留置を行ったが,初診より18カ月後,原病悪化により永眠した.剖検では,腫瘍は膵浸潤と膵周囲リンパ節転移,十二指腸浸潤を認め,IMPCの成分は腫瘍の約80%を占め,残りは高―中分化型腺癌であった.IMPCの成分が主体である胆管癌はまれであり,文献的考察を加え報告する.
  • 宮島 真治
    2015 年 29 巻 5 号 p. 948-953
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は62歳女性.左上下肢痙攣を主訴に救急外来を受診された.頭部CTで右大脳深部白質に3cm大の腫瘍あり.同月開頭腫瘍摘出術施行,腺癌の転移と診断された.CT,超音波検査,MRIで胆嚢壁の全周性の不整な肥厚,FDG-PETでは胆嚢に強い集積を認め,胆嚢癌が強く疑われた.他に原発巣は指摘できず,翌月経皮経肝的に胆嚢からの胆汁細胞診施行,Papanicolaou染色class4,腺癌と考えられる細胞を検出した.胆嚢癌脳転移の診断にて全身状態を考慮しS1単独による癌化学療法を開始した.診断2カ月後胆嚢癌肝浸潤を認め,その3カ月後に脳腫瘍局所再発を確認,同部に放射線照射施行.その後小脳,脳幹の転移が確認された.全身衰弱が進行しセカンドラインの化学療法は断念した.診断14カ月後に永眠された.脳転移から診断された胆嚢癌の報告は非常に稀で貴重な症例と考えられたため,文献的考察を含め報告する.
  • 山本 基, 寺澤 宏, 出口 真彰, 原 猛, 垣本 哲宏, 坪田 ゆかり
    2015 年 29 巻 5 号 p. 954-961
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    胆管の癌肉腫については不明な点が多いが,われわれは胆管原発の「いわゆる癌肉腫」の1手術例を経験したので文献的考察を加えて報告する.症例は73歳,男性,黄疸と全身倦怠感を主訴に来院した.胆管造影では総肝管に20mm長の狭窄を認めた.胆汁細胞診ではclass IIであったが,肝門部領域胆管癌を強く疑って幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した.摘出標本では15mm大の結節状の腫瘍を認め,HE染色では,癌腫部分と肉腫様成分および両者の移行部を認めた.免疫組織学的検討では,癌腫部分ではvimentinとα-SMAが陰性,肉腫様部分ではEMAが陰性であり,一部でpancytokeratinが陽性であった.このことから本例は胆管原発の「いわゆる癌肉腫」であると診断した.患者は術後8カ月で原病死した.
  • 山口 厚, 倉岡 和矢, 谷山 清己, 高野 弘嗣
    2015 年 29 巻 5 号 p. 962-971
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は80歳代,男性.2年前に胆管炎を発症し当院に入院した.ERCPを施行し胆管腔内超音波検査(Intraductal ultrasonography,以下IDUS)にて総胆管結石を認め内視鏡的治療を行った.この際,IDUSにて胆管壁肥厚を認めたが炎症性の肥厚と考え経過観察となった.2年後,再度胆管炎を発症し2回目の入院となった.胆管造影にて結石や腫瘤は明らかでなかったが,IDUSにて5mm大の結石と最大7mm厚のびまん性の胆管壁肥厚病変を認め,胆管生検にて胆管癌と診断された.膵頭十二指腸切除+肝外胆管切除にて深達度はfmであったが肝内胆管まで進展した平坦浸潤型胆管癌であり根治切除とならなかった.総胆管結石治療時には,結石治療のみでなく胆管癌の合併も念頭においてIDUSを施行することが重要であり,異常を疑う場合には積極的に生検を行うことが必要と考える.
  • 木村 光一, 調 憲, 久保 正二, 伊藤 心二, 播本 憲史, 山下 洋市, 吉住 朋晴, 相島 慎一, 小田 義直, 前原 喜彦
    2015 年 29 巻 5 号 p. 972-977
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    47歳,男性.12年間印刷業に従事していた.心窩部痛の増悪のため前医を受診した際に肝内腫瘤を認め,当科紹介となった.精査にて脈管浸潤や複数のリンパ節転移を認める手術不適応な肝内胆管癌と診断された.CDDP+5-FU療法を施行したが発熱,嘔気の出現にて継続困難となった為,症状緩和目的に肝右三区域切除術が施行されたが癌の進行により死亡した.切除標本ではS6とS8/4の2カ所に胆管癌を認め,その2つの腫瘍間の胆管にBiliary intraepithelial neoplasiaが認められた.今回我々は,20年前に経験した肝内胆管癌症例に印刷業勤務の背景が存在していたため文献的考察を加えて報告する.
  • 西田 保則, 加藤 祐一郎, 高橋 大五郎, 中山 雄介, 北口 和彦, 高橋 進一郎, 小嶋 基寛, 小西 大
    2015 年 29 巻 5 号 p. 978-984
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は75歳,男性.閉塞性黄疸を指摘され前医にて精査,内視鏡的胆道ドレナージの後,当院へ紹介となった.腹部CTにて中部胆管から胆嚢頚部に乳頭状病変を認め,生検では低分化腺癌であった.中部胆管癌の診断で,肝外胆管切除術・胆嚢摘出術・リンパ節郭清を施行した.肉眼的に腫瘍は,胆嚢管を主座とし,中部胆管に及ぶ48mm大の乳頭膨脹型病変で,組織学的には,充実性~乳頭状構造を呈して増殖する腫瘍で,一部で腺腔形成成分も認めた.大半の腫瘍細胞は淡明な胞体を有し,胆嚢管原発明細胞癌(clear cell carcinoma)と診断した.術後10カ月で肝転移再発を認め,化学療法(GEM+CDDP)を施行した.治療の奏効,病変の縮小が維持されていたため,術後1年6カ月後に肝病変を切除した.胆嚢管・肝外胆管原発明細胞癌の報告はこれまで7例と非常にまれであり,化学療法を施行した症例の報告はない.本症例は,貴重な症例と考え報告する.
  • 竹林 三喜子, 草塩 公彦, 松本 正成, 宇田川 郁夫
    2015 年 29 巻 5 号 p. 985-990
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    症例は46歳女性, 11年前より肝内側区域~前区域に15cmの嚢胞性肝腫瘍を指摘され,近医にて肝嚢胞ドレナージおよび塩酸ミノサイクリン注入療法を繰り返し行われていた.2008年に腹部膨満感が増強し加療目的にて当科に紹介受診となった.腹部CT画像で嚢胞性病変は径22cmと増大し,多房性で一部石灰化を伴っていた.造影効果を伴う壁肥厚も認め,肝嚢胞腺腫または腺癌の診断で肝中央2区域切除術を施行した.摘出標本は多房性の嚢胞で,病理組織学的には悪性所見はなく卵巣様間質を伴っており,肝粘液性嚢胞性腫瘍(mucinous cystic neoplasm of the liver:以下肝MCN)と診断した.術後7年経過した現在まで再発は認めていない.肝MCNの悪性度は様々であるが,完全切除を行えばその予後は一般的に良好であると言われている.本症例のように,単純性嚢胞の診断で治療されている症例の中には肝MCN症例が混在している可能性があり,本疾患を念頭に置き精査することが大切であると考えられた.
胆道専門医講座⑨十二指腸乳頭部腫瘍
第4回 十二指腸乳頭部腫瘍の外科治療
  • 大塚 将之, 清水 宏明, 加藤 厚, 吉富 秀幸, 古川 勝規, 宮崎 勝
    2015 年 29 巻 5 号 p. 991-996
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2016/01/15
    ジャーナル フリー
    十二指腸乳頭部癌はOddi筋への浸潤がみられるとリンパ節転移を伴うことがあり,標準治療は外科的な,領域リンパ節郭清を伴う膵頭十二指腸切除である.膵頭十二指腸切除後の成績は,Stage IB(pT2pN0)までの症例であれば5年生存率が90%を超える.予後規定因子はリンパ節転移が最も強力で,膵浸潤,分化度,脈管侵襲などが報告されている.経十二指腸的乳頭部切除などの縮小手術は手術侵襲度,安全性の面で有利であり,理論的にはOddi筋への浸潤がみられない十二指腸乳頭部癌に対しても対応可能な場合があると考えられるが,その術前診断は現状では困難であり,膵頭十二指腸切除に耐術困難なハイリスク症例以外は適応とすべきではない.十二指腸乳頭部腺腫などの良性腫瘍では,内視鏡的あるいは外科的な乳頭部切除が施行されるが,術中あるいは術後の詳細な病理検査が必須となる.
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