胆道
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原著
  • 西尾 康平, 木村 健二郎, 天野 良亮, 山添 定明, 大平 豪, 大平 雅一
    2018 年 32 巻 5 号 p. 833-841
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
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    十二指腸乳頭部癌(AC)は他の膵頭部領域癌に比べ各施設とも症例数が限られており,未だ予後因子やその特性について詳細な報告は少ない.そこで,1998年4月から2014年12月まで当科で切除を施行したAC43例を対象とし,予後及び再発と臨床病理学的因子の関係について後方視的に検討を行った.組織型が中分化型/低分化型腺癌(mod/por)である症例が独立した予後不良因子であった(p=0.0065).また,mod/por(p=0.0002),リンパ節転移個数が2個以上(p=0.0306),術前減黄処置施行例(p=0.0315)が独立した再発危険因子であった.組織型がmod/porやリンパ節転移個数が2個以上の症例に対しては術後補助療法の必要性を考慮すべきと考えられた.

  • 中村 直彦, 波多野 悦朗, 井口 公太, 瀬尾 智, 田浦 康二朗, 上本 伸二
    2018 年 32 巻 5 号 p. 842-848
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    本検討では胆嚢摘出術にて偶発的に発見される潜在性胆嚢癌の臨床病理学的特徴,外科治療,術後予後を明らかにすることを目的とし,根治的手術を施行した潜在性胆嚢癌11症例,非潜在性胆嚢癌26症例について後ろ向き観察研究を行った.潜在性胆嚢癌は胆嚢頚部に存在し肉眼的形態では平坦浸潤型を示すことが有意に多かった.潜在性胆嚢癌では胆管合併切除を行った症例が非潜在性胆嚢癌と比較し有意に多く,胆管合併切除を行った潜在性胆嚢癌全4症例は頸部に存在する平坦浸潤型であり胆嚢管への癌浸潤を認めた.5年無再発生存率は潜在性胆嚢癌群81.8%,非潜在性胆嚢癌群45.8%であった(p=0.045).また,胆管合併切除を行った潜在性胆嚢癌症例では術後再発を認めなかった.潜在性胆嚢癌は平坦浸潤型が胆嚢頚部に存在することが多く,根治的切除を行う際には胆嚢管への浸潤を注意深く評価し,胆管合併切除を考慮する必要があると考えられた.

総説
  • 菅原 元, 横山 幸浩, 江畑 智希, 伊神 剛, 水野 隆史, 梛野 正人
    2018 年 32 巻 5 号 p. 849-859
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    胆道癌は胆道狭窄により発症し,初診時から胆道感染を併発していることも少なくない.胆道癌術後の感染症対策として,適切な胆道ドレナージを施行して肝機能の改善を図り,術前の胆道感染を制御することは重要である.胆道ドレナージ後の感染管理として,胆汁監視培養や胆汁返還が胆道癌診療ガイドラインで推奨されている.術前感染管理対策の一環として,栄養管理や術前運動療法に関する報告もみられる.

    胆道癌に対する肝切除では術野の胆汁汚染は避けられない.そのため周術期の予防的な抗菌薬投与は重要であるが,胆道癌の周術期抗菌薬投与に関する報告は少ない.最近,胆汁から多剤耐性菌が検出されることも増え,診療に難渋するケースも少なくない.本稿では胆道癌周術期の感染対策の現状を概説し,周術期抗菌薬投与に関する知見について提示する.

  • 小西 大
    2018 年 32 巻 5 号 p. 860-867
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    胆道癌補助化学療法においては2017年以降大規模ランダム化比較試験としてPRODIGE12-ACCORD18試験,BCAT試験,BILCAP試験の結果が発表されたが,いずれもintent-to-treat解析では試験群の有効性は認められなかった.このうちBILCAP試験ではper-protocol解析や感度解析にて有意差を認めており,かつ15カ月の予後延長効果があったことから,標準治療との見解も示されたがガイドラインの変更には至っていない.一方,補助(化学)放射線療法に関してはランダム化比較試験の報告はなく,メタアナリシスや大規模データベース解析の結果からも有効性に関して一定の見解を得られていないのが現状である.しかしリンパ節転移例や病理学的断端陽性例に対して有効性を示した論文は多く,補助療法として適正な対象を実証するエビデンスレベルの高い臨床試験が行われることが期待される.

症例報告
  • 鍋島 立秀, 菅野 敦, 正宗 淳, 益田 邦洋, 三浦 晋, 滝川 哲也, 森川 孝則, 藤島 史喜, 海野 倫明, 古川 徹, 下瀬川 ...
    2018 年 32 巻 5 号 p. 868-875
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
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    症例は60歳代男性.1年前に左腎細胞癌のため左腎摘出術が施行された.同時期に認められていた胆嚢ポリープが徐々に増大傾向を示したため,精査目的に当科を紹介された.造影CTでは胆嚢底部に長径12mmの多血性の隆起性病変を認めた.EUSでは腫瘤は亜有茎性で,強い造影効果を認めた.臨床経過と画像所見より胆嚢癌または腎細胞癌の胆嚢転移を疑い胆嚢摘出術を施行した.最終病理診断は腎細胞癌の胆嚢転移であった.転移性胆嚢腫瘍は稀な腫瘍である.医中誌・PubMedにおいて転移性胆嚢腫瘍で検索したところ165例の報告を認めた.原発巣は腎細胞癌58例(35.1%),悪性黒色腫45例(27.1%),胃癌・乳癌は各15例(9.1%)であった.腎細胞癌・悪性黒色腫の胆嚢転移では隆起性病変の形態を,胃癌・乳癌では壁肥厚性病変の形態をとる症例が多かった.転移性胆嚢腫瘍は原発巣によって特徴的な形態を呈する可能性が示唆された.

  • 藤本 武利, 廣橋 伸治, 加藤 洋
    2018 年 32 巻 5 号 p. 876-883
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
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    早期胆嚢癌は,リンパ節転移を殆ど認めず腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)の適応となりうる.このため,厳密な深達度診断を含めて胆嚢腫瘤の良悪性診断が重要である.症例は無症状の64歳男性であり,定期検診で胆嚢腫瘤の増大を指摘されて受診した.CEA・CA19-9は正常であり,USで胆嚢底部に径3cmの高エコー腫瘤を認め,小嚢胞とコメット様エコーを伴い,内部が不均一であった.外側高エコー層の吊り上げ肥厚を認め,病巣深部低エコーはみられなかった.腫瘤は単純CTで描出され,MRIの拡散強調像で拡散低下を示し,EUSで膵・胆管合流異常を認めた.総合的に早期胆嚢癌が考えやすくLCを行った.切除標本で胆嚢底部に32×29mmの乳頭型隆起を認め,病理組織学的にtubular adenocarcinoma(tub1-tub2)with adenoma component,深達度MPであった.US像に合致し病巣直下の漿膜下層脂肪織が吊り上げ肥厚を示した.外側高エコー層の吊り上げ肥厚はMP癌でも認めうる所見である.

  • 増田 作栄, 小泉 一也, 賀古 眞, 武田 宏太郎, 手島 伸一
    2018 年 32 巻 5 号 p. 884-890
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    70代男性.腹痛を主訴に受診し,急性膵炎の診断にて入院となった.その際の腹部造影CTにて,胆嚢から肝床部にかけて腫瘤性病変を偶発的に認め,同時に肝十二指腸間膜内から傍大動脈にかけて多発するリンパ節腫大も認めた.膵炎の治癒後に,胆嚢病変ならびに肝十二指腸間膜内リンパ節に対して超音波内視鏡下穿刺吸引法による組織検査を施行したところ,いずれも印環細胞癌を大部分に認め,胆嚢印環細胞癌と診断した.切除不能と判断し,gemcitabine+cisplatin併用療法ならびにS-1単独療法を施行したがいずれも奏効せず,初診より8カ月で永眠された.胆嚢印環細胞癌の本邦報告例は少なく,その多くが切除例であるが,本例では超音波内視鏡下穿刺吸引法が診断に有用であった.また,化学療法についての報告も限られているため,臨床上重要と考え報告する.

  • 耕崎 拓大, 宗景 匡哉, 上村 直, 花崎 和弘
    2018 年 32 巻 5 号 p. 891-899
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    膵炎に由来する体腔内感染巣に対して超音波内視鏡下の経消化管的ドレナージは広く普及しているが,膵炎以外が原因の場合は現在でも経皮的あるいは開腹ドレナージが一般的である.しかしながら近年,種々の感染巣に対して超音波内視鏡下のドレナージが施行されつつある.今回我々は胆嚢摘出後の腹腔内膿瘍に対して超音波内視鏡下ドレナージが有用であった1例を経験したので報告する.症例は65歳,男性.急性胆嚢炎に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行した.その後腹痛,発熱を認めCTで胆嚢摘出部位に一致して膿瘍を認めた.経皮的ドレナージルートの確保が困難であり,超音波内視鏡下ドレナージを施行した.十二指腸球部よりアプローチし,膿瘍内にチューブステントを挿入し内瘻化した.炎症は速やかに改善し膿瘍も縮小・消失した.その後も膿瘍の再発は認めていない.超音波内視鏡下膿瘍ドレナージは低侵襲でかつ有用・安全な手技と考えられる.

  • 和田 敬, 旭吉 雅秀, 土持 有貴, 濵田 剛臣, 矢野 公一, 今村 直哉, 藤井 義郎, 田中 弘之, 七島 篤志
    2018 年 32 巻 5 号 p. 900-907
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    症例は61歳,男性.59歳時に肝門部領域胆管癌に対し,右肝切除術,肝尾状葉切除術,肝外胆管切除術を施行した.術後2年3カ月目の血液検査でCA19-9が上昇し,PET-CTで十二指腸下行脚に異常集積を認めた.ERCPで十二指腸乳頭部の腫大とその口側に潰瘍形成を認め,同部の生検でadenocarcinomaと診断した.画像上,前回手術の再発所見はなく,腫瘤潰瘍型の十二指腸乳頭部癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除術を施行し,根治切除を行うことができた.初回手術後5年3カ月現在,再発は認めていない.肝門部領域胆管癌の肝切除術後に発症した異時性胆道癌に対し手術を行うことは稀であるが,根治を望める場合は手術適応について検討する意義はあると考えられた.

  • 野津 新太郎, 手塚 康二, 渡邊 利広, 髙橋 良輔, 菅原 秀一郎, 平井 一郎, 加藤 智也, 木村 理
    2018 年 32 巻 5 号 p. 908-917
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    症例は38歳男性.祖父に胃癌,叔父に胃癌と食道癌を認めた.全身倦怠感,食欲低下,皮膚黄染を主訴に前医に入院した.ERCPで遠位胆管に全周性狭窄を認め,精査目的に当院へ転院となった.胆管狭窄に関しては複数回の生検でも悪性所見を得られず,一方,下部消化管内視鏡検査で全大腸炎型潰瘍性大腸炎を認め,直腸Rbの0-Is病変からの生検の結果はGroup5(tub2)であった.大腸の治療を優先する方針となり,腹腔鏡補助下大腸全摘術(直腸切断型),回腸人工肛門造設術を施行した.術後,胆管生検を再度行ったところ腺癌が強く疑われ,膵頭十二指腸切除術を施行した.本邦では潰瘍性大腸炎へのPSCの合併や,PSCへの胆管癌の合併はそれぞれ数%ずつ報告されている.PSCを合併していない潰瘍性大腸炎の症例で,大腸癌と胆管癌を合併した若年成人例の報告は認められず,自験例は極めて稀であり,文献的考察を含め報告する.

  • 谷川 朋弘, 浦田 矩代, 中村 純, 末廣 満彦, 笹井 貴子, 浦上 淳, 物部 泰昌, 河本 博文
    2018 年 32 巻 5 号 p. 918-925
    発行日: 2018/12/31
    公開日: 2019/01/11
    ジャーナル 認証あり

    症例は66歳男性.2型糖尿病でかかりつけ医を定期受診した際に皮膚黄染を指摘され紹介受診となった.腹部CTで乳頭部直上の遠位胆管に造影効果を有する腫瘤像を認め,ERCP施行時に経口胆道鏡検査も同時に行ったところ,CTに一致する部位に絨毛状粘膜から基部でくびれるようにして急峻に立ち上がる腫瘤を認めた.生検で低分化型腺癌を認め遠位胆管癌と診断し,亜全胃温存膵頭十二指腸切除術+D2郭清を施行した.術後の病理検査で通常の腺癌組織から移行像を伴う紡錘形細胞を認め,「いわゆる癌肉腫」と診断された.肝外胆管の「いわゆる癌肉腫」の症例報告は徐々に増えているが,依然術前診断は困難とされており,また術前に経口胆道鏡検査が施行された症例は稀である.本症例では,「いわゆる癌肉腫」に特徴的と思われる経口胆道鏡所見を認めたため,若干の文献的考察を加えて報告する.

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