胆道
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5 巻, 1 号
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  • 1991 年 5 巻 1 号 p. e1-
    発行日: 1991年
    公開日: 2012/12/14
    ジャーナル フリー
  • -その病態と機序の検討-
    阿部 裕, 伊勢 秀雄, 北山 修, 鈴木 範美, 松野 正紀, 高山 和喜, 冨田 幸雄, 小原 哲郎
    1991 年 5 巻 1 号 p. 11-20
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    体外衝撃波胆石破砕に伴う肝の急性,亜急性変化を動物実験で検討した.急性変化では400回の照射をこえると肝被膜下に出血が認められる例が確認され,500回以上では胆嚢床にも出血巣が認められた.さらに衝撃波の直接の高圧の及ばない肝実質内にも巣状出血を認めた例があった.出血の程度は照射数が多くなるにつれ高度となった.また,1,000回を分割して照射した例では肝に肉眼的な変化はほとんど認めず,組織学的にも連続照射例に比して障害は軽度で,数多くの衝撃波照射を必要とする場合には分割照射法が有効と思われた.検査成績では400回以上照射群で衝撃波照射後にGOT,GPTが有意に上昇した.肝損傷の発生機序に関したモデル実験では球状衝撃波により小気泡が200~240m/secの衝突速度を持つマイクロジェットを形成することを観察した.衝撃波による肝損傷には直接の高圧作用のほかにマイクロジェットの関与が示唆された.
  • 丸岡 義史, 新井 一成, 石井 博, 鈴木 利之, 小池 正, 副島 和彦, 神田 実喜男
    1991 年 5 巻 1 号 p. 21-27
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    小児内視鏡の有用性は周知となってきており,適応のある疾患に対するEndoscopic Retrograde Cholangio-Pancreatography(ERCP)施行時のVater乳頭形態の観察および胆道系の造影に成功する症例も数多く経験し,明らかな成人との乳頭形態の違い,特にその最も特徴的である口側隆起について,病理組織学的裏付けを加え,検討した.口側隆起は,新生児・乳児にはVater乳頭観察症例のほぼ全例に存在せず,幼児になると口側隆起を認める頻度は増加し,年長児では成人と同頻度であった.組織学的には,胆管下部括約筋(Sphincter choledochus inferior)の発達状態と胆管の十二指腸壁への入射角度が,口側隆起に与える要因として示された.
  • -とくに胆石形成因子と関連して-
    松代 隆, 梶山 林太郎, 山本 協二, 林 仁守, 今岡 洋一, 徳村 弘実, 太田 恵輔
    1991 年 5 巻 1 号 p. 28-34
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    最近,長期間の中心静脈栄養(IVH)患者に高率に胆嚢結石の発生がみられることが報告されている.両者の関連を明らかにするため,大腸癌の術前処置としてIVHを施行した24例(肝機能,胆嚢機能正常)を対象にIVH投与前後の胆嚢機能,術中採取した胆汁の組成を検討した.
    IVH施行例では対照とした胃癌,胆石症(いずれも肝機能正常,胆嚢機能正常)に比し胆嚢が腫大する傾向と明らかな胆嚢収縮率の低下を認めた.胆汁の細菌検出率はIVH例は全例陰性であったが,コ石21%,黒色石25%,ビ石95%であった.IVH例の胆汁脂質はコレステロールが対照に比し高値を示したが,催石指数は1.0以下であった.胆汁中総ビ,直ビ,間ビ値はIVH例が著しく高値で,ついで黒色石が高かった。以上よりIVH例では黒色石が形成され易い条件にあることが示唆された.
  • 須田 耕一, 茂垣 雅俊, 松本 由朗, 宮野 武
    1991 年 5 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流異常の臨床診断を検討する目的で膵管と胆管の合流状態をX線と肉眼像で対比した.検討した症例は膵・胆管合流異常と診断され,切除あるいは剖検された12例(胆道癌11例と膵癌1例)で,1群(9例):X線で合流異常と診断され,肉眼的に壁外合流であったもの,II群(2例):X線で合流異常と判定したが肉眼的に壁内合流であったもの,III群(1例):X線で合流異常と判定できなかった合流異常例に分類された.群はいずれも共通管が肉眼的に1.5cm以上であった.II群の1例は共通管が1.5cImとやや長いものの粘膜下を長く横走し壁内合流であった.残りの1例は中部胆管癌が膵に波及し,主膵管が総胆管のほうに牽引されてX線上壁外合流にみえたものであった.III群の1例は共通管が短い上に総胆管末端部の癌により総胆管と膵管の合流様式が不明瞭であった.以上より合流異常の臨床判定は共通管の長いものでは比較的容易であったが,短いものでは困難か,または壁内合流例であった.
  • 嶋田 紘, 新本 修一, 泉 俊昌, 土山 智邦, 福島 弥, 片山 寛次, 野手 雅幸, 広瀬 和郎, 関 弘明, 礒部 芳彰, 小島 靖 ...
    1991 年 5 巻 1 号 p. 40-48
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    過去11年間の胆管癌切除47例の術後成績を検討した.全体の5年累積生存率は,23%,占居部位別では肝管100%,上部O%,中部24%,下部13%であった.肝管4例に対する肝切除の予後は良好だったが,上部10例中の肝切除2例と,胆管切除6例と中部1例,下部1例の計11例が断端癌遺残で,下部1例がN>Rで局所再発した.中下部32例のうち進行例でV因子やN>Rのため非治癒切除となった膵十二指腸切除(PD)5例と胆管切除1例は肝または全身転移で再発した.治癒切除のPDのうち1y2,pn2の3例は腹膜播腫で再発した.組織型がpap,深達度がm・fmの例や,PD例でpanc0~1の例の予後はこれら以外の例に比べて有意に良好であった.以上より遠隔成績の向上のためには肝管や上部胆管癌ではhwやewが陰性になるよう肝切除,断端への術中照射や血行再建を行う.進行した中下部胆管癌では神経叢切除を含む拡大PDがまた,panc,ly,v,pnが高度であれば治癒切除であっても強力な全身化学療法が必要と思われた.
  • -自験69症例を通して-
    伊藤 順造, 佐々木 幸則, 渡部 秀一, 高倉 一夫
    1991 年 5 巻 1 号 p. 49-59
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    過去15年間に経験した69症例の胆嚢癌を,5年ごとの3期に区分し分析し,以下の結果が得られた.
    1)積極的な肝亜区域以上切除および膵頭十二指腸切除により切除率は,I期35%からIII期72%と上昇したが,術死例もI期0%からIII期9.1%と増加した.
    2)術死例を減少させるためには,肝切除の範囲は可及的に亜区域(S5+S4下1/2)以下にとどめるべきである。3群リンパ節転移高度例の予後は不良であり,3群リンパ節転移高度例では膵頭十二指腸切除を付加してまでのリンパ節郭清はすべきではないと思われた.
    3)CEAダブリングタイムが測定可能例では,ダブリングタイムが180日以上のslowgrowing typeと判明した症例で肝膵同時合併切除による拡大手術の意義が高まるものと思われた.
  • 有村 文男, 松元 淳, 末川 清康, 田中 啓三, 中塩 一昭, 嘉川 潤一, 渋江 正, 有馬 暉勝
    1991 年 5 巻 1 号 p. 60-66
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡(EUS)施行後に手術された胆嚢隆起性病変37例(コレステロールポリープ22例,腺腫3例,腺腫内癌2例,癌3例,腺筋腫症4例,慢性胆嚢炎2例,黄色肉芽腫症1例)を対象とし質的診断におけるEUSの有用性を検討した.EUS像をI型:小円形高エコー型,II型:顆粒(線)状高エコー集籏型,III型:充実性高エコー型,IV型:充実性低エコー型,V型:充実性低エコー+無エコー領域型の5型に分類した.コレステロールポリープはI型2例,II型20例,腺腫はIV型3例,腺腫内癌はIV型2例,癌はIII型1例,IV型2例,腺筋腫症はV型4例であった.以上よりI,II型はほとんどコレステロールポリープであり,IV型は癌と腺腫,V型は腺筋腫症に多く,EUSによりある程度胆嚢隆起性病変の質的診断が可能であると考えられた.
  • 下山 孝, 谷田 憲俊, 林 秀幸, 吉田 裕彦, 古川 耕也, 織田 誠, 日笠 豊, 山元 哲雄, 今西 宏安, 安室 芳樹, 波田 寿 ...
    1991 年 5 巻 1 号 p. 68-76
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    体外衝撃波結石破砕療法における衝撃波発生法の1方式である電磁振動膜装置を用い,胆嚢結石の治療を行った.対象は,原則として石灰化のない,個数3個以内かつ最大径30mm以下の結石を有する30歳から73歳までの男性29例,女性31例の計60例で,全例胆汁酸製剤を服用している.治療は鎮痛・鎮静剤を前投薬し,1回3,000発の衝撃波投与を,破砕の状況をみながら数回行った.60例中92%で破砕に成功し,結石の超音波分類ではI型に有効例が多く,僅かに石灰化を有する結石も破砕できた。治療後,3ヵ月以上経過を観察できたが,28%に結石の消失をみた.副作用は,治療中の疹痛が51%,心電図異常が3%,治療後には臨床検査値異常が2~11%の患者でみられたが,一過性であった.また,経過観察中,疝痛発作を10%に認めたが,内科的治療で軽快した.以上,本法は胆石に対し,安全で有効な治療法であると考えられる。
  • 梶山 林太郎, 山本 協二, 松代 隆, 大谷 明夫
    1991 年 5 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    先天性と思われた良性胆道狭窄症を3例経験した.症例は74歳女性,36歳男性,42歳男性である.前2者は総肝管の幅2mmの膜様狭窄で,後者は膵上縁の高さの総胆管の幅7mmの非膜様の狭窄であった.症例1(74歳女性)は胆嚢総胆管にビ石を,また,胃癌を合併していたため胃全摘し,胆道系に対しては胆摘,総胆管切石後膜様物を切開し,T-ドレナージを行った.症例2(36歳男性),症例3(42歳男性)には胆摘,狭窄部を含めた胆管切除を行い胆道再建した.3例とも肉眼的に胆管のみならず,胆管周囲の組織にも明らかな狭窄の原因となるような後天的な異常を認めず,組織学的にも炎症所見,胆管壁自体の肥厚,線維化も著明でなかった.ただ胆管壁の平滑筋組織の発達がみられた.これらの狭窄の原因は,他に明らかな原因を認めないことより,先天性の異常によるものと推定された。
  • 松原 俊樹, 末永 昌宏, 岡田 喜克, 杉浦 勇人, 上原 伸一, 大輪 芳裕
    1991 年 5 巻 1 号 p. 84-89
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    原発性肝内コレステロール胆石症の報告は散見されるようになったが,若年者例の報告は21例中3例と少ない.本報告例は23歳男子で右季肋部痛に続く肝機能障害にて入院,超音波にて胆嚢内small high echoおよび肝右葉後区域に多数の微細なhigh echo spotを認め,胆嚢結石および肝内結石の疑いで手術を行った.術中胆道造影で右葉後下区域枝末梢に微細な透亮像を認め肝内結石症と診断,T-tubeを留置した.術後胆道鏡的切石を試みたが切石困難のため,肝石葉後下区域切除を行った.切除肝肝内胆管枝には無数の微細な結石が存在し肝切除が妥当であったことが証明された.分析の結果,成分の98%がコレステロールであった.
  • 松本 由朗, 小林 正史, 小河原 忠彦, 松田 政徳, 青山 英久, 木村 公憲, 佐藤 公, 木之瀬 正, 池田 昌弘, 藤野 雅之, ...
    1991 年 5 巻 1 号 p. 90-97
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    膵・胆管合流異常(合流異常)の本態の解明のうえで極めて示唆に富む2症例を報告した.症例1は56歳女性で,健診時超音波診断で胆嚢癌を疑われ,精査の結果,合流異常を伴った胆嚢癌と診断され根治手術を受けた.ERCP上総胆管の拡張は認めず,それと同じ太さの膵内胆管と思われる導管から膵頭部に分布する小膵管が数本認められ,その1本が背側膵の導管と交通し,その導管からSantorini管とともに膵尾部までの膵管が造影された.症例2は60歳女性で右季肋部痛を主訴に来院,精査の結果,合流異常を伴う切除不能の胆嚢癌の診断を受けた.ERCP上,症例1と同様に膵内胆管と思われる導管から膵頭部に分布する多数の小膵管が認められ,その1本を通じて背側膵管が尾部まで造影された.肝外胆管の拡張は認めず膵内の胆管と思われる導管と同じ太さを示した.2例とも発生学的に腹側膵管の羅側端と総胆管末端が合流し,さらに腹側膵管の2次分枝と背側膵管の2次分枝が癒合する膵管癒合不全が併存しているものと推察した.
  • 藤岡 ひかる, 東 尚, 山本 正幸, 釣船 崇仁, 元島 幸一, 押淵 英展, 角田 司
    1991 年 5 巻 1 号 p. 98-103
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    急性気腫性胆嚢炎の1治験例(外科的)について報告した。症例は73歳男性,主訴は右季肋部痛および全身倦怠感,立位腹部単純撮影で右季肋部に鏡面像を認めるが,腹部超音波検査では胆嚢を同定することができなかった。腹部CT検査では胆嚢内にガス像,結石の存在を認めた.これらの検査結果および消化管造影検査で胆嚢と腸管との内瘻を認めないことより気腫性胆嚢炎と診断し,胆嚢摘出術を行った.本症は比較的稀な疾患であるが,胆嚢壁の穿孔や胆嚢周囲膿瘍を合併する危険性が高く早期の外科的治療が必要と考えられた.
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