胆道
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6 巻, 1 号
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  • 中山 和道
    1992 年 6 巻 1 号 p. 5-11
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
  • 鈴木 兼三, 伊勢 秀男, 北山 修, 佐藤 正一, 鈴木 範美, 松野 正紀
    1992 年 6 巻 1 号 p. 12-22
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    フォルマリンの乳頭部への注入により作製した乳頭不全犬8頭を用いて, 圧力センサー付きカテーテルによる乳頭部圧測定と定流灌流式胆道内圧測定を行い, 乳頭不全の病態を実験的に検討した. なお対照として急性犬7頭についてはPancronium bromide(P.B)の投与下での乳頭部圧と胆道内圧を測定し, 乳頭不全犬と対比して以下の結論を得た.
    1.急性犬では, P.B投与下でも乳頭部の収縮運動を反映する乳頭部圧波形が記録された.
    2.乳頭不全犬の圧力セソサーによる乳頭部圧波形は, 振幅ならびに波形面積が低下・減少し, 胆道内圧は減衰時間が短縮した.
    3.乳頭不全犬の乳頭部圧波形を3型に分けた. I型は周期が減少するもの, II型は周期の変化がないもの, III型は周期が増加するものであった.
    4.乳頭不全犬の乳頭部の組織学的検討では全例にOddi筋の変性・断裂を認めた.
    以上より, 「乳頭不全」とは種々の程度に乳頭部の括約運動が障害されて, それが胆汁うっ滞を惹起し, 胆管が拡張するものと推察された.
  • 佐々木 誠
    1992 年 6 巻 1 号 p. 23-34
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    外因性prostaglandin E1(以下PGE1)の減黄時の胆汁排泄に対する影響を, ラットの閉塞性黄疸解除モデルを用いて実験的に検討した.また臨床例についても, 閉塞性黄疸に対する減黄術後にPGE1投与を試みた. 実験群は2週閉塞性黄疸後解除群, 1週閉塞性黄疸後解除群, 対照群を設定した.実験群のうち, 長期閉塞である2週閉塞性黄疸後解除ラットに対してPGE1 5μg/kg/minを経静脈投与した結果, 胆汁酸非依存性胆汁分泌の有意の増加を認めた. 加えて, indocyanine grcen(以下ICG)によるICG移行率の分析から, ICGの胆汁排泄改善効果が認められた. 臨床例では, PGE1 0.01μg/kg/minを経静脈投与した結果, 減黄不良と半蜥した症例でも胆汁流量の増加が認められた.
    PGE1は, 減黄時の胆汁排泄に対して胆汁酸非依存性胆汁分泌の増加作用を有し, 利胆剤としての有用性が示唆された.
  • 内山 和久
    1992 年 6 巻 1 号 p. 35-44
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    従来より肝内結石はビリルビンカルシウム石(以下ビリルビン石)とされてきたが, 今回胆嚢結石43個(コレステロール石16個, ビリルビン石16個, 黒色石11個)を対象とし, 肝内結石症25個をその構成成分から分類した. 分析は, 1.赤外線分光分析による胆石成分の分析, 2.胆嚢胆管胆汁における胆汁酸分析, 3.胆石に含まれる胆汁酸濃度およびその分画, 4.胆石内の無機元素濃度の4項目について行い, これらを多変量解析した.その結果, 肝内結石は黒色石に類似するもの(I型), ビリルビン石(II型), コレステロール石に近いもの(III型)の3種に分類され, 肝内結石に含有されるコレステロール成分により, 20%以下のものをI型, 21から40%のものはII型, 41%以上のものをIII型にすればよいことが判明した.臨床的にII型は他に比べて疼痛, 発熱, 黄疸などが強く, 肝内胆管の拡張・狭窄ともに存在する例が多いなど, それぞれの型別に臨床的特徴が認められた.
  • 高岡 哲郎, 村元 雅行, 福井 拓治, 赤毛 義実, 加藤 文彦, 柴田 清人
    1992 年 6 巻 1 号 p. 45-53
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    閉塞性黄疸時のリンパ球幼若化反応について, PTBDを施行した臨床例と総胆管結紮にて作成した閉塞性黄疸モデルにおいて検討を行なうと共に閉塞性黄疸血清のリンパ球機能に対する影響について検討した. その結果 1)閉塞性黄疸時にはリンパ球幼若化反応の低下が臨床的, 実験的に証明された. また臨床例において減黄術による T.B.の正常化に伴いリンパ球幼若化反応の改善が認められた. 2)閉塞性黄疸の血清中にリンパ球幼若化反応に対する抑制因子の存在が実験的に証明された. 以上より閉塞性黄疸時における黄疸軽減処置は患者の免疫能改善において重要な治療法であると考える.
  • 白崎 敬二, 渋谷 明隆, 國分 茂博, 柴田 久雄, 吉田 宗紀, 中 英男, 広門 一孝, 岡部 治弥
    1992 年 6 巻 1 号 p. 54-60
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    超音波検診で発見された胆嚢ポリープ症例(大半はコレステロールポリープと考えられる)の自然経過を観察した. 過去4年間の当人間ドック受診者8,756例中, 胆嚢ポリープは469例で, 胆嚢超音波検診の有所見者中最も高頻度であった. このうち1年以上経過観察しえた183例の最大径の変化を観察した. その結果, 不変131例(71.6%), 増大29例(15.8%), 縮小13例(7.1%), 消失10例(5.5%)であった.また, コレステロールポリープの部分脱落を手術例で呈示した. 平均年齢では胆嚢結石が高齢者に多いのに比べ, ポリープは胆嚢超音波検診正常者との差を認めなかった. 以上の結果より, コレステロールポリープが一定以上の大きさになりにくい理由, およびその自然史について考察した.
  • 親水性胆汁酸の膜保護作用について
    佐川 広, 田妻 進, 初鹿 寿美恵, 峠 誠司, 山下 郡司, 相原 直樹, 佐々木 雅敏, 水野 重樹, 佐々木 晴敏, 堀内 至, 梶 ...
    1992 年 6 巻 1 号 p. 61-67
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    タウロデオキシコール酸(TDC), タウロケノデオキシコール酸(TCDC), タウロコール酸(TC), タウロウルソデオキシコール酸(TUDC), タウロベータムリコール酸(TβMC)を用いて各胆汁酸の膜障害性と, 疎水性胆汁酸に対する親水性胆汁酸の膜保護作用について, ヒト赤血球膜を細胞膜モデルとして溶血を指標として比較した. 各胆汁酸の溶血性の強度はTDC>TCDC>TC>TUDC>TβMCの順で高速液体クロマトグラフィー法による疎水性の程度の順列と一致した. 一方, TUDCとTβMCはTCDCによる溶血性を減弱させたが, その作用はTβMCの方が顕著であった(6mM添加, 30分時抑制率82.0%対90.4%).最大抑制効果を認めたTCDC:TUDC(TβMC)=1:3モル濃度比の混合胆汁酸溶液での溶血は, 総胆汁酸濃度(1~10mM)に依存せず, 総胆汁酸濃度上昇に対して溶血は充進しなかった. 以上より, 親水性胆汁酸は疎水性胆汁酸による細胞膜障害に対する膜保護作用を持ち, その発現には至適濃度が存在することが判明した.
  • 動物実験の実際と問題点
    村井 隆三, 安藤 博, 広原 鍾一, 平沢 正典, 楠山 明, 奥井 重徳, 栗栖 敏嘉, 橋口 文智, 伊坪 喜八郎
    1992 年 6 巻 1 号 p. 68-72
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    Laparoscopic Cholecystectomyは, 1989年フランスにて, Duboisらにより紹介されて以来, 欧米などにおいて, 広く行われつつある.
    本法は, 腹腔鏡画像をビデオカメラに写しモニターテレビを見ながら行う外科手術方法であり, 立体視できず, 長い鉗子類を自由自在に操作できるようになるまでには, 動物を用いたトレーニングが不可欠である.
    著者らは, 臨床例に先立ち, 10頭の豚と5頭の犬を使ったLaparoscopic Cholecystectomyの動物実験を経験した.1 5回の動物実験において, 4件の合併症を経験した(26.7%) .内2例は臨床例であれば, 明らかに開腹手術を必要とするものであった.
    30kgの豚においては, 全例胆嚢管と胆嚢動脈を別々に処理することが可能であり, 胆嚢管への造影チューブの挿入にも成功した.
    臨床例における合併症を避けるためにも, 動物を用いたトレーニングが重要と考えられた.
  • 原田 昇, 神津 照雄, 大島 郁也, 一瀬 雅典, 佐久間 洋一, 宮崎 信一, 有馬 美和子, 二宮 栄一郎, 吉村 清司, 磯野 可一
    1992 年 6 巻 1 号 p. 73-78
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    1980年4月から1991年4月までの約11年間に, 当科において内視鏡的治療を施行した良性胆道狭窄25例の治療成績を検討し, 本疾患に対する内視鏡的治療の有用性につき考察した.治療方法は, PTCD瘻孔より挿入したPTCSチューブ, バルーンカテーテルによる機械的拡張と, 必要に応じレーザー照射(初期の症例では高周波メス)を用いた. 狭窄部位別の症例数と平均治療回数は, 肝管空腸吻合部狭窄9例, 8.7回, Tチューブドレナージ術後総胆管狭窄4例, 5.5回, 肝内結石を伴う肝内胆管狭窄12例, 3.0回であった. 合併症は胆管炎1例, 吻合部窄孔2例, 計3例, 12.0%に認め, いずれも保存的治療にて軽快した. 再発は, 1ヵ月から10年9ヵ月(平均5年1ヵ月)の経過観察期間中1例, 4.0%に認め, 再度内視鏡的治療施行し, 軽快した. 死亡例はなかった.以上より,良性胆道狭窄に対し内視鏡的治療は有用であると思われた.
  • 窪川 良広, 有山 襄, 須山 正文, 小川 薫, 猪狩 功遺, 佐藤 一弘, 長岩 治郎, 藤井 大吾, 土田 明, 小川 聡, 崔 仁煥 ...
    1992 年 6 巻 1 号 p. 79-84
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は54歳の女性. 体外式超音波(以下US), 超音波内視鏡(以下EUS)で限局性の胆嚢粘膜の肥厚を認め, EUSで最外層のhigh echo層が保たれていたことから早期胆嚢癌と診断した. 切除標本の病理組織所見では頸部から体部にかけて, 周囲粘膜に比してわずかに丈の高い粘膜肥厚部が存在した, この粘膜肥厚部にhyperplasia, dysplasia, および腸型化生上皮に混在して癌が粘膜内に限局して存在し, それぞれの丈の高さに差はなかったので表面平坦型(IIb型)早期胆嚢癌と診断した. 本症例は胆嚢癌の早期診断におけるUS, EUSの有用性, および胆嚢癌の発生母地を示唆する症例と思われた.
  • 北川 隆, 栄浪 克也, 鈴木 弘子, 武藤 英二, 武田 章三, 神田 誠
    1992 年 6 巻 1 号 p. 85-90
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は69歳の女性. 1986年10月より上腹部痛が出現し入院した. 腹部超音波・CT検査で胆石および胆嚢癌と診断した. 肝への浸潤所見を示したため手術の適応でないと判断し, 保存的に経過をみていたが次第に全身状態が悪化し, 入院約10ヵ月後に死亡した. 剖検所見では, 胆嚢内に結石と隆起性腫瘤を, また胆嚢床から肝への浸潤と転移の所見を認めた. 病理組織学的に, 多様性に富む未分化な細胞が互いに交錯した配列をとり, 大部分が紡錘形を呈する肉腫と, 腺癌成分を伴わず, わずかに角化傾向を示す扁平上皮癌とが混在する癌肉腫の像であった. 本邦では胆嚢癌肉腫の報告は少なく, その癌腫成分はほとんどが腺癌であるが, 本例は扁平上皮癌であり, 極めてまれな症例と考え報告した.
  • 奥嶋 一武, 中澤 三郎, 山雄 健次, 芳野 純治, 乾 和郎, 山近 仁, 岸 克彦, 松本 純夫
    1992 年 6 巻 1 号 p. 91-95
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は52歳, 女性. 主訴は上腹部痛である, US, CTでは胆嚢内に多数の結石を認める以外特に異常なし. ERCPで総胆管内に径6mmの結石を3個認めたため, ESTなしでENBD tubeを挿入し, tube造影下で2回のESWLを行い総胆管結石を破砕消失せしめた. 胆嚢結石は多数でESWLの適応外のため腹腔鏡下胆嚢摘出術を実施した. 胆嚢結石は22個の混成石であった. 術後経過は順調で術後5日目に退院した. 以上, 胆嚢胆管結石に対してESWLと腹腔鏡下胆嚢摘出術を組み合わせて治療を行った. ESWLは非観血的で乳頭機能を温存できるため, 本症のような胆嚢から落下したと考えられる胆管結石の治療において有用である. また, 多数個の胆嚢結石例には腹腔鏡下胆嚢摘出術は効果的な治療法であり, 胆嚢胆管結石症例に対して両者の併用は有意義な治療法と思われる.
  • 関 弘明, 藤田 隆, 高橋 嘉彦, 土山 智邦, 野手 雅幸, 礒部 芳影, 嶋田 紘, 中川原 儀三
    1992 年 6 巻 1 号 p. 96-101
    発行日: 1992/02/24
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例1, 70歳, 女性. 主訴は右季肋部痛および発熱. 急性胆嚢炎の診断にて胆摘, 総胆管切開, およびT字管挿入を施行した. 病理学検査にて胆嚢癌(粘液癌)と診断された. 術後のT字管造影にて, 下部胆管に分葉状のポリープ様陰影欠損があり, 胆道鏡で, 乳頭状の6×5mmの山田III型ポリープを認め, 鉗子にて切除した. 病理学的にはPapillary adenomaであった. 腺腫の再発はみられなかったが, 胆嚢癌の再発にて1年6ヵ月後に死亡した. 症例2, 62歳, 女性.主訴は心窩部不快感である. ERCPにて, 総胆管は径11mmと軽度拡張し, 胆管下部に透亮像を認め, 胆嚢, 総胆管結石の診断で手術, 術中胆道鏡にて5×3mmのポリープ病変を認めたため切除した. 病理学的にはadenomaであった. 術後5年の現在, 再発は認めていない. これら胆管腺腫の2例について, 腺腫-腺癌の関係を, 腸上皮化生, CEA染色, 粘液分泌等から検討し, 若干の文献的考察-を加えて報告した.
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