胆道
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9 巻, 4 号
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  • 飯田 昌幸, 岡山 安孝, 後藤 和夫, 星野 信
    1995 年 9 巻 4 号 p. 289-297
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    CTによる胆石の質的診断を目的とし, 149症例の術前CTを検討した. 方法は胆石の最大割面が得られるCT画像上で, 胆石の中心線上のCT値変化を曲線として表示(CT-Profile曲線)し, その曲線形状と日本消化器病学会胆石症検討委員会による肉眼分類を対比することにより行なった. CT-Profile曲線は, 曲線形状とCT値の検討より6型に分類された (CT-Profile分類). さらに, 胆石数を4個以下と5個以上の2群に分け, 肉眼分類との対比を行なうことにより各胆石の診断率を算出した. CT-Profile分類における診断率は, コレステロール胆石では純コレステロール石88%, 混成石76%, 混合石94%であり, 極めて高い診断率を有したが, それに比較して色素胆石では, 黒色石51%, ビリルビンカルシウム石72%とやや劣っていた. また, 胆石全体の診断率は75%であった.
  • 味木 徹夫, 藤盛 孝博, 小野山 裕彦, 山本 正博, 斎藤 洋一, 前田 盛
    1995 年 9 巻 4 号 p. 298-305
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆道癌および異形成 (dysplasia) における K-ras 遺伝子変異の頻度を明らかにし, 臨床応用への可能性をさぐるために, dot-blot hybridization 法および2段階PCR法を用いこれらのK-ras codon12の点突然変異を検索した. K-ras変異の頻度は, dot-blot hybridizationおよび1回のPCRおよび制限酵素切断(PCR-RFLP)では胆嚢癌6%(3/51), 胆嚢 dysplasia 0%(0/11), 肝内胆管癌(3/7) 43%, 肝外胆管癌10%(1/10)であったが, 高感度の2 段階PCR法では胆嚢癌59% , 胆嚢dysplasia 73%, 肝内胆管癌 71%, 肝外胆管癌50%であった. さらに, 2段階PCR法のみで変異が検出された胆嚢癌3症例に対し, flow cytometryを用いたcellsortingを行った結果, 1例に aneuploid cellのみからPCR-RFLP のみでras変異を検出しえた. 胆嚢癌では少量の腫瘍細胞にのみras変異を認める傾向が強く,ras変異検討に2段階PCR法の必要性が考えられた. 胆嚢癌における臨床病理学的因子や予後とK-ras変異は相関を認めなかった.
  • 術前ESTと腹腔鏡下胆嚢摘出術を基本とする立場から
    加納 宣康, 山川 達郎, 石川 泰郎, 春日井 尚, 大滝 修司, 石山 純司
    1995 年 9 巻 4 号 p. 306-311
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    我々の総胆管結石症に対する治療の現況と方針につき報告した. 1990年5月より1994年7月までに施行した腹腔鏡下胆嚢摘出術(LC)の総数は537例で, このうち総胆管結石を伴う胆嚢結石症は45例(8.38%)であった. ERCPで小結石を認めた4例はそのままLCを施行し, 術前に黄疸を認めた1例は経皮経肝的胆管鏡で結石を摘出し, 結石が2cm超の3例にはESTなしでLCおよび総胆管切開術を施行した. その他の37例には術前ESTを施行し35例に成功し, 31例で完全摘出ができたと判定した. 不完全摘出に終わった4例中3例はLCを試みたが開腹に移行し, あとの1例は腹腔鏡下に総胆管切開術を施行し, 術後胆道鏡(POC)で遺残結石を摘出した, ESTが不成功だった2例はLCを試みるも開腹術に移行した. 遺残結石を合計7例に認めたが, Tチューブが留置されていた3例はPOCで, その他の4例も術後の内視鏡的結石摘出術にてすべて摘出できた. LCが普及した今日, 内視鏡的截石を基本とした総胆管結石に対する治療方針は合理的なものと考えられる.
  • TAE後および再建肝動脈狭窄後の肝膿瘍
    黒沢 治樹, 仲野 明, 三浦 靖彦, 福島 忠男, 遠藤 格, 関戸 仁, 池 秀之, 大木 繁男, 嶋田 紘, 前原 正典, 中川原 儀 ...
    1995 年 9 巻 4 号 p. 312-320
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    肝動脈の虚血, 阻血による肝膿瘍の病態解明とその治療法確立のため肝転移に行われた transcatheter arterial embolization (TAE)後3例, 胆管癌と膵癌手術時の肝動脈再建後狭窄2例の肝膿瘍と肝動注後阻血性胆管壊死性biloma 2例の病態を比較した. 肝膿瘍例はすべて感染胆汁例であった. 治療は膿瘍穿刺ドレナージ, 抗生剤投与を行ったが, TAE後の3例は MOF を発症し死亡した.Bilornaの例は非感染胆汁で, bilomaのドレナージ, 狭窄胆管のステント挿入で軽快した. TAE後, 再建肝動脈狭窄後や肝動注後には, 肝動脈の虚血や阻血から胆管壁に壊死が起こり, 胆汁が肝実質内に漏出し, bilomaを形成する.この際汚染胆汁例では肝膿瘍となる. 特に悪性腫瘍患者では全身状態不良例が多く肝膿瘍の予後は不良であるため, 胆道再建例や総胆管結石例のような感染胆汁例に対するTAEは極力避けるべきである. また胆道再建例における肝動脈再建には吻合部狭窄を来たさぬよう十分注意を払う必要がある.
  • 角田 二郎, 井上 博和, 石黒 淳, 小川 聡, 前谷 容, 酒井 義浩, 渋谷 和俊
    1995 年 9 巻 4 号 p. 321-325
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は69歳男性. 上腹部痛, 体重減少を主訴に来院. 総ビリルビン値が2.1mg/dlと上昇し, 腹部超音波, CTで肝左葉と肝門部に腫瘤陰影が存在し, 左肝内胆管の著明な拡張が認められ入院した. 入院後, 経皮経肝胆道造影を施行し, 左肝内胆管から総胆管にかけて狭窄があり, さらに経皮経肝担道鏡検査 (以下PTCS) を行ったところ, 左肝内胆管内に黄色調, 易出血性の腫瘍塊が認められた. その後, 肝不全, 心不全を併発し, 死亡し, 剖検の結果は肝細胞癌で胆管内への浸潤が認められた. 肝細胞癌の胆管内発育は比較的まれな発育形式であり, その診断は困難であることが多いが, 我々はPTCSを用いて特徴的な画像を捉え,その診断に有用であったと考えられた.
  • 小西 一朗, 北川 裕久, 森 和弘, 吉光 裕, 太田 長義, 角谷 直孝, 上田 順彦, 広野 禎介
    1995 年 9 巻 4 号 p. 326-330
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    胆道内回虫迷入症の3例を経験した. 診断は, 腹部超音波検査 (Echo) と内視鏡的逆行性胆道造影によるものが2例, 術中胆道造影によるものが1例であった. 治療法は, 急性胆嚢炎を併発した1例と胆石症の1例に対し, 手術を施行し駆虫剤を投与した. 1例は駆虫剤投与のみを行った. 3例とも, ウログラフィン注入後, 回虫は胆道から十二指腸へ逃げ出した. 全例, 経過は良好で再発はない. 3例の経験を通じ, 回虫はウログラフィンに弱いことが判明した.本症に対する治療の原則は, 胆道内にウログラフィンを注入したのち駆虫剤を投与し, Echo検査にて経過観察することであると考えられた.
  • 石川 達, 石川 直樹, 太田 宏信, 吉田 俊明, 本間 明, 尾崎 俊彦, 上村 朝輝, 石崎 悦郎, 三浦 宏二, 相場 哲朗, 川口 ...
    1995 年 9 巻 4 号 p. 331-336
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は46歳, 男性, 右季肋部痛にて来院, 黄疸, 肝障害を認めた. 各種画像にて総胆管の狭窄による閉塞性黄疸と診断した. 入院時 CA19-9 は3,600U/ml, DUPAN-2は440U/mlと高値を示し, 保存的治療にても黄疸は軽快せず, むしろERCP上, 胆管狭窄の増悪を認め, 悪性疾患を考え, 全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を施行した, 病理組織学的には, 高度の炎症所見と線維化を認めるのみで悪性所見は認められなかった. CA19-9, DUPAN-2は術後正常化した. CA19-9,DUPAN-2が高値を示し, 胆管癌との鑑別が困難であった胆管炎を経験したので報告する.
  • 樋田 泰浩, 加藤 紘之, 道家 充, 西部 俊哉, 大久保 哲之, 高橋 利幸, 奥芝 俊一, 下沢 英二, 本原 敏司, 堀田 彰一
    1995 年 9 巻 4 号 p. 337-341
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は53歳, 男性. 黄疸および全身掻痒感を主訴に近医受診. 心窩部に圧痛を伴う硬い腫瘤を触知した. 腹部超音波検査およびCT検査にて肝内外胆管拡張, 膵頭部腫大が認められた. ERCPでは, 膵管に狭窄像を認めなかったが, 胆管は造影されなかった. 発症1カ月後, 腹部CTにて肝内に多数の低吸収域が認められた. 病変の主体は膵頭部よりも, 膵頭後部リンパ節, 大動脈周囲リンパ節などのリンパ節腫大であり ,膵癌以外の悪性腫瘍が示唆された. 確定診断のため, CT上低吸収域を呈した部分の超音波ガイド下肝針生検を施行し, 免疫染色の結果, 悪性リンパ腫と診断された. 化学療法と総胆管十二指腸吻合術で, 4年後の現在, 元気に日常生活を送っている.
  • 伊佐 勉, 草野 敏臣, 中本 尊, 仲地 厚, 久志 一朗, 玉井 修, 白石 祐之, 松本 光之, 山田 護, 武藤 良弘
    1995 年 9 巻 4 号 p. 342-347
    発行日: 1995/09/18
    公開日: 2012/11/13
    ジャーナル フリー
    症例は70歳, 女性. 平成3年11月5日肝内結石症(IE型)および膵石症の診断にて, 胆嚢摘出, 総胆管切開切石およびTチューブドレナージ術, 膵石切石および膵管空腸側々吻合術を施行した. 術後, 遺残結石に対して胆道鏡下切石術を繰返し施行し, 肝内および肝外胆管の拡張は不変であったが, 完全切石を確認後退院した. 平成6年5月発熱食欲低下および右季肋部痛を認め, 経皮経肝的胆道ドレナージ術を施行した. 左右肝管合流部に陰影欠損を認め, 胆道鏡下生検にて腺癌と診断され, 肝門部胆管癌の診断で手術を施行した. 腫瘍は左肝管では結節状を呈し右肝管へと浸潤しており, 肉眼的形態分類は結節浸潤型で, 組織学的分類は粘液癌であった. 腹汁うっ滞や胆汁感染をきたすような拡張した胆管には, 癌腫の発生の可能性が考えられ, 初回手術時には肝切除に加えて, 拡張した胆管の切除も考慮すべきであると思われた.
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