日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
10 巻, 2 号
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
  • 原稿種別: 表紙
    2003 年 10 巻 2 号 p. Cover1-
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2003 年 10 巻 2 号 p. Toc1-
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル フリー
  • 山本 隆
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 173-174
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
  • 山口 静子
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 175-182
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    おいしさは快の感覚であるが、快には本能的な快から宗教的法説までさまざまな種類がある。人は五感に導かれて食を摂る。感覚の仕組みが、よりよく食べるためにいかに合目的的に創られているか、その例を味でみる。食物の味は無数のせいぶんからなっている。脳の神経系はそれらの味覚情報を効率的に処理するために、有用な物質がバランスした状態を一つのまとまりとして快と感じさせ、突出したものを区別するように構築されていると考えられる。快の状態とは、どの味とはいえない無数の味の弱い成分が融合した味の広がり、まろやかさ、持続性である。その快の概念はいかに獲得されるのか、またその状態を引きおこす中心の味物質は何で、どのような働きをするか、などを考察するなかで、人はよりよく生きるために、いかに食べるべきかのヒントを探る。
  • 大内 秀記
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 183-188
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    健康であるためにはおいしく食べることが大切であり、また、おいしく食べることが健康にもつながります。様々な食材が手軽に手に入り、また、自分で調理をしなくても食べることは可能です。このような現代社会の環境の中で、少しでも多くの人に料理の楽しさを理解してもらいたいと思っています。料理を作る過程そのものの楽しさを味わうだけではなく、食べる人に喜んでもらえる料理づくり、「おいしい」といってもらえたときの喜びを多くの人に経験してもらいたいと思っています。世の中には健康にかかわる多くの情報が氾濫しています。カロリー、コレステロール、ビタミン、脂肪が少ないなどの情報に満足させられて、実は本来の「味わう」という行為を忘れているのではないでしょうか。高齢者の介護の場面でも食事づくり、食卓を囲むことで実現できるコミュニケーションがQOLの向上にも大切な役割をしています。私達が生きていくうえで、本来の「食べる」ということの意味を考え直し、「味わう」こと「おいしく食べる」ためには「おいしさを創る喜び」を知ることが非常に大切なことであると思っています。
  • 松井 陽吉
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 189-196
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    最近お茶類に人気が出てきているのは茶系飲料が生活の中に定着したことや、様々な生理機能が解明されてきたことにある。水分補給や香味を味わうことで生活の潤いとして利用され、三次機能と呼ばれる生理機能を期待して消費されている。お茶が今日のように世界中で普及したのは大規模茶園と機械化が貢献してきたが、そのため香味を画一化して大量の生産ができるような体系にしてきた。ウーロン茶は発展途上にあり将来は緑茶や紅茶のような道を歩むかもしれないが、少量生産で茶農家独自の製法で生産されており、香味の多様性と魅力から見ると一律の香味である緑茶や紅茶に比べておいしさにかかわる点が異なって感じられる。お茶のおいしさを極めていくと、緻密な感性で生産されているため香味が多様でレベルが高いウーロン茶に行き着く。さらによりおいしいものを目指してゆっくり楽しむというお茶本来の姿もウーロン茶の飲み方の中に見ることができる。
  • 金谷 節子
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 197-206
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
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    75才以上の高齢者では約60%に何らかの摂食・嚥下障害があると言われ、高齢者の死亡死因である誤嚥性肺炎を招いている。他方、誤嚥性肺炎を予防するために鼻腔や胃・腸から安易にチューブ栄養が処置されている。しかし、この50%は物性を規定した嚥下食を段階的に摂取し訓練することで改善する事が明らかになってきている。我々は過去15年間に約2000名、40万食の嚥下食を提供してきた。嚥下食は嚥下造影検査(VF)、嚥下内視鏡(VE)、動的粘弾性(G/Pa, Tanδ, η')、電子顕微鏡、官能テスト(χ自乗検定)などから5段階に分類できることを発見した。ゼラチンと寒天の分子量、硫酸基含量、3,6-アンヒドロ-L-ガラクトース含量がゲル形成に影響し、ゼラチンゲル嚥下食の基盤となることを明かとした。人は食物を見て(認知)、口へ取り込み、咀嚼し、食物と唾液から食塊(ゲル)をつくる。食塊ができると、食塊を奥舌へ送り込み、嚥下反射部位に当たると0.5秒で瞬時にゴックンとのみこみ(嚥下)、さらに食道、胃へと送る(蠕動運動)。この一連の行為に機能的あるいは機質的障害をもっていることを摂食・嚥下障害と呼び、これに対応した食事を嚥下食と呼んでいる。間違って気管に入る事を誤嚥という。嚥下食の目的は誤嚥と咽頭残留除去にある。咽頭残留では喉頭外蓋谷(こうとうがいこく)と梨状陥凹(りじょうかんおう)に残留する。カラーゲンを加水分解してつくるゼリーの1.6%濃度は誤嚥と咽頭残留の防止ができる(P<0.01)。これをVF、VE、動的粘弾性、電子顕微鏡、官能テストなどから明らかにし、嚥下食のゲル化メカニズムと関連領域について最新の研究報告をする。
  • 山本 隆, 山本 千珠子, 安藤 千穂, 今岡 寛之
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 217-222
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    おいしいものをおいしく味わって食べる場面を想像してみよう。最初の一口からほんの数秒もすれば、目の輝きとともに多様なおいしさの生体反応が次々と生じる。そして、至福感を味わい、満足感とともに食事は終了する。食後にしばらくしてゆったりすると眠気が出るかも知れないが、食事中の覚醒レベルは上昇している。生体反応は、脳内の生活活性物質が全身性に循環し標的器官に作用して生じる場合と、神経情報を介する場合がある。神経情報も脳内物質の修飾作用を受ける。おいしいとき生じる生体反応の背後にある脳内物質と神経系の作用メカニズムを探ることが本研究の目的である。
  • 坂田 利家
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 223-228
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
  • 瀧田 正亮, 塚口 雅
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 229-234
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    癌治療とりわけ治療域を超えて進行した場合の終末期医療は、文字どおり人生の重要な局面をむかえる時期における医療となるが、口腔感覚・摂食機能の面からは、「おいしさ感覚」・嗜好性の充足から表出される陽性情動とポジティブな精神神経免疫学的相関への期待は大きい。この問題は一方では個人のパーソナリティの尊重という観点からの生命倫理(生の「質」)の領域にも発展する。口腔感覚・摂食機能から導かれる「おいしさ感覚」、食べる喜びは、生活環境要因や嗜好性等の個人差に影響を受けるものの、癌治療等人生の重要な時期における医療を考えるうえでも看過できないことを、口腔癌症例や患者アンケート調査をもとに提示した。
  • 石元 広志, 谷村 禎一
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 235-241
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    嗅覚、味覚の受容体遺伝子ファミリーの発見によって、化学感覚受容の神経機構の解明が進展している。ショウジョウバエでは、電気生理学的解析や、嗅覚受容体遺伝子の発現パターンの解析から、嗅細胞の匂い応答・受容体発現プロファイルが明らかになってきている。また、培養細胞発現系や突然変異体を用いた研究により、受容体とリガンドとの対応も徐々に明らかになってきた。さらに、バイオイメージング技法の適用により、中枢神経系における嗅覚情報処理機構について新たな知見が得られている。本稿では、ショウジョウバエの嗅覚について最近の研究発展を中心に紹介し、味覚情報処理機構研究への応用を論じる。
  • 須貝 外喜夫
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 243-248
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
  • 鈴木 まや, 梅川 依子, 八木 昭宏
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 257-266
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    Evaluative conditioning refers to a change in one's like or dislike of a stimulus when the stimulus is paired with other positive or negative stimuli. Evaluative conditioning is thought to be a major cause of the development of the like or dislike of innately neutral things including odors. The current study examined whether a group exposed to an explicit relationship by picture (unconditioned stimulus; US) - odor (conditioned stimulus; CS) memory tasks would undergo more evaluative conditioning than a group exposed to no explicit relationship. In Experiment 1, the US-CS pairing was repeated five times because past research revealed robust evaluative conditioning occurred after five repetitions. In Experiment 2, the US-CS pairing was repeated only once. In both experiments, evaluative conditioning was observed. The results showed that repetition of the pairings slightly strengthened the effects of evaluative conditioning.
  • 野澤 孝司, 斉藤 幸子, 小早川 達, 高島 靖弘
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 267-272
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    We investigated the methodological and instrumental reliability of the Odor Stick Identification Test, developed by Saito et al. (1998, 2003). In Experiment 1, to reduce the ISI (inter-stimulus-interval) between odor material presentations, identification rate in ISI 90 seconds was compared with that in ISI 30 seconds. The result indicated that reducing the ISI had no influence upon odor identification performance by a method of four choices in all odor materials. In Experiment 2, the change in odor quality and perceived intensity were examined during 18 months. No qualitative change and no intensity shift by deterioration of the materials were observed in every 14 odor stick. These results corroborated the methodological reliability of this Odor Stick Identification Test, in terms of the reduction of measurement time as well as the qualitative validity of the test materials in preservation within the period of 18 months.
  • 伊藤 百合子, 久保田 紀久枝
    原稿種別: 本文
    2003 年 10 巻 2 号 p. 273-278
    発行日: 2003年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    No systematic psychophysical study on the self-adaptation of the mixture of odorants has been reported up to the present. In this study, we examined the effects on the self-adaptation by adding 4-hexanolide in concentration below its odor threshold to the model solutions of the odor-active compounds of tea. When 4-hexanolide was added to the aqueous solutions of (E)-2-hexeny 1 hexanoate or that of (Z)-3-hexenol, the self-adaptations of these two odorants were depressed. The important role of a lactone compound like 4-hexanolide in concentration below its odor threshold in the tea aroma has become apparent at the first time in this study. In addition prolongations of the odor sensations of (E)- 2-hexenyl hexanoate and (Z)-3-hexenol by the effect of 4-hexanolide were indicated. In contrast to these two compounds there was no effect of adding 4-hexanolide on the self-adaptation of (Z)-3-hexenyl hexanoate. The difference in odor quality between (E)-2-hexenyl hexanoate and (Z)-3-hexenyl hexanoate was also revealed by the cross-adaptation method.
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