日本味と匂学会誌
Online ISSN : 2424-1326
Print ISSN : 1340-4806
12 巻, 1 号
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  • 原稿種別: 表紙
    2005 年 12 巻 1 号 p. Cover1-
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 付録等
    2005 年 12 巻 1 号 p. App3-
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル フリー
  • 原稿種別: 目次
    2005 年 12 巻 1 号 p. Toc1-
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル フリー
  • 柏柳 誠
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 3-4
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
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    我々人間は、主に言語を用いて意志の疎通を図っているが、多くの動物はフェロモンと呼ばれる化学物質を用いて生殖行動や社会行動を行う際のコミュニケーションの手段に用いている。日本国内におけるフェロモンに関係した研究をより発展させるため、本号で巻頭言を執筆された東京都神経科学研究所の市川真澄先生が中心となって10年ほど前に鋤鼻研究会を組織された。本特集で再三登場するが、鋤鼻器は魚類を除いた脊椎動物に存在し、嗅覚器とは独立したフェロモンを受容する器官の名称である。第37回日本味と匂学会が岡山で開催されたおりに、大会長である松尾龍二先生からシンポジウムの企画を仰せつかった。市川先生に相談したところ、鋤鼻研究会で発表している中堅を主体としたシンポジウムを企画するご提案をいただいた。そこで、"ケミカルコミュニケーションの世界"と題したシンポジウムを開催させていただいた。
  • 山岸 公子
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 5-12
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    脊椎動物には主嗅覚系および鋤鼻系という2つの独立した嗅覚系が存在する。フェロモンは主に鋤鼻系で認識される。げっ歯類では1型(V1R)および2型鋤鼻受容体(V2R)という2つの受容体群が鋤鼻器特異的に発現し、フェロモンの受容を担うと考えられている。近年V1Rは揮発性低分子のフェロモンを認識することが明らかになった。V2Rの機能はまだ確定されていないが、MHC分子と複合体を形成して不揮発性のフェロモンを受容する可能性が示されている。一方、げっ歯類以外の動物における鋤鼻受容体の発現様式はかなり異なった様相をみせており、両生類ではV2Rが、また偶蹄類ではV1Rがそれぞれ鋤鼻器神経上皮全面に発現している。しかもこれらの動物の鋤鼻受容体群は鋤鼻器ばかりでなく嗅上皮にも発現している。このことは、鋤鼻受容体を介した情報伝達経路が主嗅覚系に存在することを示唆する。鋤鼻受容体が主嗅覚系でどのように機能しているかを解析することは、鋤鼻器の存在しないヒトのフェロモン受容機構を解明する上でも重要であろう。
  • 稲村 耕平, 松井 等, 柏柳 誠
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
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    魚類を除く脊椎動物では、フェロモンは鋤鼻器と呼ばれる嗅覚器とは独立した器官で受容されている。鋤鼻器には、神経細胞がフェロモンを受容するために特殊化した感覚細胞(鋤鼻感覚細胞)が存在している。鋤鼻感覚細胞の生理的な役割は、フェロモンがもつ化学的な情報を電気的な情報に変換することにある。本小論では、脊椎動物における鋤鼻感覚細胞における細胞内情報変換機構を解説する。ヒトと一部のサルを除いて、フェロモンは生殖をスムーズに遂行するために重要な役割を演じている。フェロモンは、爬虫類、両生類およびほとんどの哺乳類で鋤鼻器と呼ばれる器官で受容される。鋤鼻器は鼻腔内には存在するが、匂いを受容する嗅上皮とは独立している。形態的にも、嗅細胞は嗅繊毛を有するが鋤鼻感覚細胞は微絨毛を有しているというようにやや異なっている。一方、鋤鼻器は魚類には見られない。
  • 横須賀 誠, 佐原 資謹
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 19-28
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
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    R. AxelとL. Buckによる匂い受容体遺伝子の解明は、その後、嗅球(主嗅球)における"匂い地図"という概念を生むことになり、嗅覚系の脳内情報処理に関する理解を飛躍的に進めることとなった。しかし、不揮発性分子による情報を受容し、"もう一つの嗅覚系"あるいは"副嗅覚系"と称されてきた鋤鼻系の情報処理機構に関する理解は未だに不十分のままである。これまで明らかにされた鋤鼻系に関する所見を嗅覚系と比べてみると、両者には明らかな構造的相違が認められる。例えば、同じ匂い受容体を発現した嗅細胞からの投射は、主嗅球において少数の大きな糸球体に収束するのに対し、同じ鋤鼻受容体を発現した鋤鼻細胞からの投射は、副嗅球において多数の小さな糸球体に終わっている。マウス副嗅球の糸球体層の構造を詳しく検討すると、主嗅球の糸球体周辺細胞が糸球体の周囲を規則正しく取り囲んでいるのに対し、副嗅球の糸球体周辺細胞は小さな糸球体の周辺に不規則に分布している。
  • 谷口 睦男, 椛 秀人
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 29-38
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
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    当研究室では学習記憶の神経機構を解明するため、交尾刺激を契機として雌マウスに形成される雄フェロモンの記憶をモデルシステムとして用いてきた。そして、フェロモン記憶の座は副嗅球であり、フェロモン記憶には副嗅球僧帽細胞が顆粒細胞による抑制から解放されることが重要であること、および代謝型グルタミン酸受容体2型(mGluR2)が重要な役割を果たしていることを見出した。記憶の座である副嗅球の主要な神経回路の一つは、僧帽細胞-顆粒細胞間の相反性シナプスであり、このシナプス伝達にはNMDA型受容体およびmGluR2が重要な働きをしていることも見出した。本稿では、フェロモン記憶の特徴について、グルタミン酸受容体に関する知見を中心に概説するとともに、副嗅球内相反性シナプス伝達に果たすグルタミン酸受容体の役割を考える上で参考となる知見を紹介する。鋤鼻器の生理的な役割については、フェロモン物質などの受容に関与し、動物の生理と行動に重要な役割を果たしていることが明らかにされてきた。
  • 松岡 勝人
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 39-46
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    脳が外界からの刺激をどのようなメカニズムによって記憶するのかは非常に興味深い問題である。我々は鋤鼻系神経路をモデルとしてフェロモン記憶をシナプスの形態変化で捉えようと研究を続けている。しかし、まさに無数に存在する脳内のシナプスから特定の記憶に関連したシナプスのみを同定することは困難である。我々は現在、近年新しく発見された最初期遺伝子Arcを用いて、フェロモン記憶に関連したシナプスを標識することに取り組んでいる。ヒトはほ乳類の中では例外的に視覚に強く依存した生活体系を持っている。それは記憶にも大きく関連し、ヒトの記憶とは情景であることが多い。たとえば「初恋」というキーワードで連想ゲームをやれば、人によりその経験則から様々な情景を思い浮かべることだろう。なかには初恋の思い出はコロッケの匂いという人もいるかもしれないが、それは人という種の中ではむしろ例外である。
  • 守屋 敬子, 市川 眞澄
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 47-54
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
    ジャーナル 認証あり
    培養系を用いた実験は、生体の実験のみでは得られなかった可能性を示してくれる。鋤鼻系の入力側の要となるのは、鋤鼻器に存在しフェロモンを感知する鋤鼻ニューロンと、その投射先の副嗅球ニューロンである。通常末梢神経である鋤鼻ニューロンと中枢神経である副嗅球ニューロンは、培養条件も異なるが、培養液の調整を行う事で共培養が可能となった。共培養を行う事によって、鋤鼻ニューロンの成熟、副嗅球ニューロンである傍糸球体細胞の分化および副嗅球ニューロン樹上突起スパインの形態変化などが観察される。また、本共培養系において、鋤鼻-副嗅球ニューロン間の機能的シナプス形成が示唆されていた。齧歯類をはじめとした多くの哺乳動物は、揮発性の匂い物質を感ずる主嗅覚系とは別に、同種他個体より分泌されるフェロモンを認識する鋤鼻系が存在する。フェロモンは鋤鼻器に存在する鋤鼻ニューロンで受容され、その投射先の第一次中枢である副嗅球へと情報が運ばれる。
  • 菊水 健史, 清川 泰志, 森 裕司
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 55-64
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
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    本研究ではwistar系雄ラットを供試し、警報フェロモンの産生および受容に関する検討を行った。まずドナーラットにフットショックを与えて放出させた警報フェロモンに対して受容ラットを暴露すると、匂い嗅ぎ行動や移所運動量などの行動反応の増加、およびストレス誘発性の体温上昇反応の増強が観察された。ドナーを去勢すると受容ラットの行動変化は消失したが、自律反応は去勢の有無に関係なく観察された。また麻酔したドナーラットの頬部を電気刺激した場合には行動変化が、また肛門周囲部を刺激した場合にはストレス誘発性の体温上昇反応が、それぞれ観察された。これらの結果より、雄ラット由来の警報フェロモンには、頬部からテストステロン依存性に放出され行動変化を引き起こすフェロモンと、テストステロン非依存性に肛門周囲部から放出され自律機能反応を引き起こすフェロモンの、少なくとも2種類が存在する可能性が示された。
  • 近藤 高史, 鳥居 邦夫
    原稿種別: 本文
    2005 年 12 巻 1 号 p. 65-74
    発行日: 2005年
    公開日: 2018/05/30
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    マンガン造影MRI法(manganese-enhanced magnetic resonance imaging, MEMRI)は、神経投射描出のみならず、Caチャネル活動に基づく脳, 神経活動部位を積分値で描出できる新しいMRI撮像法である。その撮像原理は、マンガンイオン(Mn^<2+>)が陽性MRI造影剤であること、Caチャネルを通過して細胞内に取り込まれ局所Mn^<2+>濃度が増加すること、および軸索内部を順向性に移動することを利用している。従って、従来のfunctional MRIのようなデオキシヘモグロビンの濃度変化に基く血管, 血液反応を測定するのではなく、脳, 神経活動に直接基づく画像を得ることができる。MEMRIはまだ完成した技術ではなく、より感度の高い撮像条件や高度な応用法について、現在研究が進められている。本稿では、MEMRIの原理と応用について述べた後、我々の実験データについて解説する。磁気共鳴画像装置(magnetic resonance imaging, MRI)を使うことにより、脳の構造と機能(賦活化)を調べることができる。
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