タウリンリサーチ
Online ISSN : 2434-0650
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最新号
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  • 森 真理, 相良  未木, 森 英樹, 家森 幸男
    2021 年 7 巻 1 号 p. 6-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    既に、タウリンによる脳卒中易発症ラット(SHRSP)の重症高血圧と脳卒中の発症抑制を証明している。そこで、人を対象に、栄養と循環器疾患の関係を検証するため、世界規模で24時間尿を採取し、魚介類摂取の尿中バイオマーカーのタウリンや海藻、豆、種実、雑穀に多いマグネシウムを測定し、循環器疾患のリスクとの逆相関を証明した。
  • 山下 剛範, 加藤 俊宏, 磯貝 珠美, 具 然和, 伊藤 崇志, 有馬 寧
    2021 年 7 巻 1 号 p. 8-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    電離放射線への曝露は、活性酸素種(ROS)を生成し、それが照射された細胞に酸化ストレスを引き起こす。我々はタウリンが放射線誘発細胞傷害からの回復に貢献する可能性があることを報告してきた。タウリンは、放射線防護剤および放射線緩和剤として使用するための魅力的な候補であるように思われるが、放射線誘発性胃腸症候群に対するタウリンの役割はよくわかっていない。今回我々は、タウリンが小腸クリプト幹細胞の重要な調節因子であり、腸上皮細胞の生存、増殖、運命の調節に重要な役割を果たしている可能性があることを確認したので、その一部を報告する。
  • 宮﨑 照雄, 佐々木 誠一, 豊田 淳, 白井 睦, 森下 由紀雄, 池上 正, 本多 彰
    2021 年 7 巻 1 号 p. 11-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    生体にとって必須の栄養素であるタウリンの摂取が不足すると、全身の様々な組織で機能的、形態的な異常が生じる。これまで、先天性のタウリン欠乏モデルであるタウリントランスポーターノックアウトマウスにおいて、肝臓や骨格筋、心筋、網膜などでの形態的異常が報告されている。我々は、タウリン不含餌をネコに供与して、後天的なタウリン欠乏モデルを作成した。本研究では、このタウリン不摂取による欠乏モデルにおいて、組織中タウリンの欠乏が、肝臓と骨格筋の形態的変化に及ぼす影響を検討する事を目的とした。その結果、肝臓の門脈域を中心とした炎症性細胞の浸潤に加え、中心静脈域、門脈域双方の血管周囲に顕著な結合組織の増加が見られた。また、骨格筋においても、血管周囲や筋線維間に結合組織の増加が確認された。
  • 薩 秀夫, 権藤 祐輔, 和多利 研二, 清水 誠
    2021 年 7 巻 1 号 p. 14-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    多彩な生理作用が知られるタウリンは、生体内である種の遺伝子発現を制御することが知られている。そこでヒト腸管上皮モデル細胞においてタウリンが遺伝子発現に及ぼす影響についてDNAマイクロアレイを用いて網羅的に解析し、これまで報告してきたTXNIPに加えて新たな制御遺伝子を解析した。その結果、タウリンによってストレス応答に関連するメタロチオネインファミリーの一種であるMT1HのmRNA発現が増加すること、またシスチン/グルタミン酸交換輸送体であるxCT、転写因子ATF4、グルコーストランスポーターであるGLUT1とGLUT3がそれぞれ減少することを見出した。
  • 伊藤 崇志, 坪谷 香菜絵, 前山 小百合, 村上 茂
    2021 年 7 巻 1 号 p. 17-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    近年、タンパク質や核酸が液-液相分離(LLPS)により細胞内に膜のないオルガネラを形成する現象が注目を集めている。特に、LLPSが神経変性疾患の病因タンパク質による細胞死に関与するなど、病的な側面が解明されてきた。我々は、細胞内に多量に存在するタウリンはタンパク質のLLPSの形成を制御することで細胞内のイベントを調整している可能性を考え、モデルタンパクとして卵白リゾチームを用いて、タウリンのLLPSに対する影響を検討した。その結果、試験管内でのリゾチームがかかわる液滴形成をタウリンが抑制することを見出した。本論文ではタウリンの細胞内におけるLLPSを介した役割について考察する。
  • 村上 茂
    2021 年 7 巻 1 号 p. 19-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
     皮膚の老化とタウリンの関連を検討した。ヘアレスマウスおよびSDラットの皮膚タウリン量は加齢とともに減少したが、タウリンの経口投与は表皮のタウリン量を増加させた。ヘアレスマウスへの紫外線(UVB)照射によりシワが発生し、このとき表皮の水分量とタウリン量の減少が認められた。シワの発生に対して、タウリンの経口投与は抑制作用を示し、これは表皮の水分量減少の抑制とタウリン量の回復と関連していた。これらの結果から、タウリンは表皮の水分調節に重要であり、表皮のタウリン減少がシワの発生・進展と関係している可能性が示唆された。
  • 長岡 伸征, 松岡 慶弥, 川ノ口 潤, 山本 晃久, 有馬 寧
    2021 年 7 巻 1 号 p. 23-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
  • 松岡 慶弥, 川ノ口 潤, 長岡 伸征, 有馬 寧
    2021 年 7 巻 1 号 p. 26-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    高血圧をはじめとする生活習慣病は現代社会において大きな問題となっている。厚生労働省が発表した2019年の我が国における死因では、心血管疾患や脳血管疾患の占める割合は20%を超えている1。近年、このような動脈硬化病変を含む循環器疾患や血管機能に対して、タウリンが多彩な作用を示すことが明らかになっている。 ヒトの生体内に豊富に存在する遊離アミノ酸であるタウリン(2-アミノメチルスルホン酸)は魚介類に多く含まれており、摂取したタウリンはタウリントランスポーターにより細胞外から細胞内に取り込まれる2。生体内におけるタウリンの作用は多岐にわたるが、近年の研究では抗癌作用や抗癌剤の副作用も明らかになってきている3,4。 本稿では、先行研究による文献的調査をもとに、現時点でわかっている血管機能に対するタウリンの影響についてまとめたので報告する。
  • 伊藤 崇志
    2021 年 7 巻 1 号 p. 28-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
    2020年初めより新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が世界中で蔓延し、現在、抗ウイルス薬や重症化を抑える治療薬の開発が急務である。タウリンクロラミンは免疫細胞により産生されるタウリン誘導体であるが、広域な抗菌、抗ウイルス作用があり、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2に対する殺傷作用も期待されている。また、タウリンクロラミンは免疫細胞の炎症性サイトカインの産生を抑制する作用があり、COVID-19の重症化を抑える効果が期待できる。
  • 石倉 恵介
    2021 年 7 巻 1 号 p. 32-
    発行日: 2021年
    公開日: 2022/09/04
    ジャーナル オープンアクセス
     骨格筋のグリコーゲン量には限りがあることから、長時間運動中の脂質代謝への割合を高める戦略は有効である。タウリンは、身体活動に不可欠であり、タウリン投与によって運動パフォーマンスを向上させる可能性が指摘されている。ヒトへのタウリン投与は、慢性投与より一過性の投与によって長時間運動中の脂質代謝を高める報告がある。直前のタウリン投与による、高い血漿タウリン濃度が重要であるかもしれない。
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