1971年7月1日に西日本で発生した北西から南東に伸びた降水ゾーンを調べた.本事例は西日本-日本海上のリッジに伴った対流圏中上層の北西流の環境場のなかで発生した.対流圏下層では暖湿南西流が侵入し,中国大陸の広い低圧域で発生した小低気圧は東進して7月1日には日本海西部のリッジ下層に達した.小低気圧の南-南東に下層の湿潤気流が流入し降水ゾーンが発現して山陰地方で大きな降水量が観測された.同時に降水ゾーン上空に強い上昇流・湿潤中立成層ゾーン・風速のシアが形成された.降水ゾーンは約20時間後に衰弱した.本事例の状況は中下層全層の南西風の環境下で発生する梅雨前線豪雨の状況と異なる.