目的: 当院で診療したホジキンリンパ腫患者の臨床的特徴と治療成績を明らかにするために, カルテレビューによる後ろ向き研究を行った.
対象患者: 2003年1月から2012年10月の間に当院でホジキンリンパ腫と診断され, 化学療法単独または化学療法+放射線治療を受けた36例について検討した.
結果: 病理診断は, 24例が結節硬化型, 6例が混合細胞型であった. 年齢は20から81歳で, 中央値は61歳, 年齢分布は二峰性を示し, 18例が60歳以上であった. 8例は限局期, 28例は進行期に分類された. International prognosis scoringに従うと, 14例が予後良好群, 22例が予後不良群であった. 29例がABVd/ABVDレジメンによる化学療法を受け, 7例が化学療法後に放射線治療を受けた. 23例(63.9%)が完全寛解に至り, 全奏功率は72.2%であった. 観察期間中央値3.0年で, 5年無増悪生存率は66.1%, 5年全生存率は75.0%であった. 60歳未満の若年者と60歳以上の高齢者を比較すると, 5年無増悪生存率がそれぞれ76.2%と54.7%, 5年全生存率がそれぞれ94.1%と55.0% (
P = 0.014)であった. 高齢者が予後不良である原因として, 合併症が多いことや, 治療毒性が高いことが考えられた.
考案: 若年者の治療成績はJCOG 9305試験のそれと同等であった. 現時点では, 高齢者ホジキンリンパ腫患者に対してもABVD療法が標準治療であるが, より毒性の低い治療レジメンを計画する必要があると考えられた.
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