症例: 37歳男性.汎血球減少を認めたため血液内科を紹介受診した.
検査所見: ヘモグロビン5.6 g/dL,白血球2.41×10
3/µL(芽球0%),血小板32.0×10
3/µL,LDH 288 IU/L, ハプトグロビン1.0 mg/dL.末梢血塗末標本では,大小不同赤血球や奇形赤血球とともに多数の破砕赤血球を認めた.骨髄は正形成で,芽球を37.0%,多染性赤芽球を10.5%,正染性赤芽球を12.3%,三系統血球の異形性を認めた.芽球は大型で,類円形の核・繊細な核網・明瞭な核小体と,好塩基性の細胞質を有し,ペルオキシダーゼ染色と非特異的エステラーゼ染色は陰性であった.PAS染色で赤芽球の細胞質が顆粒状に陽性を示した.電子顕微鏡検査では,一部の芽球にθ顆粒を認め,電顕MPO とPPO反応は陰性であった.フローサイトメトリー解析では,芽球はCD36+, glycophorin A+/−, CD34−/+, HLADR−/+, CD13−/+, CD33−/+.核型は37~45,XY,−4,add(5)(q11),−7,−9,−15,−16,−19,add(19)(p13),−22,+1~3mar[cp10].骨髄塗末標本のFISH解析でdel(5q)と−7を約70%の細胞で認めた.
経過: イダルビシンとシタラビンを用いた寛解導入療法によって血液学的・細胞遺伝学的寛解に至った. 診断時に末梢血塗末標本で認めた破砕赤血球も消失した.
考案: 本症例の芽球の多くは幼若赤芽球であったが,芽球比率や異形成と染色体異常から2008年WHO分類のAML with myelodysplasia-related changes に該当した.大小不同・奇形赤血球とともに認められた破砕赤血球は,骨髄異形成による形態異常と考えられた.
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