天理医学紀要
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18 巻, 2 号
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症例報告
  • 飯岡 大, 津田 勝代, 下村 大樹, 中川 美穂, 奥村 敦子, 林田 雅彦, 和泉 清隆, 鴨田 吉正, 赤坂 尚司, 大野 仁嗣
    原稿種別: 症例報告
    2015 年 18 巻 2 号 p. 42-50
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    電子付録
    症例: 37歳男性.汎血球減少を認めたため血液内科を紹介受診した.
    検査所見: ヘモグロビン5.6 g/dL,白血球2.41×103/µL(芽球0%),血小板32.0×103/µL,LDH 288 IU/L, ハプトグロビン1.0 mg/dL.末梢血塗末標本では,大小不同赤血球や奇形赤血球とともに多数の破砕赤血球を認めた.骨髄は正形成で,芽球を37.0%,多染性赤芽球を10.5%,正染性赤芽球を12.3%,三系統血球の異形性を認めた.芽球は大型で,類円形の核・繊細な核網・明瞭な核小体と,好塩基性の細胞質を有し,ペルオキシダーゼ染色と非特異的エステラーゼ染色は陰性であった.PAS染色で赤芽球の細胞質が顆粒状に陽性を示した.電子顕微鏡検査では,一部の芽球にθ顆粒を認め,電顕MPO とPPO反応は陰性であった.フローサイトメトリー解析では,芽球はCD36+, glycophorin A+/−, CD34−/+, HLADR−/+, CD13−/+, CD33−/+.核型は37~45,XY,−4,add(5)(q11),−7,−9,−15,−16,−19,add(19)(p13),−22,+1~3mar[cp10].骨髄塗末標本のFISH解析でdel(5q)と−7を約70%の細胞で認めた.
    経過: イダルビシンとシタラビンを用いた寛解導入療法によって血液学的・細胞遺伝学的寛解に至った. 診断時に末梢血塗末標本で認めた破砕赤血球も消失した.
    考案: 本症例の芽球の多くは幼若赤芽球であったが,芽球比率や異形成と染色体異常から2008年WHO分類のAML with myelodysplasia-related changes に該当した.大小不同・奇形赤血球とともに認められた破砕赤血球は,骨髄異形成による形態異常と考えられた.
  • 奥村 敦子, 福塚 勝弘, 和泉 清隆, 大野 仁嗣
    原稿種別: 症例報告
    2015 年 18 巻 2 号 p. 51-59
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    MLL遺伝子増幅は,急性骨髄性白血病(AML)や骨髄異形成症候群(MDS)に認められるrecurrentな染色体異常である.今回我々は,多重癌に対する治療歴があり,MLL遺伝子増幅を認めたAML/MDS の2症例を報告する.症例1は,74歳の男性で,汎血球減少のため当院血液内科を紹介受診した.9年間にわたる肝癌治療歴と喉頭癌に対する放射線治療歴があった.骨髄はMDSのRAEB-2に該当したが,短期間で進行し第80病日に死亡した.骨髄の染色体分析では,del(7)(q31), −13, 2種類のring,1個のdouble minute (dmin) を認めた.症例2は68歳の男性で,白血球増多のため血液内科を紹介受診した.膀胱癌,喉頭癌,食道癌に対して12年間治療を受けていた.骨髄検査では芽球72.9%,多彩な細胞異型を認め,AML with myelodysplasia-related changes に該当した.第3病日に死亡した.染色体分析では,add(2), −5, der(7), der(11), −14, add(15) と第11染色体に由来するring [r(11)] を認めた.Vysis LSI MLL dual-color, break-apart rearrangement probeを用いたFISHを行ったところ,症例1では1個のringとdmin上でMLLシグナルが増幅,症例2ではder(11)上でMLLシグナルが2個に増加し,r(11)上でMLLシグナルが増幅していた.一方,症例1ではdel(7q)が,症例2ではdel(5q)とdel(7q)がそれぞれのプローブを用いたFISHで確認された.これらの2症例の臨床病態は,過去に報告されているMLL増幅AML/MDSの病態(高齢発症,複雑核型,凝固異常,予後不良など)に合致した.2症例とも過去に受けた多重癌に対する化学放射線療法がAML/MDSの発症に関与したと考えられた.
天理よろづ相談所学術発表会 2014
  • 上田 睦明
    2015 年 18 巻 2 号 p. 61-64
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
  • 西村 理
    2015 年 18 巻 2 号 p. 65-69
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
  • 奥村 敦子, 中川 美穂, 林田 雅彦, 安田 正利, 本庄 原
    2015 年 18 巻 2 号 p. 70-74
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    目的: 当施設では,約10年前から,コンパニオン診断としてFISH法を用いた乳癌HER2検査を実施している.今回,過去3年間の実績を紹介し,本法の問題点を考察した.
    対象および方法: 2011年から3年間に乳癌と診断され,IHC法によるHER2検査を実施した521例のうち, IHCスコア2+でFISH法を追加実施した91例を対象とした.プローブはPathVysion HER-2 DNA Probe Kit を用い,癌細胞20個以上についてHER2およびCEP17シグナル数をカウントし,HER2/CEP17比<2.0を陰性,HER2/CEP17比≧2.0を陽性と判定した.
    結果および考察: FISH法によるHER2検査結果は,陽性14例(15%),陰性77例(85%)であった.陽性群では,HER2シグナル数が平均6.5個(2 ~30個),CEP17シグナル数が平均2.0個(1 ~5個),陰性群では,HER2シグナル数が平均3.2個(1 ~14個),CEP17シグナル数が平均2.8個(1 ~9個) であった.陰性群におけるHER2遺伝子増加の多くは,17番染色体のpolysomyに伴うものであった.多くの症例では,陽性・陰性の判定は容易であったが,HER2/CEP17比がカットオフ値に近い症例のなかには,判定結果の信頼性が低いと考えられる症例があった.FISH法によるHER2検査は,ホルマリン固定薄切標本を用いるため,個々の癌細胞のシグナル数を正確にカウントすることがしばしば困難である.より正確な判定のためには,ホルマリン固定薄切標本の性状を理解し,癌領域全体を観察することが重要と考えられた.
  • 橋本 成修
    2015 年 18 巻 2 号 p. 75-79
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
  • 竹岡 加陽, 奥村 敦子, 岸森 千幸, 本庄 原, 和泉 清隆, 前迫 善智, 赤坂 尚司, 大野 仁嗣
    2015 年 18 巻 2 号 p. 80-85
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
    症例: 初診時75歳女性.入院2週間前に上気道炎症状のため当院を受診,血液検査で白血球増多を認めたため血液内科を紹介受診した.白血球数143.6 × 103/µL(単球38.6%,芽球2.6%),LDH2,279 IU/L.核型は,G-banding とALK break-apart probeを用いたFISHで45,XX,inv(2)(p23q13),−7.RT-PCRでRANBP2-ALK fusion mRNAを検出し,PCR産物のシークエンシングでRANBP2 exon 18とALK exon 20の接合を認めた.ALKの免疫染色では,白血病細胞の核膜が染色された.
    治療経過: 通常の寛解導入療法とアザシチジンが奏効したが,治療開始10 か月後に再発した.患者本人のインフォームドコンセントと,当院の倫理委員会の承認を得て,クリゾチニブ(250 mg BID) の投与を開始した.白血病細胞は速やかに減少し,一旦完全寛解の診断基準に到達したが,day 135に再発した.再発時の白血病細胞からDNAとRNAを抽出し,ALKのキナーゼドメインの遺伝子変異を検索したところ,exon 25にc.3806G>C/p.G1269A変異を認めた.染色体分析では,新たにdel(1)(p13p22) が認められた.
    考案: クリゾチニブは,RANBP2-ALK急性骨髄性白血病に対して高い抗腫瘍効果を示し,正常造血も回復したが,奏効期間は短期間であった.本剤単独では長期の寛解を維持することは困難であるので,通常の化学療法薬と併用する必要があると考えられた.
  • 川西 博晃
    2015 年 18 巻 2 号 p. 86-90
    発行日: 2015/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
  • 本庄 原
    2012 年 18 巻 2 号 p. 91-94
    発行日: 2012/12/25
    公開日: 2015/12/25
    ジャーナル フリー
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