天理医学紀要
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19 巻, 2 号
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症例報告
  • 福島 正大, 芝 剛, 吉村 真一郎, 土井 拓, 三木 直樹, 山中 忠太郎, 南部 光彦
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 19 巻 2 号 p. 65-70
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/12/25
    ジャーナル フリー
     症例は6歳女児.入院1年前の冬に手指の色が紫色に変化することに気付いた.その後,手指の色調の変化は改善したが,手指全体の腫脹が持続した.入院3か月前には腹部や上腕の皮膚の硬化が出現した.入院1か月前から,坂道を登る際に軽度の呼吸苦を訴えるようになった.近医を受診し,これらの症状と抗核抗体が強陽性であったことから膠原病を疑われ,当科を紹介され受診した.
      入院時の精査で抗Scl-70抗体が強陽性で,胸部 high resolution CT (HRCT)では間質性肺病変を疑わせる胸膜下のスリガラス影を認めた.全身性の皮膚硬化や第一足趾先端の潰瘍病変などの所見もあり,全身性強皮症と診断 した.
      肺野の間質性変化が認められたこと,高度の全身性皮膚硬化病変を認めたことから,ステロイドパルス療法と,それに続いてシクロホスファミドパルス療法を行った.趾尖部潰瘍やレイノー現象に対してはカルシウム拮抗薬とボセンタンの内服を行った.ボセンタン内服開始後より,足趾の潰瘍は著明に改善した.小児の全身性強皮症は極めて稀な疾患であり,本症例の臨床経過について文献的考察を踏まえて報告する.
解説
  • 大林 準
    原稿種別: 解説
    2016 年 19 巻 2 号 p. 71-79
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/12/25
    ジャーナル フリー
     医学統計において,多変量解析で用いられる統計手法の一つにロジスティック回帰分析がある.ロジスティック回帰分析は,目的変数が,「生存・死亡」や「陽性・陰性」といった名義変数の場合に用い,治療( 介入) の効果について,目的変数に関わる因子(共変量)が回帰式にどの程度関与しているかを解析するものである.ロジスティック回帰モデルでは,その結果に対する確率をP とし,共変量をx1,x2 ... とした場合, log ( P /(1-P )) =b0 + b1 x1 + b2 x2 ... といった式で表せる.無作為化されていない後ろ向き研究においては,交絡因子とされるものが,解析結果に対して影響を及ぼすことがたびたび見られる.交絡因子の調整方法として,近年,傾向スコア(propensity score) 解析が提唱され,この傾向スコアには,ロジスティック回帰分析で求めた予測確率を用いる.傾向スコア解析とは,潜在的な交絡要因となる様々な共変量を,傾向スコアという一つの合成変数に縮約( 一次元化) し,その傾向スコアを基準として,交絡因子の影響を除去するためにマッチングや層別化等を行うものである.
天理よろづ相談所学術発表会 2015
  • 下村 大樹
    2016 年 19 巻 2 号 p. 81-89
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/12/25
    ジャーナル フリー
     我々は,直接経口抗凝固薬(direct oral anticoagulant; DOACs)が投与される患者のために,腎機能を簡便に評価するシステム,および抗凝固作用の評価として,PT およびaPTTの検査値に服用後経過時間を併記するシステムを構築した.DOACsは腎排泄率が高い薬剤であるため,重度腎機能障害の患者へ投与が禁忌とされている.DOACs投与時の腎機能評価は,Cockcroft-Gault計算式によるクレアチニンクリアランス(creatinine clearance; CCr)が採用されている.国内で頻用されている糸球体濾過量推算式(estimated glomerular filtration rate; eGFR)と比較すると,日本人に多い小柄な高齢者はCCrよりeGFRが高くなる傾向があり,eGFRでは代用できない.そのため,当院ではCCrを検査システムに取り入れ,禁忌症例の判断,処方前および定期的な腎機能評価に活用している.DOACsは固定用量の投与で,抗凝固作用評価(モニタリング)が不要とされているが,出血リスクの高い患者にはモニタリングすることが推奨されている.DOACsは半減期が短く血中濃度の変動が大きいため,服用からの経過時間により検査値が大きく異なる.当院では,検査技師が採血時に患者から聴取したDOACsの服用時間を検査結果に併記し,服用後経過時間を考慮してPTあるいはaPTTを評価することにより,DOACsのリスク管理を行っている.
  • 近藤 博和
    2016 年 19 巻 2 号 p. 90-94
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/12/25
    ジャーナル フリー
  • 古川 公嗣
    2016 年 19 巻 2 号 p. 95-98
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/12/25
    ジャーナル フリー
  • 北川 孝道
    2016 年 19 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/12/25
    ジャーナル フリー
  • 飯岡 大, 下村 大樹
    2016 年 19 巻 2 号 p. 105-113
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/12/25
    ジャーナル フリー
     血栓性血小板減少性紫斑病(thrombotic thrombocytopenic purpura; TTP)は,全身の微小血管に血小板血栓が形成され,血小板減少と溶血性貧血を呈し,時に虚血性臓器障害を合併する疾患である.von Willebrand 因子(VWF)を特異的に切断する酵素であるADAMTS13(a disintegrin and metalloproteinase with thrombospondin type 1 motif 13)活性の著減が病態に関与している.原因不明の血小板減少と破砕赤血球を伴う溶血性貧血(細血管障害性溶血性貧血)の所見があれば,発熱や臓器障害がなくてもTTPを疑いADAMTS13活性を測定することが重要で ある.ADAMTS13活性が10%未満に著減していればTTPと診断し,ADAMTS13に対するインヒビターが陽性であれば後天性TTPと診断する.インヒビターが陰性の場合は先天性TTP(Upshaw-Schulman症候群;USS)が考えられるが,確定診断のためにはADAMTS13遺伝子解析が必要である.後天性TTPの標準治療は,血漿交換療法である.ADAMTS13を補充し,ADAMTS13自己抗体と超高分子量VWF重合体(unusually large VWF multimers; UL-VWFM)を除去する効果がある.ステロイド療法が併用されることが一般的で,これらの治療により,発症早期の予後は劇的に改善した.しかし,治療早期に再増悪をきたす例があることや,寛解後の再発率が高いことなどの問題がある.最近は,抗CD20キメラ抗体であるリツキシマブを併用することで,高い治療奏効率と長期の寛解維持効果を示した報告が続いている.(2015年現在,TTPに対するリツキシマブは,本邦では保険未適応である.)
  • 山崎 善夫
    2016 年 19 巻 2 号 p. 114-121
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/12/25
    ジャーナル フリー
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