症例: 72歳男性.1か月前から全身倦怠感と盗汗を自覚し次第に増悪した.かかりつけ医での血液検査で異常細胞とLDH高値を認めたため,急性白血病を疑われて紹介受診した.体温38.2℃.表在性リンパ節腫脹なし,肝脾腫なし.
検査結果: Hb 10.3 g/dL, WBC 7.59 × 10
3 /µL (leukemic cells 15.0%), PLT 66 × 10
3 /µL, LDH 4,243 IU/L, sIL-2R 1,758 U/mL.骨髄穿刺はドライタップ,骨髄生検では骨梁間にCD5
−, CD10
+ , CD20
+ , BCL2
+ , BCL6
−, MUM1
−の腫瘍細胞が充満していた.FDG-PET/CTで全身の骨髄に不均一な集積を認めた.
染色体・遺伝子検査: 末梢血から得られた核型は高二倍体で,t(14;18)(q32;q21) 転座が重複していた.FISHでは
IGH-BCL2 融合シグナルが4個認められた.8番染色体は3本に増加していたが,8q24/
MYCの再構成は認めなかった.Long-distance PCRで
BCL2-MBR, N-like segment,
IGH-J5から構成されるfusion geneが増幅された.
治療経過: R-DA-EPOCH療法を2サイクル実施し寛解に至ったが,約1年後に広範な軟部腫瘍で再燃した.再燃後は, 化学療法に反応することなく短期間で死亡した.
考案: 本症例はindolentな段階を経過することなく
de novo発症したtransformed follicular lymphomaと考えら れた.Double t(14;18) によるBCL2蛋白の発現亢進が,難治性・治療抵抗性の原因となった可能性が示唆された.
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