天理医学紀要
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19 巻 , 1 号
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特別講演
原著
  • 南部 光彦, 前田 親男, 桂 禎邦, 白井 秀治
    原稿種別: 原著
    2016 年 19 巻 1 号 p. 11-17
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
    背景: 日本では屋内塵のダニがアレルゲンとして最も重要である.布団を丸洗いするとダニアレルゲンは減少する. そこでダニアレルギー児の布団を丸洗いすることによって喘息コントロールに影響するかどうかを検討した.
    方法: この研究は無作為割り付けのコントロール研究ではなく,疫学的な調査である.2013年3月/4月にダニアレルギーのある喘息児10 人の布団を微温湯で丸洗いし,熱風で乾燥させた(active群).一方,ダニアレルギーのある喘息児で布団を丸洗いしないcontrol群9人を選んだが,2人が脱落した.布団の中から吸塵し,ダニアレルゲンであるDer 1 (Der p1+Der f1) をELISAで測定した.
    結果: 2013年3月/4月にDer 1量が100 ng/m 2 以上であったactive群の5人は全員,布団のDer 1 量が2013 年7月/8月には減少し,そのうち4人で長期管理薬をステップダウンすることができた. Active群7人の布団のDer 1 量は2013年3月/4月に比べ,2014年3月/4月には減少していた.この1年間の経過で,長期管理薬はactive群の8人でステップダウン,2人は同じ,一方,control群では3人がステップダウン,1人が同じ,3人がステップアップした(P = 0.119;Fisher の直接確率計算法で有意差なし).2013年3月/4月,7月/8月,11月/12月,2014年3月/4月の長期管理薬の治療スコアの経過についてFriedman検定を行うと,active群では有意差があり(P= 0.001),control群では有意差がなかった(P= 0.996).
    結論: ダニアレルギーの喘息児において,布団丸洗い効果が認められた.布団丸洗いは簡単ではないが,ダニ対策 として有効な方法の1つである可能性がある.
  • 野口 峻二郎, 安田 正利, 野間 惠之, 西本 優子, 本庄 原, 小橋 陽一郎, 田口 善夫
    原稿種別: 原著
    2016 年 19 巻 1 号 p. 18-23
    発行日: 2016/12/15
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
     当院では肺疾患患者の剖検例に対し,片肺の一割面をそのまま組織標本とする大切片標本の作製を行っている.本稿では当院で行っている大切片標本の作製手順を紹介し,代表的な症例(びまん性汎細気管支炎および関節リウマチ合併間質性肺炎)をCT像と対比して提示する.大切片標本の観察は肺疾患におけるマクロの形態変化や病変分布,さらには小葉構造に基づいた画像の成り立ちを理解する上で非常に有用である.
症例報告
  • 和泉 清隆, 藤田 久美, 福塚 勝弘, 林田 雅彦, 赤坂 尚司, 大野 仁嗣
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 19 巻 1 号 p. 24-33
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
    症例: 54歳女性.SIADH,複視,左下肢筋力低下,膀胱直腸障害のため入院した.
    検査結果: 頭部MRI検査で鞍上部からトルコ鞍にかけて広がる腫瘤を認めた.髄液検査でリンパ腫細胞を 認め,CD10,CD19,CD38,CD138陽性,CD20,CD5陰性,細胞表面・細胞質免疫グロブリン陰性であった.FISH解析では,IGHおよびIGH以外の遺伝子をパートナーとするMYCBCL2BCL6の再構成が判明し,triple-hit lymphomaと考えられた.
    経過: 化学療法,放射線療法に反応なく,診断から約3か月後に原病増悪のため死亡した.病理解剖では,視床下部, 前頭葉,脈絡叢,硬膜,脊髄神経への浸潤が確認され,高悪性度B細胞リンパ腫の組織型であった.
    考案: 本症例はtriple-hit lymphomaがCNSに生じるという稀な発症様式を呈したものと考えられた.本症例を始 めとするdouble-hit / triple-hit lymphomaに対する有効な治療法の開発が望まれる.
  • 戸田 有亮, 鴨田 吉正, 赤坂 尚司, 本庄 原, 御前 隆, 福塚 勝弘, 林田 雅彦, 大野 仁嗣
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 19 巻 1 号 p. 34-43
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
    症例: 72歳男性.1か月前から全身倦怠感と盗汗を自覚し次第に増悪した.かかりつけ医での血液検査で異常細胞とLDH高値を認めたため,急性白血病を疑われて紹介受診した.体温38.2℃.表在性リンパ節腫脹なし,肝脾腫なし.
    検査結果: Hb 10.3 g/dL, WBC 7.59 × 10 3 /µL (leukemic cells 15.0%), PLT 66 × 10 3 /µL, LDH 4,243 IU/L, sIL-2R 1,758 U/mL.骨髄穿刺はドライタップ,骨髄生検では骨梁間にCD5 , CD10 + , CD20 + , BCL2 + , BCL6 , MUM1 の腫瘍細胞が充満していた.FDG-PET/CTで全身の骨髄に不均一な集積を認めた.
    染色体・遺伝子検査: 末梢血から得られた核型は高二倍体で,t(14;18)(q32;q21) 転座が重複していた.FISHでは IGH-BCL2 融合シグナルが4個認められた.8番染色体は3本に増加していたが,8q24/MYCの再構成は認めなかった.Long-distance PCRでBCL2-MBR, N-like segment, IGH-J5から構成されるfusion geneが増幅された.
    治療経過: R-DA-EPOCH療法を2サイクル実施し寛解に至ったが,約1年後に広範な軟部腫瘍で再燃した.再燃後は, 化学療法に反応することなく短期間で死亡した.
    考案: 本症例はindolentな段階を経過することなくde novo発症したtransformed follicular lymphomaと考えら れた.Double t(14;18) によるBCL2蛋白の発現亢進が,難治性・治療抵抗性の原因となった可能性が示唆された.
  • 田口 智朗, 芝 剛, 福島 正大, 吉村 真一郎, 土井 拓, 三木 直樹, 山中 忠太郎, 南部 光彦
    原稿種別: 症例報告
    2016 年 19 巻 1 号 p. 44-50
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
     症例は初診時2か月の女児.父は高IgE症候群(hyper-IgE syndrome; HIES) と診断されていた.生後間もなく湿疹が顔面に出現した.入院数日前より咳,痰,喘鳴が徐々に増悪したため当院小児科外来を受診した.吸気努力が強かったため,気管挿管を必要とした.また抗菌薬を投与した.呼吸状態が安定したため2日後に抜管したが,抜管後は再び吸気努力が出現した.軟性喉頭鏡で観察したところ,喉頭浮腫と喉頭軟化症が認められた.また熱感や発赤,圧痛のない後頸部腫瘤から自然排液がみられ,培養でメチシリン耐性ブドウ球菌(MRSA) が検出されたが,検鏡では白血球はみられなかった.その他の部位からも培養でMRSAが検出された.鵞口瘡もみられた.血清IgE値は810 IU/mL と高値で,末梢血好酸球数も最高で3,940/μL であった.HIES と診断の上,遺伝子検査を行ったところ,signal transducer and activator of transcription 3 (STAT3) 遺伝子変異が認められた.喉頭軟化症に喉頭浮腫を合併した常染色体優性遺伝のHIES の2か月女児例を報告した.
短報
  • 大蘆 裕子, 福塚 勝弘
    原稿種別: 短報
    2016 年 19 巻 1 号 p. 51-57
    発行日: 2016/12/25
    公開日: 2016/07/15
    ジャーナル フリー
    背景と目的: 本態性血小板血症(essential thrombocytosis; ET) の3~5%にはMPL 遺伝子のW515L/K変異が認めら れる.今回我々は,同変異の検出法として,amplification refractory mutation system (ARMS)法,allele-specific PCR (AS-PCR)法およびmelting curve (MC)法の3法を比較検討した.
    対象症例: 当院で診療したET症例のうち,JAK2 V617F変異およびCALR frame-shift変異陰性の12例を対象とした..
    結果: 解析したET症例12例のうち2例(症例P1,症例P2)でMPL遺伝子変異が検出された.症例P1は3法全てが陽性であったが,症例P2はAS-PCR法とMC法が陽性,ARMS法は陰性であった.PCR産物をダイレクトシークエンスしたところ,P1, P2 症例とも,515番目のコドンTGG がTTGに変異するW515L変異であった.3法のW515L変異の検出感度は,ARMS法20%,AS-PCR法3%,MC法5%であった..
    考察と結論: ARMS法では,PCRプライマーが競合するため,変異アリルの検出感度が低下する可能性が示唆さ れた.MPL W515変異を効率よく検出するためには,野生型プローブを用いることによってMPL W515変異を広く検出するMC法をスクリーニング検査に,変異特異的なAS-PCR法とダイレクトシークエンスを確認検査として実施することが有用であると考えられた.
Pictures at Bedside and Bench
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