鬼首盆地の湖成層の堆積年代と, 河成段丘や扇状地の形成年代を明らかにするため野外調査を行い, 試料を採取し
14C年代測定を行った。その結果, 次の様な年代資料が得られた。
1) 鬼首湖成層から採取して最初に測定された試料の年代は27,100±2,270 1,745y. B. P. であった。しかし, その後に鬼首湖成層から採取された10試料の年代は, いずれも測定装置の上限年代である30,740~35,810y. B. P. をこえた。よって鬼首湖成層は少なくとも35,810年以前にすでに堆積していた。2) 荒雄川は4段の河成段丘を形成している。このうち第3段丘である原面と最低位の久瀬面から採取した試料の
14C年代から, 原面は1,100~1,400年前に, また久瀬面は約800年前にそれぞれ形成されたことが分かった。3) 盆地南部や西部には小規模な合流扇状地がみられる。盆地南部では合流扇状地を開析する浅い谷があり, この中には黒色土が堆積していた。その下部の
14C年代から, 合流扇状地は5,200年前にはすでに形成されていたことが明らかになった。
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