季刊地理学
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46 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 豊島 正幸
    1994 年 46 巻 4 号 p. 217-232
    発行日: 1994/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    わが国における最終氷期後半の河成地形発達を一般化するため, 地殻変動様式あるいは気候変化過程を異にする河川流域の河成段丘の種類や形成時期を詳細に検討した。その結果, 地殻変動の活発な奥羽・出羽両山地の諸河川に広く見られる「2万年B. P. 前後の堆積段丘離水とそれに伴う侵食段丘形成」という現象が, 緩慢な曲隆を示す北上山地刈屋川流域にも見い出され, 最終氷期後半の堆積段丘-侵食段丘連鎖が地殻変動様式に関係なく, 気候変化を契機として生成された地形であることが明らかになった。既往研究の詳細な検討によりこの時期の河成段丘連鎖が確認できる河川の分布図を作成したところ, 少なくとも東北日本一帯に分布することが判明した。また, 西南日本にも化石周氷河地形が広く分布することを考慮すると, 堆積段丘分布域はさらに南方の九州付近にまで達していた可能性が高く, 紀伊・四国・九州山地の諸河川で認められている最終氷期後半の侵食段丘は, 同河成段丘連鎖の一部であると判断された。
    このような特徴的な地形 (面) を最終氷期以前の地形発達の中にも見い出すことができれば, 地形発達に依拠する新たな地形分析法の確立が可能になる。
  • 王 徳
    1994 年 46 巻 4 号 p. 233-254
    発行日: 1994/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本稿は, 標準人口移動率による重力モデルを用いて, 日本高度経済成長期 (1955~1972) における国内人口移動に対する転入地と転出地の所得水準の影響を時空間的に分析した。全都道府県間の人口移動については, 転入地の所得水準が終始最も重要な要因であるものの, その効果が一貫した傾向で年々低下した。それに対して, 転出地の所得水準の効果は目立った傾向は見られないが, 転入地のそれの低下にともない相対的に増大したと考えられる。ただし, いずれの年次においても, 転出地の所得水準が人口転出に促進要因として働いていた。さらに人口移動を転出地と転入地の性格によっていくつかのタイプに分け, それぞれの類型ごとに転入地と転出地の所得水準の影響力とその年次変化を分析した。その際の類型化の枠組としては, (1) 転出地と転入地の所得格差による類型化, (2) 大都市圏と非大都市圏相互の移動に関する類型化, (3) 46都道府県ごとの人口移動の分類の3つである。その結果, それぞれの類型化においては, 各類型の空間パターンと, 転入地と転出地の影響力の時系列変化には, それぞれ一定の秩序が存在していることが明らかになった。
  • 土井 時久
    1994 年 46 巻 4 号 p. 255-268
    発行日: 1994/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1961年に成立した農業基本法は, 農業と他産業との所得格差を是正し, 需要の新たな動向に応じた選択的拡大をはかろうとするものであった。これを具体化するために数次にわたる農業構造改善事業が実施された。しかし, 過去30年を振り返ると, 府県では農業所得の不足を農外所得で補う兼業農家が増加した。北海道畑作の場合は, 離農と規模拡大が進行し, 構造改善事業によって機械化が助長された。
    北海道畑作の機械化は, 単に労働と機械の代替を意味するものではない。畜耕からトラクター耕への変化は, 深耕を可能にし, これが肥料投入量の増加をもたらした。また, 防除機の高能率化による適期作業と相まって, 土地生産性の上昇をもたらした。この傾向は, 根菜としての馬鈴薯の場合とくに顕著で10アール当たり2トンから4トンになっている。
    馬鈴薯の主産地である十勝と網走を比較すると, 網走の10アール当たり収量の増加が著しい。これは, 網走における生産が, 依然として澱粉原料むけの高収量晩生種を主としているのに対して, 十勝では, より高価格な食用・加工用の早生・中生種で収量の低い品種に傾斜していることを反映している。両地域の相違は, 網走では病害を克服できず食用への転換が困難であったという技術的な制約と商品生産に対する十勝の積極的な姿勢によって生じている。
    北海道馬鈴薯生産の事例は,「作物統計」などにみられる土地生産性の地域差の意味を読みとる場合に, その背後にある社会経済的要因を十分理解することの重要性を示している。
  • 八木 浩司
    1994 年 46 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 1994/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ネパール中西部グルジャ・ヒマールの前縁斜面に発達する多重山稜の成因を考察した。多重山稜付近の地形断面や平面形態は, 頂部緩斜面の東側下方への変位と山稜の沈下を示している。多重山稜直下周辺では, 広い範囲で基盤岩の節理系に開口が進むことが観察された。その開口した節理系の走向は南北で, 多重山稜のそれと調和的である。さらに, 発達するオープン・クラックは注入粘土状の細粒物質で充填されている。これらのことから本地点の多重山稜は, 岩盤の重力性ブロック・グライドによる節理系の開口に伴う頂部斜面の変位と陥没によって発達したものである。
  • 仙台付近の例
    若生 達夫
    1994 年 46 巻 4 号 p. 275-279
    発行日: 1994/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 46 巻 4 号 p. 280-281
    発行日: 1994/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1994 年 46 巻 4 号 p. 282-290
    発行日: 1994/12/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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