季刊地理学
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48 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 東北大学八甲田山植物実験所における例
    三浦 修
    1996 年 48 巻 1 号 p. 1-13
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    東北大学理学部八甲田山植物実験所内の湿原・池沼生態系の南東部には, 裸地が広がっていた。1979年頃から湿原の排水管理方法の変更によって, 水位が徐々に上昇する環境の変化が生じ, 裸地にはミズゴケ群落が形成された。この遷移系列は, 次のようなものであった。
    (1) 渇水期にも長期に乾燥しない環境でエゾホソイが侵入, 定着する。(2) 夏期の短期間のみやや乾燥するが, ほぼ常時湛水する環境でウカミカマゴケなどの蘚類が侵入,定着する。この間, リターの薄層 (リターネット) が裸地に形成される。(3) この薄層を足掛かり, 支持体として, ミズゴケの侵入, 定着が開始した。既存の湿原縁辺でちぎれ, 池沼に供給されたミズゴケシュート切片が侵入の起源である。(4) 切片定着後5年でミズゴケシュートの伸長成長が停止し, ミズゴケ泥炭が形成され始めた。(5) 高密度なミズゴケ群落は水深4cm以浅の環境下で, 定着ミズゴケ切片から短時間に発達した。
    この短時間の遷移は, 荒廃ミズゴケ湿原の人為的復元に際し, 設定すべき水文及び地表の環境条件を与える。さらに, 湿原下の泥炭層と埋没火山灰層の層界が一般的にシャープであるという事実をも説明する。
  • 岡田 俊裕
    1996 年 48 巻 1 号 p. 14-32
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    1930年代の小田内通敏は, 郷土地理研究および郷土地理教育の推進に尽力した点に特色がある。地域地理学を住民の生業と生活に即して研究してきた彼は, それを学校教育および社会教育の場に根づかせようとしたのである。そこに実践性ないし応用性に富んだ彼の学風が示されている。また, 田中啓爾を中心とする地誌研究には批判的であり, 学界の非主流派的な立場に立っていた。このような小田内の学風と学問的立場は, 彼の地域地理学研究が歴史学的かつ社会科学的な考察を重視したものであったことに起因していると考えられる。ただし, 彼の論調は1930年代の後半に民族主義的および国家主義的な色彩を強め, 満州の国土計画にすすんで参画しようとした。また, 戦後には奥会津地方の山村経営にも深く関わった。これらの行動にも, 実践的な彼の研究姿勢が現れている。小田内の社会科学的な考察を重視した地域研究は, 最晩年にも自ら実践しているが, それはまた戦後日本の地理学研究に求めたあるべき姿でもあった。このような彼の見解は, 飯塚浩二をはじめ数多くの特に戦後の地理学者に強い影響を与え, さらに社会科教育界にも影響が及んだと考えられる。
  • 檜垣 大助
    1996 年 48 巻 1 号 p. 33-41
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    赤石山地南部の5地域を対象に, 線状凹地の存在する稜線区間とそれに隣接する線状凹地のない稜線区間の稜線両側斜面の谷密度を比較した結果, 線状凹地存在区間の斜面では, 水流のある谷の発達が悪く, 化石谷が多いことがわかった。この原因として, 線状凹地形成の原因となる岩盤クリープなどの山体変形により引張応力場となる山体上部の地盤が緩んで, 降水流出のうち地下水浸透分が大きくなるためと考えられる。これは線状凹地下方斜面への地下水供給の増大をもたらし, 下方斜面での崩壊・地すべり発生の原因となるとみなされる。
  • 村山 祐司, 尾野 久二
    1996 年 48 巻 1 号 p. 42-46
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 西城 潔
    1996 年 48 巻 1 号 p. 47-48
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 48 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1996 年 48 巻 1 号 p. 53-72
    発行日: 1996/03/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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