季刊地理学
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49 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • サルバター生産地域の形成と森林の維持
    八木 浩司, 斉藤 宗勝
    1997 年49 巻3 号 p. 121-136
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ネパールのヒマラヤ前縁帯およびテライ平原において, 天然林 (サラノキ: Shorea robusta) の果実が, カカオ代替油脂 (サルバター) 採取を目的として企業的に利用されている。その利用システムには天然林生産物と地域住民を基層構造とし, 首都カトマンズの企業そして国際市場につながる階層性が存在する。
    材以外で, サルバターのような国際市場に結びついた天然林生産物利用地域の出現は, S. robusta 林がヒマラヤ前縁帯・ガンジス平原北縁に広大に分布する低価格天然林資源であること, 果実の結実期が乾季でその間農業活動が比較的低調であること, 労働集約型の採取活動が要求されるにも関わらずこの地域の最底辺層に位置する安い労働力が利用できることによって説明される。しかし, サルバター生産地域は, 自然および社会環境の変化に左右される不安定な存在である。さらに S. robusta 林は過度の人為ストレスのため持続可能利用されているとは言いがたい部分も生じている。
  • 田中 豪一
    1997 年49 巻3 号 p. 137-150
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    茨城県土浦市を対象に, 住民の評価に基づく居住環境の空間構造について検討した。「居住環境」を構成する環境指標は「周辺環境」「利便環境」「人間・地縁環境」の3つに集約される。居住環境を従属変数, 3つの項目を独立変数として重回帰分析を施した結果, これを最もよく説明するのは利便環境であり, 次いで周辺環境, 人間・地縁環境の順であった。次にそれぞれの満足度評価についての分布パターンを導出すると, 利便環境が都心から周辺部へ向かって下降傾向にあるのに対して, 周辺環境は水辺や緑地の有無などその土地固有の特徴によって影響を受けることが明らかになった。また人間・地縁環境評価の高低も地域的特性に依存していると考えられるが, その分布パターンは不規則であった。以上を踏まえて利便環境と周辺環境の2項目を組み合わせてメッシュを4パターンに類型化することで, 居住環境評価の空間構造を導いた。その結果, 居住環境評価の高い地域は都心近郊に環状に形成され, 逆に低評価の地域は一般に都心から離れた周辺環境の劣悪な地域に形成されることが判明した。
  • 川口 裕輔
    1997 年49 巻3 号 p. 151-162
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    新潟県湯沢町は交通アクセスに恵まれ, 大観模なスキー場を有するリゾート地である。1986年なかこしもなかこ以降リゾートマンション建設が急速に進み, 同町東部に位置する中子地区, とくに下中子に集中して建設された。下中子に集中立地した要因として以下の2点があげられる。第1に下中子いわっばらの土地所有者の多くが隣接集落の居住者であるうえに, 近接する岩原スキー場への来客者を主な宿泊客とする民宿経営者であり, 彼らはマンション建設に対する抵抗感が少なく, 農地への愛着心が薄かった点である。第2に下中子は1970年代前半に土地改良事業を施工したが, 観光開発を期待した土地所有者の選択によって非農用地区域となり, マンション建設が容易になった点である。岩原スキー場に近接し, 交通至便で, 転用規制が少なく, 基盤整備の進んだ同地区の利点にリゾートマンション建設業者が着目し, リゾートマンションの集中立地をみることになった。
  • 貞方 昇, ララオ カカニナゲシュワ
    1997 年49 巻3 号 p. 163-170
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    インド半島東海岸のクリシュナデルタにおいて, 表層堆積物の年代測定と地形学的な調査を行った。約2,200年前の海岸線はクリシュナ河口から40km以上内陸側の浜堤群の内縁付近にあり, 約250年前までに平野の前縁部は約18km前進した。さらに最近の約250年間に5km以上の平野前縁の加速的な前進があった。この事は, インド半島東海岸の沖積平野が, 完新世海面高頂期以来の海面変化と関連して形成されてきたとする従来の見解とは調和しない。最近の急速な海岸平野の拡大の原因には, 作業仮説として流域環境への人為的な影響が考えられ, 詳細な議論のためにはさらに調査が必要である。
  • 地下環境調査法
    平塚 明
    1997 年49 巻3 号 p. 171-174
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1997 年49 巻3 号 p. 175-177
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1997 年49 巻3 号 p. 178-224
    発行日: 1997/08/30
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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