季刊地理学
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49 巻, 4 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 埼玉県荒川低地上流域を例にして
    安藤 一男, 方違 重治
    1997 年 49 巻 4 号 p. 231-246
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    ボーリングコアの珪藻分析, 14C年代測定および柱状図の解析結果に基づいて, 荒川低地上流域の古環境変遷を復元し, 縄文海進期の内湾最拡大期における海岸線付近の地形環境について検討した。
    本地域において最終氷期最盛期頃, 埋没立川段丘面を切り込んで谷幅2.5~3.5kmの埋没谷が形成され, その後, BGを基底として淡水成堆積物の形成が進行した。8,600y. B. P. を過ぎる頃から, 当地域は内湾化し海岸線が最も奥部に達したのは8,300y. B. P. 頃である。しぼらくこの状態が続いた後, 徐々に内湾の埋積が進み, 6,300~5,500y. B. P. 頃には当地域の陸化は完了した。
    珪藻遺骸群集に基づいて求められた内湾最拡大期の海岸線は, 荒川低地左岸の大宮台地側では台地に刻まれた支谷へ深く入り込んで位置していたのに対し, 右岸の武蔵野台地側では, 流入する入間川, 小畔川, 越辺川の影響により淡水域が広く分布することにより海岸線は低地中央付近に位置していた。このことは大宮台地の平方貝塚群がヤマトシジミ, カキ, ハイガイ, ハマグリを産出するのに対し, 武蔵野台地の小仙波貝塚は主淡であることとも調和的である。
  • 松林 武
    1997 年 49 巻 4 号 p. 247-261
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    地形単位と植生単位との空間的分布の一致, 不一致を通して, 植生と地形との関係を検討するために, 相関により植生を固有の形と広がりを持つ空間的単位として把握する「植生パッチ」という概念を考案した。仙台市街南方の高舘丘陵内にある一つの三次流域において, 斜面の形状と位置の特徴で把握され傾斜変換線で区切られる微地形単位と, 植生パッチ分布域とを比較した。結果, 各植生パッチはそれぞれ異なる樹種構成をもち, 分布境界は傾斜変換線と重なることが多い。これは, 各植生パッチは土壌断面形態により代表される土壌水文環境と地表面安定度によく対応し, この土壌断面形態の特徴と広がりが, 微地形とよく対応するためと考えられる。結果として, 地形, 土壌, 植生は, カテナ的配列および対応関係を持つ。しかし, 典型的な頂部斜面および上部谷壁斜面の土壌水文環境, 地表面安定度に分布する植生は, 必ずしも頂部斜面と上部谷壁斜面の全領域に分布するわけではなく, 上部谷壁斜面の範囲内にある地形的にそれほど明瞭ではない遷急線の下部には分布しないことがある。これは, 上部谷壁斜面下部では, 典型的な上部谷壁斜面よりも地形変化が活発なためと考えられる。
  • 1980年代以降イギリス人口移動研究動向
    磯田 弦
    1997 年 49 巻 4 号 p. 262-285
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本展望論文では, イギリスの1980年代以降の激しい社会経済的変動下での人口移動研究動向を3つの側面から検討した.
    第一に, 拡大する失業率格差のもとで, 人口移動と労働市場側面との関係について経済学的人口移動モデルの様々な経験的検証が行われ, 労働移動は地域労働市場条件に少ししか反応していないことが明らかにされた. まず実質賃金の硬直性のために賃金低下による労働流出効果は期待できないこと, そして失業者の移動性向は高いものの, 地域失業率はむしろ移動を抑制する効果が検出された.
    第二に80年代には労働移動率の低さの原因としてイギリスの住宅事情側面が大きく取り上げられた. まずイギリスでは持ち家奨励策, 家賃制限のために民間賃貸住宅の供給が抑えられ, 移動者の短期的滞在住居が不足している. また公的賃貸住宅居住者はこの状況下で地域間での居住者交換に頼らざるを得ず, これが人口純移動の低さにつながっている. さらに公的賃貸住宅の高失業率地域への集中は失業率格差を存続させるのみならず, 労働者を労働需要の低い地域に引きとどめることにより総失業率にも寄与している.
    第三に, 人口移動の経済的モデルの不振から, また一方には Positivism 批判から, 最近ではその他様々な社会的側面を加味した人口移動研究の必要性が説かれ, 移動者の社会的属性, 年齢, 性別にもとづいたより細かい分類ごとの人口移動, よりミクロスケールでの人口移動分析が盛んになりつつある. 職種別の人口移動パターンの違い, 退職者の反都市化移動や季節移動, 共稼ぎ世帯の移動行動, 離婚・再婚に伴う住居移動, など新たな人口移動の論理が明らかになっている.
  • 仁科 淳司
    1997 年 49 巻 4 号 p. 286-295
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    近年入手可能になった地上気圧の時別値データを用いて, 冬型気圧配置の形成・解消過程における中部日本の局地気圧系の変化を, 1991年1月18日~21日を例に明らかにした。総観場の気圧の谷が通過した後, 18日の9時には中部山岳の南東側に局地的な低圧部が形成され, その中に局地低気圧が発生, 発達した。また18時には北西側に局地的な高圧部が形成され, その中に局地高気圧が発生, 発達した。19日と20日の局地天気図からは, 冬季中部日本に発生することが知られている高山高気圧は明け方に最も発達すること, また昼間は逆に局地低気圧が発生し, 15時ごろ最も発達することなど, 今までの局地天気図のみでは得られないことも判明した。このような変化は, 局地気圧系の発生, 発達が単純に地面の加熱, 冷却だけでは説明できないこと ―すなわち, たとえば地面の加熱があっても, 局地低気圧が直ちに発生, 発達するわけではないこと― なども示した。
  • 立体的な都市環境管理をめざして
    平塚 明
    1997 年 49 巻 4 号 p. 296-299
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • イングランド, アルン川下流の例
    若生 達夫
    1997 年 49 巻 4 号 p. 300-304
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 49 巻 4 号 p. 305-310
    発行日: 1997/12/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 49 巻 4 号 p. 312a
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1997 年 49 巻 4 号 p. 312b
    発行日: 1997年
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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