本研究は, 東京に集中的に立地しているファッションデザイン業の特性を, 実地調査に基づき, 明らかにすることを目的としたものである。
ファッションデザイン業は, 1980年代後半以降急速に成長した新しい産業である。アパレル製品などのファッション製品のデザイン企画をその中心的な業務とし, アパレルメーカーあるいは高度なファッション製品を販売するブティックなどから依頼を受けてデザイン企画を提案, 場合によってはその生産もしくは生産管理にあたっている。
このような業務特性から, ファッションデザイン業の立地はアパレルメーカーやブティック等が集積する地域 (渋谷区, 港区の一部) に集中している。
ファッションデザイン業はアパレルメーカーとの結びつきが深く, その下請的な役割を果たしているだけの企業も多い。しかし, 近年はブティック等の小売店と結びつき, オリジナルブランドの製品を開発・販売している企業も増えてきている。そのため, ファッションデザイン業者の多くが生産機能を持つとともに, 大都市内および周辺地域に立地する各種の大都市工業と密接な関連を形成している。この意味において, ファッションデザイン業は既存の大都市の工業と商業の集積の上に成立していると言うことができる。
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