季刊地理学
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50 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 藤田 佳久
    1998 年 50 巻 4 号 p. 273-286
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本稿は, 1901年に中国貿易を扱い得るビジネスマンの養成を目的として上海に開設された東亜同文書院の学生達が1907年から1942年にかけて行った中国調査旅行の実態を明らかにし, 彼らが記録した調査報告書および日誌の資料的価値について説明した。書院生の旅行コースは全体で700コースに及び, 中国全土をカバーするとともに, 調査テーマも中国社会を知る上でバランスのとれた内容であった。調査報告書は日本人の手になる初の本格的中国地方誌であった『支那省別全誌』(18巻) および『新編支那省別全誌』(18巻刊行計画中9巻まで刊行) に最大限に活用された。日誌は状況証拠として間接的に利用された程度であった。しかし, 日誌は清末から民国期の混乱期に, 中国全域をとらえる研究が空白になった部分を埋めることができる貴重な資料である。
  • 新たな対応へ向けて
    門村 浩
    1998 年 50 巻 4 号 p. 287-295
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    サハラ南縁地帯をはじめ, 世界の発展途上乾燥地域における人類生存を脅かしてきた「砂漠化」と干ばつ影響に対する, 国際協力による対応活動は, 新たな局面を迎えている。コミュニティ・レベルの, 住民参加とNGOの支援を基調とする, 総合的・持続的発展計画の一環としての「砂漠化」対策の推進を目的とする『国連砂漠化対処条約』が発効 (1996年12月) したからである。この新たな対応戦略に対し, 我が国が実質的な貢献をなすために必要とされる前提条件を示し, 当面, 重点的に取り組むべき課題として, 現場レベルのモニタリングと評価, 社会経済的側面の重視, NGOとCBOの活動支援強化, 地域特性への配慮, プロジェクトの調整と重複の排除, 対処能力の向上と技術移転, 気候変動予測と食糧安全保障, 専門家の養成などの問題を取り上げて議論した。また, これらに対する地理学からの積極的なコミットを期待した。
  • 初沢 敏生
    1998 年 50 巻 4 号 p. 296-310
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本研究は, 東京に集中的に立地しているファッションデザイン業の特性を, 実地調査に基づき, 明らかにすることを目的としたものである。
    ファッションデザイン業は, 1980年代後半以降急速に成長した新しい産業である。アパレル製品などのファッション製品のデザイン企画をその中心的な業務とし, アパレルメーカーあるいは高度なファッション製品を販売するブティックなどから依頼を受けてデザイン企画を提案, 場合によってはその生産もしくは生産管理にあたっている。
    このような業務特性から, ファッションデザイン業の立地はアパレルメーカーやブティック等が集積する地域 (渋谷区, 港区の一部) に集中している。
    ファッションデザイン業はアパレルメーカーとの結びつきが深く, その下請的な役割を果たしているだけの企業も多い。しかし, 近年はブティック等の小売店と結びつき, オリジナルブランドの製品を開発・販売している企業も増えてきている。そのため, ファッションデザイン業者の多くが生産機能を持つとともに, 大都市内および周辺地域に立地する各種の大都市工業と密接な関連を形成している。この意味において, ファッションデザイン業は既存の大都市の工業と商業の集積の上に成立していると言うことができる。
  • 小松原 琢, 安斎 正人
    1998 年 50 巻 4 号 p. 311-328
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    石狩丘陵には, 3条の南北性活構造 (東から中小屋半ドーム, 峻別背斜, 海岸背斜) が発達する。それらの第四紀後期の垂直変位速度は, 中小屋半ドームで0.6~0.7mm/yr以上, 峻別背斜で0.4rnm/yr以上, 海岸背斜で約0.1mm/yrであり, 東側の構造ほど活動度が高い。峻別背斜と海岸背斜の中期更新世中期以降の背斜軸は, 下部更新統以下の各層の背斜軸の数100m~1km東に位置する。また峻別背斜の鮮新 ―更新統の構造は対称褶曲に近いが, 段丘変位地形は東翼で急傾斜する非対称褶曲を示す。この褶曲変位形態の変化は, 前期更新世前期以降―中期更新世中期以前に始まった。地蔵沢断層をはじめとする峻別背斜や海岸背斜周辺の小規模な断層や背斜構造は, 副次的な層面すべり断層と解釈される。
  • 八島 邦夫
    1998 年 50 巻 4 号 p. 329-337
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    石巻湾の西部に位置する野蒜洲崎浜は, 松島湾と石巻湾の境に位置する宮戸島を陸繋島化したトンボロ (陸繋砂州) 地形であり, その変遷及び地形発達の特徴を, 明治以降の海図により辿ることができる。洲崎浜のトンボロ地形は, 基部を異にする複数の砂嘴により構成され, 宮戸島は, 1901 (明治34) 年から1938 (昭和13) 年の約40年間の間に, 不老山を基部として長さ2,800mに亘って新たに発達した砂嘴により陸繋島化された。この間の砂嘴先端の発達速度70m/年, 海岸線の前進速度10m/年は, 日本沿岸各地の砂嘴と比較して極めて急速である。この急速な地形発達の主要因は北上川下流部の河道付け替えの結果と推論した。
  • 1998 年 50 巻 4 号 p. 339-374
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1998 年 50 巻 4 号 p. 375-378
    発行日: 1998/12/15
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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