近年, 日本の一般廃棄物処理をめぐる状況は大きく変化している。特に「地域のごみは地域で処理する」という「自区内処理」原則は崩れ, 国と都道府県の主導のもとで処理圏の広域化が進められている。本研究では, 東京都と埼玉県を事例として, 大都市とその郊外地域における一般廃棄物処理と廃棄物移動の現状を把握するとともに, 近年の処理圏の再編動向についても分析・考察を行った。
中間処理と最終処分では, 共同処理や民間委託が進んでいる。しかし, 大都市地域である東京都区部, その郊外地域である多摩地域・埼玉県東部, 東京大都市圏の外縁部に位置する埼玉県西部では, 自区内処理 (単独処理) と広域処理の割合 (志向) や処理圏の範囲, 廃棄物移動の範囲に差異が見られた。
また, 処理圏の再編については, 東京都では再編は見られなかった。埼玉県東部では, 小規模な市町村の単独処理の統合化を図っている。埼玉県西部では, 現行の共同の処理圏のさらに広域的な再編が計画されている。
最後に処理実態と近年の再編について模式化し, 各地域の傾向とその要因を検討した。結果として, 人口が廃棄物量を規定し, 処理施設の規模に影響する人口, 処理施設の立地に影響する都市化度, 単独処理や共同処理の選択に影響する自治体の財政力といった地域の特性が, 一般廃棄物の処理と廃棄物移動, 処理圏の再編に影響していることが確認された。
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