季刊地理学
Online ISSN : 1884-1252
Print ISSN : 0916-7889
61 巻 , 1 号
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論文
  • 佐々木 達
    2009 年 61 巻 1 号 p. 1-18
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/08
    ジャーナル フリー
    本研究は,米価下落,高齢化と担い手不足といった状況下において稲作を中心とした複合経営がいかに再編されつつあるのか,その実態と要因について,宮城県亘理町を事例に分析した。亘理町は東北最大のイチゴ産地であり,稲作とイチゴの複合経営に特徴を持つ。しかし,近年の米価下落によって農家の労働力配分や経営形態は変化しつつある。農業特性として,兼業化を進めて米単一経営傾向を指向する地区と経営複合化や経営規模拡大のために農家労働力を確保する地区の二つに類型化されることが確認された。そして,経営複合化や規模拡大を指向する農家層が現われ始めている荒浜地区本郷南集落を事例に考察した結果,複合経営農家層は所得水準を維持するために,さらなる経営規模拡大という対応を求められていることが明らかとなった。とりわけ,経営規模拡大は町内における農地貸付層の発生によって可能となっているが,農地貸借関係を通じた土地利用における問題点を顕在化させている。複合経営農家層は,家族労働力や経営耕地規模,農業機械装備に規定されて,限られた選択肢の中で行動しなければならないために,再編を迫られることになった。
研究ノート
  • 遠藤 匡俊
    2009 年 61 巻 1 号 p. 19-37
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/08
    ジャーナル フリー
    集団の空間的流動性は,おもに移動性の高い狩猟採集社会で確認されてきたが,移動性の程度と集団の空間的流動性の程度の関係が必ずしも明確ではなかった。本研究では,定住性が高いアイヌを事例に,定住性の程度と流動性の程度の関係を分析した。1856∼1869年の東蝦夷地三石場所におけるアイヌの27集落を対象として集落の存続期間を求めた結果,最低1年間,最高14年間,平均4.4年間であった。全期間中に消滅した集落は18,新たに形成された集落は14,そして14年間ずっと存続し続けた集落は3であった。分裂の流動性が高い集落(S<0.82)および結合の流動性が高い集落(J<0.79)は,いずれも集落の存続期間の長さには関わりなく多くみられた。このように,集落の空間的流動性の程度は集落の存続期間の長さとは関係しなかった。消滅した集落の分裂の流動性は存続し続けた集落よりも低く,新たに形成された集落の結合の流動性も存続し続けた集落よりも流動性が高いという傾向はとくに認められなかった。この結果は,アイヌのように移動性の低い狩猟採集社会だけでなく,移動性の高い狩猟採集社会においても,移動性の程度と流動性の程度はあまり関係がなかったことを示唆する。
  • 宮本 昌幸
    2009 年 61 巻 1 号 p. 38-45
    発行日: 2009年
    公開日: 2011/12/08
    ジャーナル フリー
    大雪山の残雪凹地で,柔らかく風化しやすい多孔質凝灰岩(通称: 大谷石)の整形試料を用いた野外実験を行い,重量減少法による風化速度の分布を明らかにした。減少重量率は残雪砂礫地の中心部や下方で高く,上方では低い。谷底や強風砂礫地では減少重量率は低くはない。残雪砂礫地内での減少重量率は,凍結融解日における凝灰岩の水分量と有意な順位相関がある。したがって,減少重量率の分布は凍結風化に規定されているといえる。しかし,強風砂礫地や残雪砂礫地斜面上方では,乾湿風化や,積雪のひきずりが影響している可能性がある。
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