季刊地理学
Online ISSN : 1884-1252
Print ISSN : 0916-7889
62 巻 , 1 号
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研究ノート
  • 奥本 有樹
    2010 年 62 巻 1 号 p. 1-11
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル フリー
    今日まで学校区の設定に関する研究は多くの蓄積がなされてきたが,プログラミングなどの専門知識や統計資料が必要であった。しかし,近年のGISアプリケーションの発達やデジタルデータの流通により,比較的容易に理論的学区の設定が行える環境が整えられている。そこで本研究は,既製のGISアプリケーションとデータを用いた学校区の設定・評価手法を提案した。
    まず,道路ネットワーク上でのボロノイ分割を用いて理論的学区を設定し,学区の児童数を推定した。次にどのような地域において,現状の児童数や面積との差異が大きく表れるのかを考察した。さらに,通学児童数・通学ルートがどのように変化するのかを検討した。分析の結果,都市化の進展に伴って人口が急激に増加した地域において,現状の学区と理論的学区の児童数の違いが大きくなっていた。また,理論的学区の設定により,多くの児童の通学距離が短縮できることが示された。
    以上により,児童数の増減は,学区変更に反映されていないことが明らかとなった。同時に,提案した手法により,理論的学区と現状の学区との空間的な違いや,児童数・通学ルートの変化を考察可能であることが指摘できる。
  • 小田 隆史
    2010 年 62 巻 1 号 p. 12-27
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/03/15
    ジャーナル フリー
    諸政策の新自由主義化にともなって,近年の米国都市社会においては,市民や民間企業等が,行政府や立法府と連携して都市社会を協治する「ガバナンス」という新秩序が創出されはじめ,この変化に関する隣接分野での研究が盛んになっている。こうした政策のパラダイムシフトが都市社会にもたらした変化の一端を捉え,新たな都市ガバナンスにおける行政と市民との連携のあり方を考える地理学的研究が求められる。その前提として,本稿は,米国カリフォルニア州サンフランシスコ市における歴史文化資源の保存に関係する法制度及び政策に関与する主体の変化に着目し,新旧制度の変化を整理,提示した。また,サンフランシスコ日本町において市民らがコミュニティ存続を訴えた「日本町保存運動」を取り上げ,この運動によって,旧来の行政による一般的な許認可手続きに加え,文化的遺産を考慮して再開発の許認可を行う特殊な法令・規制が付加された点,及び都市政策に日本町のNPO関係者や商店主等が,より直接的に関与するようになり,都市再開発にかかる主体と制度が変化・多様化した点を明らかにした。
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