季刊地理学
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62 巻, 4 号
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論文
  • —— 酸素同位体ステージ9以降の植生と気候の変遷 ——
    守田 益宗, 神谷 千穂, 佐々木 俊法, 宮城 豊彦, 須貝 俊彦, 柳田 誠, 古澤 明, 藤原 治
    2010 年 62 巻 4 号 p. 195-210
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/28
    ジャーナル フリー
    本州中部の岐阜県瑞浪市大湫の小盆地で掘削されたOK4コアの花粉分析を行ない,下位よりOK4-1∼OK4-28の局地花粉帯を区分した。これらの花粉帯を先行研究であるOK1の局地花粉帯とともに,堆積物中に挾在する広域テフラの絶対年代を基にLR04の海洋酸素同位体曲線と比較した。その結果,大湫盆地の花粉分析結果はMIS1-9までの過去34万年の植生変遷を連続して記録していることが明らかとなり,OK4-19帯はMIS5.5,OK4-16a帯終末はMIS7.1またはMIS7.3,OK4-13帯はMIS7.5,OK4-10帯はMIS8.5,OK4-7帯はMIS9.3そしてOK4-5帯はMIS9初期またはMIS10終末期に対比された。
    MIS9.3とMIS8.5はスギ林の時代であった。MIS7.5とMIS7.3またはMIS7.1の時代にはブナやコナラ亜属などの冷温帯落葉広葉樹林が,MIS5.5の時代には暖温帯北部の気候下にコナラ亜属,ブナ,マツ科針葉樹などからなる混交林が繁茂した。氷河時代のMIS8にはやスギとマツ科針葉樹が針葉樹林を形成し,MIS6,MIS4からMIS2には寒冷・乾燥の条件下にマツ科針葉樹からなる森林が発達した。
研究ノート
  • —— 山形県庄内地域の事例 ——
    山口 泰史, 江崎 雄治, 松山 薫
    2010 年 62 巻 4 号 p. 211-221
    発行日: 2010年
    公開日: 2012/08/28
    ジャーナル フリー
    本研究では,山形県庄内地域出身者を対象にアンケート調査を実施し,1980年代以降の新規大卒者のUターン移動と就職の実態について分析した。Uターン率については近年やや低下傾向にあり,入学難易度など進学先の大学の特徴によって差が生じている。一方,Uターン時の職業は,かつては公務員や教員が主流であったが,長期的な採用人数の減少傾向もあって,近年では会社員の割合が増えている。また,会社員の職種は,ホワイトカラーから,かつて高卒者が多く就いていた現業職やブルーカラー職にシフトしており,いわゆる学歴代替が生じている。さらに,卒業して職を得ないままUターンするケースも増加傾向にある。
    このように,庄内地域では近年,大学進学率が上昇する傾向にあるものの,Uターン率の現状,および,Uターン者の就業状況は決して良好な状態とはいえないため,地域出身者の高学歴化が必ずしも地域の発展につながっていない可能性が指摘しうる。
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