季刊地理学
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65 巻, 1 号
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研究ノート
  • 片岡 健
    2013 年 65 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/18
    ジャーナル フリー
    本研究では,土佐国黒岩城下町とその給人の名請地の構造を,名請高による属性別,国人領内の小村別に分析した。その結果,市町の構造は,商農分離および商農未分離の市町名請人の屋敷地が,部分的にまとまりを有しつつ混在していた。1町以上の耕地を名請する市町名請人は,商業活動の充実から耕地を集積した可能性もある。給人屋敷地の構造は,最上位層の給人屋敷地が土居に近接していた。この要因は,豊臣政権に臣従して以降,分国規模での検地および城割りの実施にみられるように長宗我部氏の大名権力が向上し,これに伴い国人領主片岡氏が国人領内で権力を上昇させたためとも考えられる。黒岩城下町の給人の名請地構造は,名請地が小村黒岩を中心に展開しており,生産物の輸送負担および耕作の移動負担が効率化されていた。黒岩城下町の給人屋敷地および名請地には,国人領主のプランである,前者への階層性の明示,後者への生産性の上昇という志向が一律には貫徹していなかった。給人屋敷地の構造は,黒岩城下町の給人の名請地が黒岩城下町に比較的近い国人領の一部に限定されていた国人領主片岡氏の地域権力としての実態に規定されていた。
  • 瀧本 家康
    2013 年 65 巻 1 号 p. 17-35
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/07/18
    ジャーナル フリー
    梅雨明け時の熱帯対流活動活発化領域の位置の違いと日本周辺域の高度場の変化との関係を検討した。
     1979年から2002年の24年間において,日本付近のOLRを指標に梅雨明けが明瞭な20年間の梅雨明け日を定めた。これらの年について,梅雨明け日前後のOLRの合成図を比較した結果,フィリピン付近と西部北太平洋で対流活動が活発化する年(WP型,2年),フィリピン付近で活発化する年(P型,7年),西部北太平洋で活発化する年(W型,5年),両地域で活発化が起こらない年(N型,6年)の4つの型があることがわかった。P, W, N型の梅雨明け時の高度場の変化を調査した結果,梅雨明けには① 熱帯からの定常ロスビー波および偏西風ジェット上の定常ロスビー波の伝播による高気圧の強化(P型),② 偏西風ジェット上の定常ロスビー波の伝播による高気圧の強化(N型),③ 太平洋高気圧の東への後退(W型),という3つの機構があることが明らかとなった。また,熱帯対流活動が活発化する領域の違いが梅雨明けの引き金となる熱帯からの定常ロスビー波の発生の有無に関係している可能性が示唆された。
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