季刊地理学
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66 巻, 2 号
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研究ノート
  • 瀬戸 真之, 曽根 敏雄, 田村 俊和
    原稿種別: 研究ノート
    2014 年 66 巻 2 号 p. 67-81
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/01
    ジャーナル フリー
    主として周氷河作用による地表物質移動の速度が地表構成物質によりどのように異なるかを検討するため,福島県御霊櫃峠で多数のペイントラインにより地表礫移動を測定し,あわせて気温,地温,地表面温度等の観測を行った。地表面を地表構成物質により,Cタイプ(扁平礫が地表を覆う)とFタイプ(細粒物層が露出)とに区分して,地表礫の平均移動距離,最大移動距離を求めたところ,両者ともFタイプ区間で明らかに大きい傾向が見られた。凍結は細粒物質層の上部でのみ発生することが,地温の連続観測と観察で確かめられた。また,Fタイプ区間でのみ,礫の移動距離と斜面傾斜との間に相関が認められた。これらの事実から,凍結融解プロセスが生じる細粒物質が地表に露出しているFタイプの地表面で,霜柱クリープを主とする作用による物質移動がより活発であると考えた。
  • ──ソーンスウェイト法による年候解析──
    丸本 美紀
    原稿種別: 研究ノート
    2014 年 66 巻 2 号 p. 82-93
    発行日: 2014年
    公開日: 2015/08/01
    ジャーナル フリー
    奈良盆地と京都盆地は同じ瀬戸内気候に属し,隣接する盆地である。しかし,奈良盆地では古代より「干ばつ」,京都盆地では「大雨」「洪水」と異なる気候風土が形成されてきた。本研究では,両盆地の気候の乾湿に注目し,1954~2012年の気象データを用いて,ソーンスウェイト法により可能蒸発散量を算出し,気候学的水収支計算を行った。さらに,これらの結果からmoisture index, aridity index 及びhumidity indexを求め,年候的に気候分類を行った。その結果,可能蒸発散量は全年において京都が奈良を上回り,最大で76.8 mm/年の差がみられた。水過剰量についても59年中50回京都が奈良を上回り,最大で446.7 mm/年の差がみられた。反対に水不足量は奈良が京都を上回る頻度が多く,最大で93.4 mm/年の差がみられた。気候分類の結果は,平均値の気候分類が奈良でB3B2′rb3′,京都でB4B3′rb3′であったのに対し,年候による最多出現の気候分類は奈良でB2B2′rb3′(23.7%),京都でAB2′rb3′(18.6%)であり,京都は奈良よりもやや温暖で湿潤な気候であることが示された。
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