北海道屈斜路カルデラとその周辺は,約40 kaから続いている後カルデラ期に活発な火山活動と地形変化が生じてきた。とくに約20~23 kaのアトサヌプリカルデラ形成時に噴出したアトサヌプリ軽石(Ap)とおよそ7.6 kaの摩周カルデラより噴出した摩周f(Ma-f)は噴火規模が大きく,火砕流台地を形成するとともに釧路川を閉塞し屈斜路湖の水位を上昇させた。湖水位の上昇と火砕流二次堆積物の供給によって屈斜路湖岸および釧路川河岸には複数の段丘が形成された。また,このような地形面形成と並行して屈斜路湖東岸のアトサヌプリ火山群周辺では激しい隆起運動が生じ,隆起速度は最大2 m/kyr程度以上に至る。そしてこの隆起運動に伴い断層群が形成され,一部はA級活断層に匹敵する変位速度に達している。