季刊地理学
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77 巻, 2 号
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論説
  • 石田 祐子, 吉田 圭一郎, 比嘉 基紀, 瀨戸 美文, 若松 伸彦
    原稿種別: 論説
    2025 年77 巻2 号 p. 49-69
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/09
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    本研究の目的は,構成樹種の生活史特性を踏まえて,針広混交林の長期的な変化を明らかにすることである。東北地方太平洋側南部の代表的な植生であるモミ-イヌブナ林に設置された永久調査区の60年間の継続調査を実施した。その結果,主要構成種の組成や相対優占度はあまり変化しておらず,この森林は長期間維持されていた。2011~2021年には,樹種別の生活史特性を反映した変化がみられ,萌芽更新を行うイヌブナやアワブキの新規加入率が高くなるなど,落葉広葉樹の減少傾向が鈍化した。階層構造も変化しており,イヌシデやアカシデが高木層に偏っていく一方で,アワブキは低木層に集中するようになった。ヤブムラサキ,イヌツゲ,イヌガヤなどの低木種が顕著に増加しており,低木層に形成されていたモミの前生稚樹集団の個体数は減少した。モミの小径木は林冠木と排他的に分布しており,耐陰性の高いモミであっても暗い林内での更新は難しいと考えられた。これらの結果から,モミ-イヌブナ林では樹種ごとの生活史特性を反映した階層構造の分化が進展しつつあり,60年間で複雑な森林構造をもつ,多様な樹種を含む森林へと成熟しつつあると推察された。

短報
  • 佐藤 善輝, 小野 映介, 小岩 直人
    原稿種別: 短報
    2025 年77 巻2 号 p. 70-77
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/09
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    沖縄島南西部の安里川と国場川に挟まれた沖積低地(那覇低地)において,掘削長7.50 mのボーリングコア試料を採取し,堆積相の観察,放射性炭素年代測定,XRFコアスキャナによる元素濃度分析を行った。沖積層は標高−0.45 mを境として下部層,上部層に区分される。下部層は泥質な内湾あるいは干潟の堆積物で,約8,000~4,000年前頃に堆積したと推定される。上部層は砂層やサンゴ礫の集積層がところどころに挟在し,粒度変化が激しい。また,下部層に比べて上方累重速度が遅く,堆積と侵食が繰り返される河口域の干潟の環境で堆積したと推定される。硫黄の含有量が顕著に減少することから,コア試料の掘削地点周辺では遅くとも1,777 – 1,443 cal BP頃までには,平常時に潮汐の影響を受けなくなった可能性がある。

  • 埴淵 知哉, 岡本 耕平
    原稿種別: 短報
    2025 年77 巻2 号 p. 78-86
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/07/09
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    電子付録

    手描き地図は,世界や都市の空間的イメージあるいはメンタルマップを把握する手法として知られる。しかし先行研究では大学生など特定の集団を対象とした調査が多く,多様な属性や経験をもつ人々のイメージを掴みきれていない。こうした状況を踏まえ,一般人口集団を対象に多様な手描き地図を収集する社会調査(GULP-2023手描き地図調査)を企画し,2023年に実査を行った。本論文は,その調査方法を記録し,記載内容の一端を集計して報告するものである。そのうえで,メンタルマップの変化とその要因を記述・分析するためには時系列的・縦断的な調査が重要であり,手描き地図データの蓄積と共有が課題であることを指摘した。

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