【背景・目的】
地域包括ケアシステムの構築,プライマリ・ケアの整備が進められる中,大島ら(2014)は2013年以前発行の文献を対象とし,診療所看護師の役割についてまとめ,報告した。しかし,それ以降も診療所看護師の役割は拡大しているのではないかと考えた。そこで,本研究は,2014年以降に報告された診療所看護師の役割に関する文献をレビューし,診療所看護師の役割について明らかにすることを目的とした。
【方法】
医学中央雑誌Web版を用い,キーワードを「診療所」AND「看護師」AND「役割」,発行年を2014年以降とし,抽出された文献32件を整理した。また,役割に関する記載内容について,その意味内容の類似性に沿って分類した。
【結果】
診療所の種類は,一般診療所(44%),在宅療養支援診療所(28%),へき地診療所(25%),夏山診療所(3%)の4つに大別できたが,活動報告がほとんど(81%)であった。役割に関しては,一般診療所,在宅療養支援診療所,へき地診療所の役割として【多職種と連携する】,一般診療所の役割として【短時間で情報収集する】【患者・家族に指導する】が抽出された。
【考察・結論】
多職種で連携するという役割が診療所看護師に新たに必要となった特徴的で重要な役割であること,短時間で情報収集とアセスメントをするという役割が一般診療所看護師に必要不可欠な役割であることが示唆された。また,一般診療所看護師の役割に関する文献割合が高まっており,これは,我が国の医療がプライマリ・ケアへ移行したため,一般診療所を受療する患者数が増加したためであることが示唆された。さらに,へき地診療所の看護師の役割についての文献割合が低下しており,これは,へき地診療所の看護師数が確保できていないためであることが示唆された。しかし,対象文献の研究方法は著者の活動報告がほとんどであり,診療所看護師に関する研究は不十分であることが明らかとなった。そして,本研究において,診療所看護師への教育の示唆は十分に得られなかった。
抄録全体を表示