【背景と目的】
天理市看護職連携会議(通称いちごの会)は, 2015年に天理医療大学教員,天理市役所保健師,天理市地域包括支援センター,居宅介護支援事業所の看護師資格を持つ介護支援専門員,天理市内の病院等の看護職が集まり,天理市が委嘱状を発行し看護職の協働ネットワーク組織として活動を開始した。本報告は,いちごの会の過去7年間の活動の実績とその成果について省察し,今後の課題を考察することを目的とした。
【活動の実際1(2015年4月~2020年3月) ~黎明期の取組み~】
患者や家族が住み慣れた地域で最期まで過ごせる仕組みを構築することを目指し,5年間は研修会と訪問看護体験の実施を行った。研修会は10回開催し,情報共有や毎回グループワークの手法を取り入れ,意図的に意見交換の場づくりを行った。顔の見える関係づくりから「ケアの目的が理解し合える連携」ができる関係性の構築に発展できるようにさまざまな看護職の具体的な実践を学ぶ内容とした。その結果,病院から地域へ,地域から病院へ,医療機関や事業所の連絡が取りやすくなり,ケアの繋がりが実感できるようになった。
【活動の実際2(2020年4月~2021年3月) ~充実に向けた変革~】
天理市福祉政策課より,今後の会議は研修から市民への情報発信や教育に取り組むべきだとの提案が出された。地域住民の支援課題は,複合的な課題を持つケースが増加する一方で,健康な時から終末期にどこまで治療を希望するかを考えるアドバンス・ケア・プランニング(ACP)の啓発の重要性が合意された。いちごの会における行政との協働は,病院や事業所の組織を越え,社会貢献を主とする事業としての活動をサポートし,会の継続と発展のために有効な役割を果たしていた。
【今後の課題】
今後の課題は,地域包括ケアの視点に立ち「ACPについて市民に啓発する」活動を具現化することであると認識された。
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