Thermal Medicine
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23 巻 , 4 号
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Reviews
  • 山家 智之
    2007 年 23 巻 4 号 p. 151-158
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    医学の進歩した現在でも, 食道癌の手術は, 最も難しい手術の一つである. 手術が難しい原因は, 食道再建術である. 食道の代用として胃か腸管が用いられるが, 手術は煩雑になり侵襲は大きくなる. 高齢者や心肺機能に問題が有る患者は手術できないことになるが, 生命予後が限定されることになる. そこでハイパーサーミア蠕動ステントが発明され特許申請が行われた. システムは, 完全に非侵襲であり, 内視鏡だけで埋め込み可能で, ハイパーサーミア機能と蠕動機能と持つ. 新しい食道癌治療の選択肢として注目される.
  • 多嘉良 稔, 赤尾 淳平, 内藤 武夫, 河野 恒文, 平田 寛
    2007 年 23 巻 4 号 p. 159-170
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    末期癌に対しては, 積極的治療が行われていないのが現状である. 我々は膵癌術後局所再発, 多発性肝転移および右肺転移を来し, 癌悪液質を伴った末期膵癌患者に温熱化学療法 (CHT) を行った. その結果, 局所再発の消失, 肺転移巣の著明縮小および肝転移巣の約80%縮小と共に腫瘍マーカーも正常となる抗腫瘍効果と, 癌悪液質もほぼ改善しPSも4から1へとQOLの向上もみられた.
     癌悪液質に対しては栄養治療以外, 特別な治療は施行していないので, CHTの効果と考え, その機序について以下の如く考察した. 即ち, CHTによる抗腫瘍効果により癌細胞の活性が減弱し, その結果, 癌細胞からのTh2サイトカインの生産低下と, 癌組織内の炎症反応低下に伴い酸化型マクロファージから還元型マクロファージが優位となってTh2サイトカインが抑制されてTh1/Th2バランスがTh1優位となり癌悪液質が改善された.
     一時とは言え, 抗腫瘍効果と癌悪液質の改善がみられた事は特筆に値する. 今後はこの方面の究明が待たれる.
  • 高橋 健夫
    2007 年 23 巻 4 号 p. 171-179
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    温熱療法 (hyperthermia) は以前から癌治療の3本柱である外科治療, 放射線治療ならびに化学療法についで直接的な殺細胞効果を持つ治療に位置づけられてきた. 通常43°C以上の加温が実現できるとin vitro, in vivoのいずれにおいても強い抗腫瘍効果を引き起こす. 43°C以上の加温では, 細胞致死に関与する不活性化エネルギーが異なっていることが知られている. 43°C以下での加温, mild hyperthermia単独では細胞致死効果は軽微であるものの, 抗癌剤 (anti-cancer drug) やサイトカイン (cytokine) ならびに低線量率放射線 (low dose-rate irradiation) との併用効果により顕著な増感効果を示す場合が多い. またmild hyperthermiaは局所的に用いても免疫能を高め, 免疫による細胞致死効果を増強させることが明らかになりつつある. 温熱療法の機構は温熱耐性 (thermoresistance) に関わるとされてきた分子シャペロンであるheat shock protein (HSP) が, 実は免疫能を高める役割を果たしていることも明らかにされつつある. 一時は低迷していた免疫療法ならびに温熱療法が, それぞれの組み合わせにより従来考えられていた以上の効果を発揮する治療へと変貌を遂げる可能性を秘めている. また遺伝子学的にも温熱療法のメカニズムが解明されつつあり, 標的遺伝子をターゲットにした温熱併用の分子標的治療の可能性も模索され始めている. 今回は, これらについての現状を解説する.
Original Paper
  • 黒田 輝, 国領 大介, 熊本 悦子, ロハス ジョナタン, 岡田 篤哉, 村上 卓道
    2007 年 23 巻 4 号 p. 181-193
    発行日: 2007/12/20
    公開日: 2008/02/13
    ジャーナル フリー
    本研究の狙いは, 呼吸性の移動・変形をする肝臓内に設定した治療目標部位に対して, 治療用超音波の焦点をガイドするための磁気共鳴技術の開発である. ここに提案する我々の方法では血管を肝組織の追尾に使うこととした. 自由呼吸下における肝の矢状面におけるシネ画像をフィルタリングすることによって血管断面の重心を求め, それを解析することにより肝組織の並進距離と伸縮距離を解析した. 超音波焦点を置くべき治療目標点を, 血管の瞬時位置に基づいて推定した. 2名の健常ボランティアに対する実験において血管輪郭を描くためには, 空間マトリクスの大きさとして128×128が必要であった. 肝の並進距離は頭尾方向において19.6±3.6 mm, 腹背方向において3.1±1.4 mmであった. 伸縮距離は頭尾方向において3.7±1.1 mm, 腹背方向において3.0±1.2 mmであった. 検討に用いた血管の組み合わせでは, 目標点の実測位置と推定位置のずれが, 頭尾方向で0.7±0.5 mm, 腹背方向で0.6±0.4, 直線距離にして1.0±0.5 mmであった. 生体熱伝導方程式によって温度上昇をシミュレートした結果, 完全に息止めをした場合に較べて, 焦点周囲における肝組織の温度上昇のロスは20%程度であった. これらの結果は, 血管重心位置の実測に基づく提案法が臓器内の特定部位の動的な捕捉と, 加温領域をカバーする温度分布撮像面の追尾に, 十分な能力を有することを示した.
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