誘導型のHSPは細胞保護における多様な役割が示唆されてきた. 一方, 我々はHDM2の活性化, p53細胞内蓄積の減少, iNOSの誘導を介したNOラジカルが, あらかじめの放射線照射による温熱および放射線抵抗性のイニシエータであることを報告してきた. 本研究の目的はあらかじめの温熱処理による温熱および放射線抵抗性の獲得におけるp53, HDM2, iNOS, NOラジカルとHSPの影響を明らかにすることである.
p53欠損型ヒト肺がん細胞H1299由来の正常型
p53細胞と変異型
p53細胞を実験に用いた. 生存率はコロニー形成法を用いた. 正常型および変異型
p53両細胞で, RITA(p53-HDM2相互作用阻害剤), アミノグアニジン (iNOS誘導阻害剤) とc-PTIO (NOラジカル消去剤) の有無にかかわらず, KNK437 (HSP誘導阻害剤) の存在下のときのみ, あらかじめの温熱処理による温熱および放射線抵抗性の獲得が消失した. あらかじめの温熱処理によるHSP誘導が温熱および放射線抵抗性の獲得に寄与していることが示唆された.
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