Thermal Medicine
Online ISSN : 1882-3750
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ISSN-L : 1882-2576
25 巻, 2 号
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Review
  • 太田尾 龍, 別府 透, 石河 隆敏, 堀野 敬, 小森 宏之, 杉山 眞一, 増田 稔郎, 林 洋光, 岡部 弘尚, 崔 林承, 林 尚子 ...
    2009 年 25 巻 2 号 p. 35-41
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2009/08/04
    ジャーナル フリー
    大腸癌以外の肝転移に対する熱凝固療法の現状と治療効果をまとめた. 熱凝固療法にはマイクロ波凝固療法とラジオ波凝固療法があり, 神経内分泌腫瘍, 胃癌, 乳癌, 甲状腺癌, 膵胆道癌などの肝転移が治療対象となる. 非大腸癌肝転移に対する熱凝固療法だけを検討した報告は少ない. 肝切除は大腸癌肝転移の第一選択の治療だが, 非大腸癌肝転移では必ずしもそうではない. 非大腸癌肝転移の熱凝固療法は, 化学療法やホルモン療法などの薬物療法と併用して症状緩和や腫瘍のreductionを目的として選択される. 治療部位再発率は神経内分泌腫瘍の肝転移で6.3%, 大腸癌肝転移で14.7%と前者で低率である. 693例の転移性肝癌を含む3,557例の報告では手術関連死亡率は0.3%, 合併症率は7.2%と低率であり, 非大腸癌肝転移に特有な合併症は報告されていない. 神経内分泌腫瘍と乳癌に対する熱凝固療法後の生存期間中央値は49ヶ月と59ヶ月と良好である. 胃癌肝転移は, 肝外転移を合併する場合が多く, 予後は不良であるが, 持続肝動注療法を併用した熱凝固療法例の生存期間中央値は16.5ヶ月と比較的良好である. 熱凝固療法の効果が望める非大腸癌肝転移は, 有症状の神経内分泌腫瘍の肝単独転移, 小型で個数が少ない異時性胃癌肝転移で特に持続肝動注療法併用例, 内臓転移を伴わない乳癌肝転移などである. 熱凝固療法は選択された症例には安全かつ効果的な治療法であり, 今後非大腸癌肝転移に幅広く応用すべきである.
Original Paper
  • バラチャンドラン ジャヤデワン, 渥美 崇, 須藤 誠, 粕谷 亮, 佐藤 義倫, 田路 和幸
    2009 年 25 巻 2 号 p. 43-52
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2009/08/04
    ジャーナル フリー
    酸化鉄ナノ粒子を熱分解法と共沈法の二種類の方法で合成し, その発熱特性と磁気物性を評価した. 熱分解法では, 鉄原料である鉄ペンタカルボニルとオレイン酸 (C17H33COOH) をジオクチルエーテル中に投入し, 大気中で560 Kで反応させることで酸化鉄ナノ粒子を合成した. C17H33COOHの添加量と反応時間を変化させて得られた試料を透過型電子顕微鏡 (TEM) によって観察した結果, 酸化鉄ナノ粒子の平均粒子径は反応条件に応じて3.0 nmから12.2 nmまで変化した. 一方, 共沈法では硫酸鉄 (II) 水溶液と塩化鉄 (III) 水溶液の混合液をアンモニア水に添加して酸化鉄ナノ粒子を作製した. TEM像観察から, 共沈法により作製した酸化鉄ナノ粒子の平均粒子径は10.2 nmと見積もられた. それぞれの方法で作製した酸化鉄ナノ粒子をイソパラフィン系溶媒に分散させ, 周波数600 kHz, 磁場強度3.2 kA/mの交流磁場を印加して温度変化を測定した. この結果, 共沈法により作製した試料は77 Kの温度上昇を示した一方, 熱分解法により作製した平均粒子径11.3 nmの試料では14 Kの温度上昇を示した. これに対して, 平均粒子径3.0 nmの酸化鉄ナノ粒子では有意な温度上昇は観測されなかった. 試料の磁気物性を超伝導量子干渉型磁束計と物理特性測定システムを用いて評価した結果, 発熱効率の高い試料では磁化率が極大となる温度, ブロッキング温度が高くなることが明らかになった.
Case Report
  • 杉山 雅彦, 森田 勝, 安藤 幸滋, 佐伯 浩司, 江見 泰徳, 掛地 吉弘, 野本 諭, 前原 喜彦
    2009 年 25 巻 2 号 p. 53-58
    発行日: 2009/06/20
    公開日: 2009/08/04
    ジャーナル フリー
    根治的放射線化学療法後に再発した食道癌に対して温熱化学療法が奏効した一例を報告する. 頸部食道癌に対して根治的化学放射線療法によって腫瘍の完全消失後, 5ヶ月で食道癌が再発した. 化学療法 (5FU・ネダプラチン) を行ったが腫瘍はさらに増大した. その後, サルベージ (救済) 療法として温熱療法とS-1による化学療法を行ったところ腫瘍の消失が得られ, 4クール, 副作用なく外来にて治療を行った. 根治的化学放射線療法後の食道癌再発に対する治療法の選択肢は限られていることから, サルベージ温熱化学療法は有効な治療法となりえる可能性が示唆された.
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