Thermal Medicine
Online ISSN : 1882-3750
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ISSN-L : 1882-2576
27 巻, 4 号
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Original Papers
  • 村上 真, 片山 寛次, 山口 明夫, 飯田 敦, 五井 孝憲, 廣野 靖夫, 永野 秀樹, 小練 研司
    2011 年 27 巻 4 号 p. 89-98
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2012/01/30
    ジャーナル フリー
    通常, 切除不能膵癌における原発巣の治療効果判定にはCT検査を用いることが多い. 最近, 18F-fluorodeoxyglucose positron tomography (以下PET) 検査は膵癌の存在診断だけでなく, 腫瘍の質的評価が可能なため, 遠隔転移や再発部位の検索にも用いられている. 本研究では, 集学的治療を受けた切除不能膵癌症例の治療効果と予後の判定にPET検査が有用かを検討した. この研究はprospective cohort studyである. 対象の18症例全てが, TNM分類Stage3の切除不能膵頭部癌である. 集学的治療としてバイパス手術, 放射線療法 (術中と術後), 温熱化学療法の全てを施行されている. 効果判定の項目として, 腫瘍マーカー値, 腫瘍の縮小率, SUVmax (maximum standardized uptake value) を用い, それらと患者予後との関係を検討した. 統計学的解析にはピアソン相関とKaplan-Meyer生存曲線を使用した. CT検査による腫瘍サイズの縮小率と腫瘍マーカーの推移は患者予後と相関しなかった. 治療後のSUVmax は予後と良く相関し, SUVmax 3未満の症例は, 特に生存期間が延長した. PET検査は集学的治療を施行された切除不能膵癌の予後評価に有用である.
  • 田渕 圭章, 古澤 之裕, 和田 重人, 大塚 健三, 近藤 隆
    2011 年 27 巻 4 号 p. 99-108
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2012/01/30
    ジャーナル フリー
    様々ながんに対して, 抗がん効果が期待できるハイパーサーミア (HT) が適用されている. しかしながら, ヒートショックタンパク質 (HSP) の誘導によりがん細胞が温熱耐性能を獲得し, HT効果を減弱させることが知られている. 近年, ヒートショック転写因子1 (HSF1) の抑制が温熱感受性を上昇させることがいくつかの種類のがん細胞で示された. 本研究では, ヒト口腔扁平上皮がん (OSCC) 細胞においてマイルドハイパーサーミア (MHT) とHTの感受性に対する低分子干渉RNA (siRNA) を用いたHSF1の抑制の効果を検討した. ヒトOSCCであるHSC-3細胞へのsiHSF1-2 (HSF1に対するsiRNA) の添加は, 37°Cにおいて時間依存的にHSF1タンパク質レベルを抑制し, その添加48時間後でほぼ完全なHSF1のノックダウン効果を観察できた. HSC-3 細胞へのMHT (42°C, 90分) とHT (44°C, 90分) 負荷によりHSPであるHsp70, Hsp40とHsp27の顕著な発現誘導が観察された. 一方, これらの発現は, 正常と温熱負荷条件においてHSF1ノックダウン細胞で有意に減少した. HSC-3 細胞においてHSF1ノックダウンは, 37°Cにおける生存細胞数を抑制したので, HSF1は通常の細胞増殖に必要であると考えられる. また, MHTとHTの感受性は, HSF1ノックダウンHSC-3 細胞において顕著に増感された. さらに, HSF1ノックダウンによるこれらのHT感受性の増感効果は, 他のヒトOSCC であるHO-1-N-1, HO-1-u-1とSAS細胞で観察された. 以上より, HSF1の抑制はヒトOSCC細胞のMHT とHTに対する感受性を増感すること, さらに, HSF1の抑制とHTとの併用は, OSCCの有効な治療法になる可能性があることが示された.
Short Report
  • 上田 公介, 前田 二美子, 伊藤 靖彦
    2011 年 27 巻 4 号 p. 109-112
    発行日: 2011/12/20
    公開日: 2012/01/30
    ジャーナル フリー
    進行性尿路上皮癌に対する低濃度抗癌剤併用局所ハイパーサーミアの効果について調べた. 対象は2004年4月から2011年3月までの7年間に当科で治療をおこなった進行性尿路上皮癌15例である. 7例が腎盂・尿管癌, 8例が膀胱癌である. 抗癌剤としてCDDP, MMC, GEMなどを用いた. 前2剤はハイパーサーミア治療開始前に, GEMはハイパーサーミア後に投与した. 治療効果は6例のCR, 3例のPR, 6例のNCであった. 3例が死亡したが12例は生存中である. 15例の生存期間は10-89ヶ月であった. 2例に軽度の倦怠感を認めたが, 重篤な副作用はみられなかった. 以上より本治療法は進行性尿路上皮癌に対して有効であり, 生存期間の延長が認められるものと考えた.
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