Thermal Medicine
Online ISSN : 1882-3750
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ISSN-L : 1882-2576
28 巻 , 4 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
Reviews
  • 窪田 宜夫, 松本 孔貴
    2012 年 28 巻 4 号 p. 53-62
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    Heat shock protein 90 (Hsp90) は細胞に豊富に存在するタンパク質であり, その分子シャペロン機能により, 特にがん細胞の増殖や生存に関わる様々な変異タンパク質, 過剰発現タンパク質などの安定性, 活性に必要不可欠である. そのためHsp90は, 抗がん剤の分子標的として注目され, いくつかの毒性の少ないHsp90阻害剤は臨床試験も行われている. Hsp90阻害剤と放射線との併用に関する研究については, ヒト癌細胞では大きな放射線増感効果が報告されている. また正常細胞ではほとんど増感効果は観察されていない. ヒト固形腫瘍モデルであるスフェロイド系, ヌードマウス移植モデル系でも両者の併用効果が報告されている. 毒性を軽減したHsp90阻害剤は放射線治療での放射線増感剤として期待できると思われる.
  • 田渕 圭章
    2012 年 28 巻 4 号 p. 63-71
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    がん温熱療法 (ハイパーサーミア) は, 有効ながん治療法として位置付けられている. しかしながら, ヒートショックタンパク質群 (HSPs) の発現上昇等の腫瘍の応答により腫瘍が温熱抵抗性を獲得し, 治療効果を低下させる. HSPsの発現は, 主にヒートショック転写因子1 (HSF1) により制御されている. さまざまな腫瘍のがん細胞において, HSF1の発現が上昇していることが報告されている. さらに, HSF1は, がんの発症や維持に関与している. また, HSF1の機能阻害は, 腫瘍形成を阻害し, ハイパーサーミアの効果を向上させる. 本総説では, がんにおけるHSF1の生理学的または病理学的役割について要約し, さらに, HSF1がハイパーサーミアの有効な標的になりうるか否かを考察する.
Original Papers
  • 柚木 達也, 刈谷 文子, 近藤 隆, 林 篤志, 田渕 圭章
    2012 年 28 巻 4 号 p. 73-85
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    ヒートショックタンパク質A (HSPA) ファミリーは, 少なくとも13の異なる遺伝子からなる. 本研究において, 我々は正常ヒト線維芽 (NHF) 細胞のHSPAファミリー分子の遺伝子発現に対する温熱ストレスの効果を検討した. 4種類のNHF細胞Hs68, OUMS-36, NTI-4とKDに対して, 41°C のマイルドハイパーサーミア (MHT) または43°Cのハイパーサーミア (HT) をそれぞれ30分間負荷し, 続いて37°Cで1または24時間培養した. 細胞へのHTの負荷により有意に細胞死が誘導されたが, MHT負荷ではその誘導は観察されなかった. 定量的リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応を用いた検討により, MHTやHTを負荷した細胞において, HSPAファミリー遺伝子の中でHSPA1A, HSPA1B, HSPA1L, HSPA4, HSPA4L, HSPA5とHSPA6の遺伝子発現レベルが有意に上昇することが示され, これらの上昇はMHTよりもHT負荷でより顕著であった. なお, 今回初めて, 我々は温熱ストレスによるHSPA4遺伝子の発現上昇を検出した. また, これらの変化は4種類の全てのNHF細胞で同様に観察された. 一方, 他のHSPAファミリー遺伝子HSPA2, HSPA8, HSPA9, HSPA12A, HSPA13とHSPA14の遺伝子発現は, 温熱ストレスの影響を受けなかった. これらの結果から, HSPA1A, HSPA1B, HSPA1L, HSPA4, HSPA4L, HSPA5とHSPA6は温熱誘導型のHSPAファミリー遺伝子であり, 残りの遺伝子は, 構成型 (温熱非誘導型) HSPA遺伝子であることが示された. また, 37°Cの非ストレス条件下では, 誘導型遺伝子の発現よりも構成型遺伝子の発現が大部分を占めることを確認した. 今回我々は, 4種類のNHF細胞を用いて温熱ストレスに応答するHSPAファミリー分子の遺伝子発現パターンを明らかにした. これらの結果は, 正常細胞におけるMHTやHTの影響を分子レベルで理解するための重要な基礎情報になると考えられる.
  • 黒田 輝, 森田 修平, MIE KEE LAM, 小原 真, PAUL BARON, WILBERT BARTELS, 本田 真俊, 堀江 ...
    2012 年 28 巻 4 号 p. 87-96
    発行日: 2012/12/20
    公開日: 2013/01/23
    ジャーナル フリー
    脂肪・高含水組織混在部位のための磁気共鳴を用いた非侵襲温度分布可視化技術が提案された. この方法は鎖状メチレン基 (CH2) プロトンのスピン格子緩和時間 (T1) と水 (H2O) プロトンの磁気共鳴周波数の温度依存性を利用する. 多点ディクソン法と多フリップ角法を組み合わせて鎖状メチレン基のT1 と水の共鳴周波数を同時に測定する . 2つの容器に入れたマヨネーズの一方をマイクロ波加温した後, 室温に保ったものと共にガドリニウム水溶液に浸し, 冷却過程において3テスラ磁気共鳴画像化装置にてSPGR (SPoiled Gradient Recalled acquisition in steady state) で撮像した. FOV, 32×32 cm2 ; マトリクス, 64×64 ; 並列画像化因子, 2 ; TR, 36 ms ; TE, 1.15 ms ; フリップ角, 20, 50, 70度とした. 各フリップ角におけるデータをIDEAL (Iterative Decomposition of water and fat with Echo Asymmetry and Least squares estimation) 法のアルゴリズムで処理し, 水, 鎖状メチレン基, 終端メチル基の各成分を分離した. 他の含有量の少ない脂肪プロトン成分は簡単のため無視した. 脂肪の温度分布は3つの異なるフリップ角で得られたメチレン基信号のT1 から求めた. 水の温度分布は水とメチレン基の間の位相差の変化, ないしは水位相の相対変化から得た. 得られたこれらの温度画像をボクセル毎の脂肪・水含有率に応じて重み付け平均し, 最終的な温度画像を得た. この結果, プローブを用いて測定した温度上昇とよく相関する脂肪・水混在領域における温度画像が得られ, 本法の有用性が示された.
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