Thermal Medicine
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33 巻 , 3 号
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Review
  • 森田 勝, 池部 正彦, 香川 正樹, 中司 悠, 杉山 雅彦, 吉田 大輔, 太田 光彦, 井口 友宏, 杉町 圭史, 國武 直信, 佐伯 ...
    2017 年 33 巻 3 号 p. 63-73
    発行日: 2017/10/15
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー
    食道癌の治療において外科的切除はgold standardといえるが,成績向上には術前後の補助療法が重要である.切除可能なcStage II, III食道癌に対しては,欧米では術前化学放射線療法(CRT)後に根治術を行うことが多いが,本邦ではJCOGを中心とした臨床試験の結果より術前化学療法を行うことが現時点での標準療法とされている.我々は食道癌の予後向上を目指して腔内加温装置を開発し臨床応用した.その結果,術前CRTに温熱を加えたるとより高い組織学的治療効果が得られ,有意に予後が良好であることを報告した.近年,我々は根治的CRT後の遺残や再発に対するサルベージ治療として,化学療法に温熱療法を加え良好な成績を得た.本治療は,外来治療が可能で,重篤な有害事象も認めず,サルベージ治療として意義のあるものと考えられた.現在,食道癌に新たな化学療法や分子標的薬が応用されつつあり,これらの薬剤と温熱の併用効果を検討することにより,難治性の食道癌に対する治療として温熱療法が再び脚光を浴びる日がくること期待している.
Original Papers
  • 新しい視点と可能性
    東海林 久紀, 神保 一樹, 菅原 幸志, 須田 悟志, 茂木 政彦, 村田 裕人, 生越 喬二, 高橋 健夫, 浅尾 高行, 桑野 博行
    2017 年 33 巻 3 号 p. 75-89
    発行日: 2017/10/15
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー
    我々は,直腸癌治療において,人工肛門作成を極力避ける目的で,より高い局所制御効果を求めて,即ち,病理学的完全奏効(pCR)を目指し,術前に温熱療法併用化学放射線療法(HCRT)を施行している.温熱療法はいまだ定まった標準治療法(最適出力energy,最適熱energy)が確立していない.将来の比較対象試験の施行を目指した温熱療法の標準化(standardization)を行い,術前HCRTの治療効果が予測できるかどうか,また,本研究チームの治療プロトコール,治療成績の変遷をふまえ,直腸癌治療における温熱療法併用の可能性を検討したので報告する.
    対象は2011年12月から2015年5月までの連続した原発性直腸癌81例(切除例54例,男:女=61:20,年齢中央値63歳(33-89歳)).全例に,放射線治療は強度変調放射線治療(IMRT)で総線量50 Gyを一回2 Gyで25回分割照射.化学療法はカペシタビン(1,700 mg/m2/日)を週5日間内服で5週間行った.温熱療法は,サーモトロン-RF8(山本ビニター株式会社)を用いて,週一回,50分の加温を5回行った.
    臨床的完全奏効(CR),部分奏効(PR),安定(SD)および進行(PD)は,全患者のそれぞれ32.4%,38.3%,12.3%,16.0%に認められた.
    電磁波(RF)治療時の有害事象発現出力予測式を作成し,この式から算出された予測出力値と,実際の5回治療時の出力の平均値との差を,radiofrequency output difference (RO difference)と定義し,肉眼的腫瘍容積(GTV)とともに検討した.その結果,GTV≦32 cm3およびRO difference≧0 Watt/分の患者では,pCR率およびCR率(それぞれ42.9%および71.4%)が認められた.GTV≦32 cm3およびRO difference<0 Watt/分では,23.1%,92.3%で,一方,GTV≧80 cm3およびRO difference≧0 Watt/分では,23.1%,30.8%,GTV≧80 cm3およびRO difference<0 Watt/分では,0%,0%であった.温熱治療中の左側腹部,体表皮膚温度変化を検討すると,組織学的効果grade 3が得られた患者は,PDおよび他の転帰を示す患者と比較して,difference RO≧0 Watt/分群では有意に高温度で変化したが(p<0.05),difference RO<0 Watt/分群では患者群間に有意な差は認められなかった.
    これらの結果から,小腫瘍(GTV≦32 cm3)およびdifference RO<0 Watt/分の患者では,化学放射線療法のみの治療で十分であり,大きな腫瘍(GTV≧80 cm3)およびRO≧0 Watt/分の患者においては温熱療法併用の意義が認められた.
  • 新藤 康弘, 高橋 謙治, 生田 太, 井関 裕也, 加藤 和夫
    2017 年 33 巻 3 号 p. 91-101
    発行日: 2017/10/15
    公開日: 2018/03/01
    ジャーナル フリー
    本論文は,変形性関節症のための,温度分布計測機能を有する改良型深部温熱リハビリテーションシステムの開発について述べている.我々の研究グループは,臨床で用いられている温熱リハビリテーションシステムと比べて,より効果的に深部を加温可能な温熱治療システムの開発を進めている.しかしながら,これまで本加温システムは温度計測機能を有していなかった.一方で,先行研究において超音波画像から温度分布計測を行う方法について研究を進めてきた.我々が開発を進めてきた空胴共振器を応用した加温システムの実用化のためには,治療をしながら温度分布計測を行うことができる統合システムの構築が必要不可欠である.しかしながら,本加温システムで有効加温を行うためには,共振器内部に電磁気学的共振パターンを発生させる必要があるため,超音波画像診断用プローブを加温治療中に共振器内へ挿入することができないという問題点があった.本研究ではこの問題点を解決するために,温度分布計測と温熱リハビリテーションを統合的に行うことができる改良型加温システムを開発した.まず,テフロン樹脂を用いた冶具および遠隔制御型ロボットアームの開発を行い,正確な位置での繰り返し計測再現が可能となるようにした.次に,加温実験中に超音波プローブを挿入可能となるようにアプリケータの改良を行った.具体的には,まず,作製した冶具の性能評価を行うために,冶具脱着前後での超音波画像の変位量ベクトル分布計測を実施した.次に,加温実験を実施し,本システムの有用性について検討を行った.本研究で示した実験結果により,本研究で提案した改良型加温システムを用いることで,温度分布計測から加温治療までを一貫して行うことができることを確認し,本温熱治療システムの臨床応用への可能性を高めた.
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