Thermal Medicine
Online ISSN : 1882-3750
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34 巻 , 3 号
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Review
  • 三好 祐一, 渡邉 和則
    2018 年 34 巻 3 号 p. 23-34
    発行日: 2018/09/15
    公開日: 2018/11/21
    ジャーナル フリー
    哺乳類は温熱などの環境ストレスに対して,ストレス応答機構を有している.ストレス適応機構には,アポトーシスなどの細胞死誘導機構と生存のために働くストレス適応機構がある.ストレス適応機構の一つとして,ストレス顆粒(SGs)と核内ストレス顆粒(nSBs)の形成が報告されている.多くのタンパク質とRNAからなるSGsとnSBsは,細胞が環境ストレスに曝された時にのみ形成される可逆性の細胞内構造体である.細胞質で形成されるSGsは酵母からヒトまで幅広い真核生物で観察される.興味深いことに,核内で形成されるnSBsはSGsとは異なっており,ヒトでのみ観察される.そこで,本総説ではnSBsに注目する.
    nSBsは1989年に発見され,その後多くのnSBs構成タンパク質及びRNAが同定されている.nSBsの主な構成因子はHeat shock transcription factorファミリーやスプライシング因子,Satellite III RNAや開始tRNAなどの非コードRNAである.近年,多くの研究者がnSBs形成機構を報告している一方で,nSBsの細胞内機構は未だ明らかになっていない.本総説では,nSBsの形成機構やnSBs構成因子の細胞内機能などの基礎研究について紹介する.
  • 石川 剛, 岡山 哲也, 坂元 直行, 古倉 聡, 吉川 敏一
    2018 年 34 巻 3 号 p. 35-44
    発行日: 2018/09/15
    公開日: 2018/11/21
    ジャーナル フリー
    がん薬物療法は様々ながん種において,殺細胞性抗がん剤を用いた多剤併用レジメンが数多く開発され,それらに分子標的治療薬も加わり,その治療成績は近年大きく向上した.さらに,最近のがん免疫療法の臨床的成功は,がん治療の概念を大きく変化させた.
    ハイパーサーミアは,これまで主に放射線療法や化学療法との併用療法として臨床開発が行われ,多くのがん種で臨床的成果を得てきた.消化器がん領域においては,直腸がんにおいて,放射線治療とハイパーサーミア併用療法の有用性に関するいくつかの検証的試験とメタ解析の結果が報告されているものの,他の消化器がんでは検証的なランダム化試験はほとんど行われていない.今後,ハイパーサーミアをさらに発展させるためには,第III相臨床試験において,現在の標準治療との併用療法の有効性を検証することが望まれる.また,免疫療法ががん治療の一翼を担うこれからの時代において,ハイパーサーミアと免疫療法併用の臨床的意義についても検討を重ね,さらに理解を深めていく必要がある.
Short Report
  • 吉田 由香里, 富永 信太朗, 馬 立秋, 髙橋 昭久
    2018 年 34 巻 3 号 p. 45-51
    発行日: 2018/09/15
    公開日: 2018/11/21
    ジャーナル フリー
    固形腫瘍内の低酸素領域は,放射線治療の負の予後および予測因子である.ハイパーサーミア治療は,低酸素腫瘍による放射線抵抗性を克服するうえで臨床的に有用である.しかしながら,低酸素腫瘍で観察されるハイパーサーミアによって誘発される細胞死のメカニズムはよくわかっていない.そこで,腫瘍細胞における低酸素下での温熱感受性と温熱によって誘発されるDNA二本鎖切断(DSBs)の関係を明らかにすることとした.ヒト子宮頸がんHeLa細胞を,常酸素及び低酸素の条件で,温熱処理またはX線照射した.対照は未処理の細胞とした.一つのγH2AXフォーカスは,一つのDSBに相当することから,DSBsの生成は,γH2AXの蛍光免疫染色によって評価し,細胞死は,コロニー形成法で評価した.低酸素では,明らかに放射線抵抗性で,わずかに温熱抵抗性を示した.γH2AX蛍光強度は,低酸素においてX線では顕著に減少したのに対して,温熱では減少が顕著に抑えられた.今回の結果は,γH2AXフォーカス形成によって示されるDSBによって,低酸素下でも温熱処理がDNAの損傷を誘発することができることを示している.これらのことから,ハイパーサーミア治療は,放射線抵抗性の低酸素細胞に対しても有効であることを裏付けることができた.
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