Thermal Medicine
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35 巻 , 2 号
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Original Paper
  • 真鍋 麻実, 元村 哲也, 井上 文江, 寺嶋 廣美
    2019 年 35 巻 2 号 p. 13-22
    発行日: 2019/06/30
    公開日: 2019/08/09
    ジャーナル フリー

    表在性腫瘍に対するハイパーサーミア治療では,疼痛や熱感軽減対策として,しばしば患部の被覆が必要になる.我々は,ポリ塩化ビニリデン(PVDC)による患部被覆を行ってきたが,PVDC被覆がどのような温度分布の変化をもたらすかは明らかでない.今回我々は,寒天ファントムを用いて,PVDC被覆による加温部温度分布の変化を評価した.加温実験は,深在部加温想定の直径30 cmと浅在部加温想定の直径10 cmの電極を用いて行い,種々の被覆条件下にファントムを加温した後,断面の温度分布をサーモグラフィで評価した.被覆の素材にはPVDCと乾燥ガーゼを使用し,上面半分または上下面半分を覆った.また加温中の温度変化を見るため,ファントムの被覆部境界に熱電対温度計を挿入し,経時的に温度を測定した.深在部加温では,PVDC被覆部直下に温度上昇抑制が見られたが,その程度はわずかであった.非被覆部では,逆に温度上昇が増強しており,その中心は非被覆部面中央であった.浅在部加温でも同じ傾向が見られたが,非被覆部の温度上昇はより明らかであった.ガーゼ被覆では,被覆部の温度上昇抑制および非被覆部の温度上昇増強のいずれもPVDC被覆の場合より顕著であった.深在部加温条件下で被覆境界付近の温度変化を見ると,PVDC被覆の場合には,被覆材を置かないcontrolと比較して最大でも-0.4℃だったのに対し,ガーゼ被覆では加温10分間で-1.4℃であった.浅在部加温条件下では,PVDC被覆における温度変化がcontrolと大差なかったのに対し,ガーゼ被覆では加温5分間7.0℃の温度上昇が見られた.ハイパーサーミアの電極下に被覆材を置くと,その直下に加温抑制が生じる一方で,非被覆部には温度上昇が見られることを示した.PVDCによる患部被覆は,治療効果に影響するような加温抑制はもたらさないと考えられるが,被覆材の条件によっては,被覆部の温度上昇が強く抑制されるのみならず,非被覆部が異常な高温を呈する可能性もある.ハイパーサーミア治療時の患部被覆は,温度分布の変化を念頭に置きながら,適正な条件で使用する必要がある.

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