Thermal Medicine
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Review
  • 田渕 圭章, 柚木 達也
    2020 年 36 巻 4 号 p. 91-99
    発行日: 2020/12/25
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    ハイパーサーミア(HT)は,有効ながん治療法として位置付けられている.しかしながら,HTを用いた時の重大な問題点は,分子シャペロンとして機能する熱ショックタンパク質HSPsの発現誘導により温熱抵抗性を獲得することである.HSPsの中で,Hsp70は細胞保護作用を有し,温熱抵抗性を獲得に重要な役割を演じている.近年,C11orf73の遺伝子産物Hikeshi(火消し)が熱ストレス条件下におけるHsp70の核輸送タンパク質として機能することが明らかとなった.Hikeshiの発現抑制は,ヒトがん細胞において非ストレス下では影響を与えなかったが,HTやマイルドHTの感受性を有意に増強した.ヒト胃や腎の腫瘍組織においてHikeshiの発現上昇が示されている.また,HikeshiのCys4SerやVal54Leuのホモ接合型点変異は,各々,フィンランドやアシュケナージ系ユダヤ人の白質脳症に関連することが報告された.

    本総説では,Hikeshiの生理機能や病理的役割を要約し,さらに,そのHT治療のターゲット分子になる可能性について言及する.

Original Paper
  • 森野 富夫, 井藤 彰, 惠谷 俊紀, 内木 拓, 河合 憲康, 安井 孝周
    2020 年 36 巻 4 号 p. 101-108
    発行日: 2020/12/25
    公開日: 2021/01/14
    ジャーナル フリー

    腫瘍内に局所投与したマグネタイト正電荷脂質複合粒子(MCL粒子)に交番磁場を照射し,その発熱誘導により癌を治療する方法が,本邦で開発された.筆者らは,前報において,腫瘍体積当たりの発熱量(J/cm3 tumor volume)がインビボの抗腫瘍効果に相関することを示し,その施術管理指標(ヒートドーズ,J/cm3 tumor volume)としての有用性を報告した.更に,体積が1.36 cm3の腫瘍の単一サイトに45 mgのMCL粒子を投与した条件において,完全退縮に必要なヒートドーズの基準値(700~850 J/cm3)を示した.本研究の目的は,より大型の臨床腫瘍の治療を想定して,MCL粒子を腫瘍の複数サイトへ投与する際の治療条件をデザインし,その抗腫瘍効果を検証することにある.

    動物腫瘍モデルには,化学物質で誘発したラット乳腺腫瘍(2.19~3.81 cm3)を用いた.ラット乳腺腫瘍の治療条件は,MCL粒子を投与した複数のサイトで,前報の単一サイト投与の治療条件を再現することを基本コンセプトとして,デザインした.投与サイト数は,腫瘍体積(cm3)を除した値が1.36 cm3/siteに近似するように設定し,MCL粒子は腫瘍内の投与サイトが均等間隔となるように注射針を穿刺し,緩徐に同時投与した.ヒートドーズ(J/cm3)は,前報の基準値に近似するように照射条件を調節し,同様に30分3連日の磁場照射を行った.この結果,治療開始21日目に全例で完全退縮が確認され,大型腫瘍に対する複数サイト投与と照射条件のデザイン法の妥当性が示された.更に,技術的,実務的に最良と考えられる定型的な治療条件(投与量,ヒートドーズ,照射プロトコール)を規定して,当該条件で誘導される壊死領域(cm3 necrosed tumor volume/site)の推定法を示し,その臨床活用法を論じた.

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